落ちこぼれ同盟

kouta

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二章 休息とそれぞれの出会い

理想の人

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 トシキやアーサー達とお茶会をするのは大体、放課後の午後四時と決まっていた。

 ギリギリまで授業があったり、そうでない場合は部屋で宿題を済ませてしまうのだが、今日はそのどちらでも無く、イオは一人、暇つぶしに校内散策していた。

 王都の中心部にあるにも関わらず、広大な土地を持つリサイア学園には自然が満ち溢れている。自然があるところには、精霊が集まる。この学校の敷地には沢山の精霊が住んでいるのだ。

 寮の裏にある林の奥には湖がある。その湖のほとりでイオは精霊達に囲まれておしゃべりを楽しんでいた。



「アーサーはね、お菓子作りだけでじゃなくて、裁縫も得意なんだよ。この間、トシキの服のボタンが取れかかってたのを、一瞬で元に戻したんだよ」
『別に裁縫じゃなくて時間を元に戻す魔法をかければいいのよ』
「そんな難しい魔法、人間が習得するのは無理だよ」
『出来るわよ。だって彼、以前空間の時間弄ってたじゃない』
「あ……そういえば」
『でしょう? それに光魔法にも同じような効果をもたらす魔法があるのよ』
「ものしりだね」
『伊達に長生きしてないわよ』

誉められた花の妖精が、腕を組んでウインクをした。その隣のニンフが口を開く。

『そういえば、この学校には優秀な精霊使いが多いって聞きましたわ』
「優秀な精霊使い? イーヴル使いの事?」
『彼は私達から見ればまだ甘いわよ。契約しているイーヴルは相当その子に気があるのね。どうみたって力がつりあってないもの』

酷評をする花の妖精の隣で、悪戯風の精霊が反論する。

『それはどうかな? 彼、魅力あると思うよ。将来は絶対に偉大なイーヴル使いになるね』
『その前にイーヴルに貞操を奪われそうだけどね』
『そいつは否定できねぇな!』

花の妖精と悪戯風の精霊の話を聞いていたイオが目を丸くする。

「え? あの二人ってそういう関係なの?」
『鈍い! 鈍いわねーイオ様。あ・の・竜・族・が! あのプライドが超高くって、人を見下すのが大好きな竜族が、あんなちっちゃい子どもに仕えるなんて普通なら有り得ない事よ』
「でも、それは命を救われたからでしょ?」
『それもあるかも知れませんが、竜族は恋愛に関してはとても一途なのです。彼らは生涯にたった一人しか伴侶を持ちませんわ。浮気なんて絶対になさらないのです』

今まで知らなかった竜族の生態をニンフに教えて貰ったイオは興味深そうにつぶやく。

「へぇー、知らなかった」
『この世界でも、結婚式に竜の置物を贈る習慣がありますでしょ? あれは運命の人を愛し続ける竜族にあやかったものなのですよ』
「運命の人かぁ……ロマンチックな話だね」
『イオ様もいつか運命の人に出会いますわ。今から楽しみです』
『イオ様の相手ねぇ……どんな野郎かね』

ニンフの言葉を受けて、悪戯風の精霊が頭の後ろで手を組みながら口にした言葉に、花の妖精が噛み付く。

『なーんで男って決めつけるのよ?』
『そりゃあ……イオ様ってもう15だろ? それなのに……その背の低さじゃねぇ』
「うっ……結構気にしてるのに!」
『悪い悪い』

精霊の恋愛事情は人間とは違ってかなり自由である。女同士、男同士、精霊と人間。精霊と精霊。どんな恋愛も受け入れてしまうおおらかさがあるのだ。
 そして、精霊界でこの年まで生きてきたイオも同じ価値観を持っている。

「男の人でも、女の人でもいいけど、優しい人がいいな」
『そうですわね。美しい方なら尚いいですわ』
『頭の良さも重要よ。馬鹿はイヤ』
『それでいて強い男。やっぱり、精霊王の隣に座るくらいだから肝も座ってなきゃな』
「……凄い条件だ」

三人の意見を聞いて思わずイオは苦笑いを浮かべる。



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