35 / 176
二章 休息とそれぞれの出会い
理想の人
しおりを挟むトシキやアーサー達とお茶会をするのは大体、放課後の午後四時と決まっていた。
ギリギリまで授業があったり、そうでない場合は部屋で宿題を済ませてしまうのだが、今日はそのどちらでも無く、イオは一人、暇つぶしに校内散策していた。
王都の中心部にあるにも関わらず、広大な土地を持つリサイア学園には自然が満ち溢れている。自然があるところには、精霊が集まる。この学校の敷地には沢山の精霊が住んでいるのだ。
寮の裏にある林の奥には湖がある。その湖のほとりでイオは精霊達に囲まれておしゃべりを楽しんでいた。
「アーサーはね、お菓子作りだけでじゃなくて、裁縫も得意なんだよ。この間、トシキの服のボタンが取れかかってたのを、一瞬で元に戻したんだよ」
『別に裁縫じゃなくて時間を元に戻す魔法をかければいいのよ』
「そんな難しい魔法、人間が習得するのは無理だよ」
『出来るわよ。だって彼、以前空間の時間弄ってたじゃない』
「あ……そういえば」
『でしょう? それに光魔法にも同じような効果をもたらす魔法があるのよ』
「ものしりだね」
『伊達に長生きしてないわよ』
誉められた花の妖精が、腕を組んでウインクをした。その隣のニンフが口を開く。
『そういえば、この学校には優秀な精霊使いが多いって聞きましたわ』
「優秀な精霊使い? イーヴル使いの事?」
『彼は私達から見ればまだ甘いわよ。契約しているイーヴルは相当その子に気があるのね。どうみたって力がつりあってないもの』
酷評をする花の妖精の隣で、悪戯風の精霊が反論する。
『それはどうかな? 彼、魅力あると思うよ。将来は絶対に偉大なイーヴル使いになるね』
『その前にイーヴルに貞操を奪われそうだけどね』
『そいつは否定できねぇな!』
花の妖精と悪戯風の精霊の話を聞いていたイオが目を丸くする。
「え? あの二人ってそういう関係なの?」
『鈍い! 鈍いわねーイオ様。あ・の・竜・族・が! あのプライドが超高くって、人を見下すのが大好きな竜族が、あんなちっちゃい子どもに仕えるなんて普通なら有り得ない事よ』
「でも、それは命を救われたからでしょ?」
『それもあるかも知れませんが、竜族は恋愛に関してはとても一途なのです。彼らは生涯にたった一人しか伴侶を持ちませんわ。浮気なんて絶対になさらないのです』
今まで知らなかった竜族の生態をニンフに教えて貰ったイオは興味深そうにつぶやく。
「へぇー、知らなかった」
『この世界でも、結婚式に竜の置物を贈る習慣がありますでしょ? あれは運命の人を愛し続ける竜族にあやかったものなのですよ』
「運命の人かぁ……ロマンチックな話だね」
『イオ様もいつか運命の人に出会いますわ。今から楽しみです』
『イオ様の相手ねぇ……どんな野郎かね』
ニンフの言葉を受けて、悪戯風の精霊が頭の後ろで手を組みながら口にした言葉に、花の妖精が噛み付く。
『なーんで男って決めつけるのよ?』
『そりゃあ……イオ様ってもう15だろ? それなのに……その背の低さじゃねぇ』
「うっ……結構気にしてるのに!」
『悪い悪い』
精霊の恋愛事情は人間とは違ってかなり自由である。女同士、男同士、精霊と人間。精霊と精霊。どんな恋愛も受け入れてしまうおおらかさがあるのだ。
そして、精霊界でこの年まで生きてきたイオも同じ価値観を持っている。
「男の人でも、女の人でもいいけど、優しい人がいいな」
『そうですわね。美しい方なら尚いいですわ』
『頭の良さも重要よ。馬鹿はイヤ』
『それでいて強い男。やっぱり、精霊王の隣に座るくらいだから肝も座ってなきゃな』
「……凄い条件だ」
三人の意見を聞いて思わずイオは苦笑いを浮かべる。
103
あなたにおすすめの小説
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母である聖女に不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる