38 / 66
第38話 試合
しおりを挟む
「おっまだいたのか……ってなんだよ、でかい割に腕ほっそいなお前、そんなんで剣振れんのかよっ」
リング際で振り返るランド王子だが俺を見て明らかにがっかりしている。
仕方ないだろ。俺は魔法使いなんだから。
筋トレばかりしている戦士や剣士たちとは違うんだ。
「まあいいだろ、ちゃっちゃとやろうぜっ。手加減はしてやるからよっ」
「そりゃどうも」
「いつでもいいぜ、かかってこいっ」
『手始めにギリギリまで近付け。ランド王子の間合い直前で私が止まれと言うから止まるんだ、いいな』
はいはい。
プルセラ王女の操り人形と化した俺は剣を構えながらじりじりと距離を詰めていく。
『そのままゆっくり近付け……三、二、一、止まれっ』
俺はプルセラ王女の声に従い止まった。
ランド王子は攻撃してこない。
『さっきまでの戦いを見る限りランド王子は右から左下に剣を振り下ろした後少しだけ隙が出来る。そこを狙え』
狙えって言っても……。
「そっちからこいよ、木偶の坊っ」
向こうは先に攻撃する気がないようだ。
「ランド王子は手加減する気満々なんで剣振ってこないですけど」
俺は小声で話す。
『だったらお前から仕掛けろ!』
いや、それだと作戦もくそもないんじゃ……。
『いいから、行けっ!』
俺の心の声を感じ取ったのかプルセラ王女は大声で叫んだ。
仕方なく俺は剣を振りかぶって「やあっ!」とランド王子に向かっていった。
「おいおい、マジかよお前」
ランド王子は俺の剣をひょいと簡単にかわすと俺のふくらはぎあたりをザシュッと斬りつけた。
「いっ!」
俺は足がもつれてリングに倒れてしまう。
「お前もうリングから下りろ、弱すぎて話になんねぇ」
『な、何やってるんだっ、バカもの! さっさとそいつを倒せっ!』
無茶な要求をしてくるプルセラ王女。
「今のお前じゃ一万回やってもオレに一発も食らわせることだって出来ねぇよ」
確かにランド王子の言う通り今の俺では絶対に勝てない。
だから……。
俺は剣を足元に置き、両手を胸の前で合わせ目をつぶった。
「……おい、なんのつもりだ?」
ランド王子の声の調子が少し変わった。
「い、いやあちょっと精神集中を……」
「ふざけんな! オレの前で剣を捨てて目をつぶるなんていい度胸してるじゃねぇか、ああ?」
「別に捨てたわけでは――」
「黙れ!」
ランド王子は声を荒らげる。
「オレが手加減してやってたらいい気になりやがって、おらぁっ!」
ザクッ!
お腹のあたりを刺された。剣が体を貫通しているのが感覚でわかる。
「ぐぅっ……」
俺は体を丸めて地面に倒れ込む。
生温かい。きっと大量の血が出ていることだろう。
『スタンスっ!』
プルセラ王女の声が聞こえる。
ダンッと俺の頭を踏みつけるランド王子。
「オレをバカにした奴はどうなるか教えといてやらぁ!」
『スタンスやめだっ、もういいっ!』
プルセラ王女の必死そうな声。
俺はサッカーボールのように顔面を強く蹴られる。
「ぶふっ……!」
鼻で息が出来ない。
鼻血も出ているようだ。
『スタンス、今そっちへ向かっている! お前はもういいからリングを下りろっ!』
俺はよろめきながら立ち上がる。
「はぁっ……はぁっ……」
「はんっ。これは剣術の正式な試合だ。つまり……試合中に死んでもおとがめなしだぜっ!」
ランド王子が大声を上げた瞬間俺はカッと目を見開き後ろに跳びのいた。
すかっ。
ランド王子の剣が空を切る。
「なっ!?」
ランド王子が驚きの顔を見せた。
「お前、まだ動けたのかっ」
「まだ動けたも何も俺はピンピンしてるぞ」
服をめくってお腹を見せてやる。
ヒールの魔法が効力を発揮し体に負っていた傷は全回復していた。
もちろん鼻血も止まっている。
「何っ、ど、どういうことだ!? オレは確かに内臓を突き破ってやったはずなのにっ!」
「スタンスっ!」
その時プルセラ王女がリング下に駆けつけてきた。
俺は剣を拾うとプルセラ王女に「言いつけ通り倒しますよ」と言い放つ。
「倒すだとっ、オレをか、クソやろーっ!」
ランド王子の剣を俺は紙一重でかわす。
「クソがっ……」
次々と襲い掛かってくる剣撃。
ランド王子の剣さばきは見事としか言いようがないがダブルアクセルで身体強化した今の俺には避けられないことはない。
「なんで当たらねぇんだっ!」
ランド王子が右から左下に剣を大きく振り下ろした。
今だっ!
俺は一瞬の隙を逃さずがら空きになったみぞおちに思いきり剣の柄を突き当てた。
「ごはぁっ……!!」
よだれを垂らしながらリングに前のめりに倒れるランド王子。
「ランドっ!?」と叫んだあとガシュウ国王も泡を吹いてVIP席に倒れ込む。
なんか厄介な親子だな。
静寂が辺りを包んでいると、イヤホンからプルセラ王女の声が届いてきた。
『私がこれから言うことをランド王子に言うんだ。いいなっ』
リング下にいるプルセラ王女に目をやると「こっちを見るな」というジェスチャーをしてくる。
『ランド王子、俺の勝ちだ』
「……」
『言え、早くっ』
「……ランド王子、俺の勝ちだ」
俺は倒れているランド王子を見下ろしながら言った。
『約束通りジュエル王女はいただく』
「約束通りジュエル王女はいただく」
『両国王が見ている前での試合だ、男に二言はないな』
「両国王が見ている前での試合だ、男に二言はないな」
『それとジュエル王女!』
「それとジュエル王女!」
VIP席にいるジュエル王女に向かって叫ぶ。
『結婚しよう!』
「結婚し……って言えるかっ」
『こら、ちゃんと私の言う通りに言え!』
「結婚はやっぱり好きな人とするべきですっ」
『お前好きな奴でもいるのか?』
「いませんよ」
『だったらいいじゃないか』
「ジュエル王女がよくないでしょ」
すると、
「どうされたのですかっ?」
VIP席から目を細めながらジュエル王女が声を発した。
勝手なことして怒ってなきゃいいけど……。
『結婚しようって言えっ!』
「……」
『死刑にするぞ、早く言えったら!』
俺は意を決した。
「ジュエル王女! 俺はあなたのことをよく知りませんし、あなたも俺のことをよく知らないでしょう」
『こら、勝手なことを言うな!』
「だからジュエル王女……まずは友達になりましょう!」
「……」
ジュエル王女は何も返さない。
まずかったか?
王女相手に友達になりましょうは上から目線過ぎたかな、と少し反省しているとジュエル王女が、
「……わかりましたっ。結婚を前提にお友達から始めましょう!」
ほんの少しだけ笑みを含んだ顔でそう答えた。
……え?
「……結婚を前提に……?」
リング際で振り返るランド王子だが俺を見て明らかにがっかりしている。
仕方ないだろ。俺は魔法使いなんだから。
筋トレばかりしている戦士や剣士たちとは違うんだ。
「まあいいだろ、ちゃっちゃとやろうぜっ。手加減はしてやるからよっ」
「そりゃどうも」
「いつでもいいぜ、かかってこいっ」
『手始めにギリギリまで近付け。ランド王子の間合い直前で私が止まれと言うから止まるんだ、いいな』
はいはい。
プルセラ王女の操り人形と化した俺は剣を構えながらじりじりと距離を詰めていく。
『そのままゆっくり近付け……三、二、一、止まれっ』
俺はプルセラ王女の声に従い止まった。
ランド王子は攻撃してこない。
『さっきまでの戦いを見る限りランド王子は右から左下に剣を振り下ろした後少しだけ隙が出来る。そこを狙え』
狙えって言っても……。
「そっちからこいよ、木偶の坊っ」
向こうは先に攻撃する気がないようだ。
「ランド王子は手加減する気満々なんで剣振ってこないですけど」
俺は小声で話す。
『だったらお前から仕掛けろ!』
いや、それだと作戦もくそもないんじゃ……。
『いいから、行けっ!』
俺の心の声を感じ取ったのかプルセラ王女は大声で叫んだ。
仕方なく俺は剣を振りかぶって「やあっ!」とランド王子に向かっていった。
「おいおい、マジかよお前」
ランド王子は俺の剣をひょいと簡単にかわすと俺のふくらはぎあたりをザシュッと斬りつけた。
「いっ!」
俺は足がもつれてリングに倒れてしまう。
「お前もうリングから下りろ、弱すぎて話になんねぇ」
『な、何やってるんだっ、バカもの! さっさとそいつを倒せっ!』
無茶な要求をしてくるプルセラ王女。
「今のお前じゃ一万回やってもオレに一発も食らわせることだって出来ねぇよ」
確かにランド王子の言う通り今の俺では絶対に勝てない。
だから……。
俺は剣を足元に置き、両手を胸の前で合わせ目をつぶった。
「……おい、なんのつもりだ?」
ランド王子の声の調子が少し変わった。
「い、いやあちょっと精神集中を……」
「ふざけんな! オレの前で剣を捨てて目をつぶるなんていい度胸してるじゃねぇか、ああ?」
「別に捨てたわけでは――」
「黙れ!」
ランド王子は声を荒らげる。
「オレが手加減してやってたらいい気になりやがって、おらぁっ!」
ザクッ!
お腹のあたりを刺された。剣が体を貫通しているのが感覚でわかる。
「ぐぅっ……」
俺は体を丸めて地面に倒れ込む。
生温かい。きっと大量の血が出ていることだろう。
『スタンスっ!』
プルセラ王女の声が聞こえる。
ダンッと俺の頭を踏みつけるランド王子。
「オレをバカにした奴はどうなるか教えといてやらぁ!」
『スタンスやめだっ、もういいっ!』
プルセラ王女の必死そうな声。
俺はサッカーボールのように顔面を強く蹴られる。
「ぶふっ……!」
鼻で息が出来ない。
鼻血も出ているようだ。
『スタンス、今そっちへ向かっている! お前はもういいからリングを下りろっ!』
俺はよろめきながら立ち上がる。
「はぁっ……はぁっ……」
「はんっ。これは剣術の正式な試合だ。つまり……試合中に死んでもおとがめなしだぜっ!」
ランド王子が大声を上げた瞬間俺はカッと目を見開き後ろに跳びのいた。
すかっ。
ランド王子の剣が空を切る。
「なっ!?」
ランド王子が驚きの顔を見せた。
「お前、まだ動けたのかっ」
「まだ動けたも何も俺はピンピンしてるぞ」
服をめくってお腹を見せてやる。
ヒールの魔法が効力を発揮し体に負っていた傷は全回復していた。
もちろん鼻血も止まっている。
「何っ、ど、どういうことだ!? オレは確かに内臓を突き破ってやったはずなのにっ!」
「スタンスっ!」
その時プルセラ王女がリング下に駆けつけてきた。
俺は剣を拾うとプルセラ王女に「言いつけ通り倒しますよ」と言い放つ。
「倒すだとっ、オレをか、クソやろーっ!」
ランド王子の剣を俺は紙一重でかわす。
「クソがっ……」
次々と襲い掛かってくる剣撃。
ランド王子の剣さばきは見事としか言いようがないがダブルアクセルで身体強化した今の俺には避けられないことはない。
「なんで当たらねぇんだっ!」
ランド王子が右から左下に剣を大きく振り下ろした。
今だっ!
俺は一瞬の隙を逃さずがら空きになったみぞおちに思いきり剣の柄を突き当てた。
「ごはぁっ……!!」
よだれを垂らしながらリングに前のめりに倒れるランド王子。
「ランドっ!?」と叫んだあとガシュウ国王も泡を吹いてVIP席に倒れ込む。
なんか厄介な親子だな。
静寂が辺りを包んでいると、イヤホンからプルセラ王女の声が届いてきた。
『私がこれから言うことをランド王子に言うんだ。いいなっ』
リング下にいるプルセラ王女に目をやると「こっちを見るな」というジェスチャーをしてくる。
『ランド王子、俺の勝ちだ』
「……」
『言え、早くっ』
「……ランド王子、俺の勝ちだ」
俺は倒れているランド王子を見下ろしながら言った。
『約束通りジュエル王女はいただく』
「約束通りジュエル王女はいただく」
『両国王が見ている前での試合だ、男に二言はないな』
「両国王が見ている前での試合だ、男に二言はないな」
『それとジュエル王女!』
「それとジュエル王女!」
VIP席にいるジュエル王女に向かって叫ぶ。
『結婚しよう!』
「結婚し……って言えるかっ」
『こら、ちゃんと私の言う通りに言え!』
「結婚はやっぱり好きな人とするべきですっ」
『お前好きな奴でもいるのか?』
「いませんよ」
『だったらいいじゃないか』
「ジュエル王女がよくないでしょ」
すると、
「どうされたのですかっ?」
VIP席から目を細めながらジュエル王女が声を発した。
勝手なことして怒ってなきゃいいけど……。
『結婚しようって言えっ!』
「……」
『死刑にするぞ、早く言えったら!』
俺は意を決した。
「ジュエル王女! 俺はあなたのことをよく知りませんし、あなたも俺のことをよく知らないでしょう」
『こら、勝手なことを言うな!』
「だからジュエル王女……まずは友達になりましょう!」
「……」
ジュエル王女は何も返さない。
まずかったか?
王女相手に友達になりましょうは上から目線過ぎたかな、と少し反省しているとジュエル王女が、
「……わかりましたっ。結婚を前提にお友達から始めましょう!」
ほんの少しだけ笑みを含んだ顔でそう答えた。
……え?
「……結婚を前提に……?」
32
あなたにおすすめの小説
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。
あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」
長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。
だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。
困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。
長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。
それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。
その活躍は、まさに万能!
死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。
一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。
大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。
その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。
かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。
目次
連載中 全21話
2021年2月17日 23:39 更新
幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜
犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。
これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる