88 / 176
四章 ミートパイ事件
まさかの再会
しおりを挟むマレー谷。
この谷が別名恐ろし谷と呼ばれるのには理由があった。一つはB級モンスターが大勢生息している事。
そしてもう一つは、この谷に立ちこめる霧。深い霧は視界を覆い、人々を迷わせる。
「アーサー! アーサー! はぁ……どうしよう。はぐれちゃったよ」
魔物の群れに襲われ混戦になる中、アーサーとはぐれてしまったトシキは途方に暮れる。
「なんとかしてあいつと合流しねぇと……でも魔力を辿ろうにも、あいつ今魔力弱くなってるし、上手く辿れるかどうか……あっ! そうだミュウ!」
『みゅう?』
トシキの肩に乗っていたミュウは小さく首を傾げる。
「お前って確か嗅覚が良いんだよな? アーサーの匂い、辿れるか?」
『みゃぁっ!』
『任せろ!』とばかりに頷くミュウにトシキは喜んでミュウを地上に降ろす。
「そうか! なら道案内頼む!」
『みゃぁ~っ!』
ミュウが歩き始めて、その後をトシキが追う。そして数分後。
『みゃ! みゃっ!』
「見つけたのか?」
鳴き声をあげたミュウに反応して話しかける。するとミュウが見ていた方向から人が歩いてくるのが見えた。
しかし……。
「良かった! 合流出来……あれ?」
「はぁっ!? お前なんでこんなところにいやがる!」
現れたのは探し人アーサーでは無く、生徒会長のレイであった。
「なんでE組の落ちこぼれがこんなところに居るんだよ!!」
「そっちこそ、お貴族様がこんな谷の中に何の用でございますかぁ?」
出会って早々火花を散らす二人。余程相性が悪いらしい。
「俺はマトリア草を探しにここへ来たんだよ」
「なんだ。目的は一緒じゃん」
「は? お前も薬草探しか……ってあぶねーだろ!! いっとくけどここのモンスターはB級だぞ! 雑魚なテメェの命がいくらあっても足りやしねぇ! なんて無茶しやがるんだ!!」
「だってさぁ、学校があんなことになってるのに黙って見てるだけって言うのも気分悪いじゃん?」
「その気持ちはわかる。わかるけど、テメェの実力を考えろよ!? どうみても自殺行為だろうが!」
「大丈夫だって! 今まで傷一つ無いし」
「どこがだ!? ボロボロじゃねぇか!」
「服が汚れてるのは転んだからだよ。魔物にやられたわけじゃない」
「……だっせー」
真顔で言われてしまったトシキは顔を真っ赤にして怒鳴る。
「うるせぇな!! こちとら遠足の箱根山以来の山登りなんだよ!!」
「知るか!! そもそもハコネってどこのド田舎出身だよお前!? 聞いたことねぇぞ!? あぁ、もういいからとっとと下山しろよ!」
「やだね。薬草まだ見つけてないし」
「こンの……っ! まぁ、お前一人にするほうが危険か。おい、不細工。ついてこい」
「あん? 何勝手に決めてんだよ。俺は好きに動くからついて来たけりゃ勝手にしろ」
「ふざけんな! そっちが俺様にあわせろ!」
「絶対に嫌!!」
『みゃっ!? みゃぁ~~~~!!』
二人が喧嘩していた最中に、ミュウの悲鳴が聞こえてトシキは振り返る。
「っ!? ミュウ!!」
そこには今にもミュウに襲いかかろうとしている大蛇の姿があった。
103
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母である聖女に不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる