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第97話 夕日
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米村に殺されていたのは米村のグループの人間だけではなく、死神のデスサイスを横取りしようとしていた奴らも大勢含まれていた。
そんな奴らもさすがに反省したようで、
「悪かったよ」
「柴木に嫉妬してたんだ、すまん」
「助けてくれて感謝してる」
「ハードモードになったのは柴木のせいだって言ったけどよ、忘れてくれ」
俺に対してもしおらしい態度を見せた。
そんな中、梶谷と深町も俺のもとへとやってくる。
俺の正面に立つ二人。
相変わらずでかい。
無言のまま俺を見下ろしてくる梶谷と深町。
「な、なんだよ」
二人が何も話し出そうとしないので俺から声をかけた。
すると、
「……頑張れよ」
梶谷はその一言だけ言って立ち去っていく。
さらに深町も、
「……北原に謝っておいてくれ。じゃあな」
と言い置いて俺のもとから去っていった。
……これは仲直りってことでいいのだろうか。
うーん、わからない。
これまで喧嘩すら、する相手がいなかったから仲直りの方法も当然知らないのだ。
「でも……悪い気分じゃないな、うん」
俺は梶谷と深町の後ろ姿を眺めながら心が軽くなっていくのを感じていた。
☆ ☆ ☆
生き返った者たちと別れを告げて俺とメタムンと北原姉妹だけが残った。
夕日に照らされて、長い影が三人と一匹分草むらに形作っている。
「柴木くんたちはこれからどうするの?」
北原が俺に顔を向けた。
「そりゃもちろん、この【魔物島】を出られるまで出来ることは何でもするつもりさ」
「メタムンちゃんはそれでいいの?」
『うんっ。おいら、善と離れ離れになるのは寂しいけど善に協力するんだっ!』
「そっか。偉い偉い」
メタムンの頭を優しく撫でる北原。
メタムンは気持ちよさそうに目を細める。
「じゃあ、北原も北原妹も元気でな」
俺が口にすると、
「北原妹ってねぇ、すみれって可愛い名前があるんだからちゃんと呼んであげてよっ」
北原がいつになく怒ったような口ぶりで言った。
「ほら、すみれって。はいっ」
「あ、え、えっと……」
俺は北原すみれを前にして口ごもる。
女子を名前で呼び捨てにするなんて……お、俺には無理だ。
『善、顔赤いよっ』
「う、うるさいっ」
「柴木くん、ほら早くっ」
「う、うぅ……」
ちらっと盗み見ると北原すみれはうつむいていて表情がまったく見えなかった。
だが北原すみれの耳は真っ赤になっていた。
「ほら、言わないと一生このままだよっ。日が暮れちゃうよっ」
北原の言葉が胸に突き刺さる。
俺にはまるで俺の成長をうながしているかのように聞こえたのだ。
だからこそ、俺は意を決して、
「……す、す、す、すみ……す、すみれも、元気でな……」
心臓が爆発しそうになりながらもそう口にした。
そして――すみれもまた、
「……は、は、はいっ……し、し、柴木さんも、お、お元気でっ……」
真っ赤な顔を俺に向けてそう言ったのだった。
そんな奴らもさすがに反省したようで、
「悪かったよ」
「柴木に嫉妬してたんだ、すまん」
「助けてくれて感謝してる」
「ハードモードになったのは柴木のせいだって言ったけどよ、忘れてくれ」
俺に対してもしおらしい態度を見せた。
そんな中、梶谷と深町も俺のもとへとやってくる。
俺の正面に立つ二人。
相変わらずでかい。
無言のまま俺を見下ろしてくる梶谷と深町。
「な、なんだよ」
二人が何も話し出そうとしないので俺から声をかけた。
すると、
「……頑張れよ」
梶谷はその一言だけ言って立ち去っていく。
さらに深町も、
「……北原に謝っておいてくれ。じゃあな」
と言い置いて俺のもとから去っていった。
……これは仲直りってことでいいのだろうか。
うーん、わからない。
これまで喧嘩すら、する相手がいなかったから仲直りの方法も当然知らないのだ。
「でも……悪い気分じゃないな、うん」
俺は梶谷と深町の後ろ姿を眺めながら心が軽くなっていくのを感じていた。
☆ ☆ ☆
生き返った者たちと別れを告げて俺とメタムンと北原姉妹だけが残った。
夕日に照らされて、長い影が三人と一匹分草むらに形作っている。
「柴木くんたちはこれからどうするの?」
北原が俺に顔を向けた。
「そりゃもちろん、この【魔物島】を出られるまで出来ることは何でもするつもりさ」
「メタムンちゃんはそれでいいの?」
『うんっ。おいら、善と離れ離れになるのは寂しいけど善に協力するんだっ!』
「そっか。偉い偉い」
メタムンの頭を優しく撫でる北原。
メタムンは気持ちよさそうに目を細める。
「じゃあ、北原も北原妹も元気でな」
俺が口にすると、
「北原妹ってねぇ、すみれって可愛い名前があるんだからちゃんと呼んであげてよっ」
北原がいつになく怒ったような口ぶりで言った。
「ほら、すみれって。はいっ」
「あ、え、えっと……」
俺は北原すみれを前にして口ごもる。
女子を名前で呼び捨てにするなんて……お、俺には無理だ。
『善、顔赤いよっ』
「う、うるさいっ」
「柴木くん、ほら早くっ」
「う、うぅ……」
ちらっと盗み見ると北原すみれはうつむいていて表情がまったく見えなかった。
だが北原すみれの耳は真っ赤になっていた。
「ほら、言わないと一生このままだよっ。日が暮れちゃうよっ」
北原の言葉が胸に突き刺さる。
俺にはまるで俺の成長をうながしているかのように聞こえたのだ。
だからこそ、俺は意を決して、
「……す、す、す、すみ……す、すみれも、元気でな……」
心臓が爆発しそうになりながらもそう口にした。
そして――すみれもまた、
「……は、は、はいっ……し、し、柴木さんも、お、お元気でっ……」
真っ赤な顔を俺に向けてそう言ったのだった。
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