13 / 31
初デート編
⑧
しおりを挟むデート前日の金曜日。この日の夕食は紬の家で食べた。波留斗の両親が残業で夕食を用意できない時は、専業主婦である紬の母がよく波留斗を夕食に誘ってくれるのだ。小学生の頃ならともかく、高校生となった今では自炊も出来るのだが、紬の母の手料理がとても美味しいこともあって、ちょくちょく波留斗はその誘惑に負ける。
この日も、紬と放課後を過ごしていたのもあって、紬の母に誘われるがままに、夕食の席までお世話になることになった。
「よぅ、波留斗じゃん。久しぶり」
「あ、まゆねえ」
白雪 繭子――通称、まゆねえは、紬の三歳年上の姉である。大学生になってから一人暮らしを始めたので、最近は会っていなかったが、幼い頃は連共々とてもお世話になった。紬以上に気が強く豪快な姉御肌である。あの連でさえ、まゆねえには逆らえない。波留斗達幼馴染ズ永遠のボスだ。
「実家に帰ってきてたんだ?」
「彼氏と喧嘩した。当分帰ってやんねー」
「え、まゆねえ彼氏いんの?」
「うん。まだ付き合って一か月だけど」
聞けば、大学に入学してから三回彼氏が変わったらしい。繭子らしいといえばらしい恋愛歴だ。繭子の歴代彼氏の愚痴を聞きながら、波留斗が夕食を食べていると不意に繭子から訊ねられた。
「そういうアンタはどうなの? 波留斗」
「え」
「彼氏できたん?」
「いや、なんでそこ彼氏?…………一応、明日デート……だけど」
「ふぅん?」
繭子はニヤリと笑って、最後の一切れだったコロッケを口の中に放り込むと、まだ食事中の波留斗の腕を引っ張った。
「あたしの部屋に来な」
「え。なんで?」
「いーから! ほら、早く!」
繭子が強引なのは今更なので、波留斗は急いで味噌汁を飲み干して席を立った。そのまま腕を引かれたので一応抗議する。
「あの、まだ食器の片づけが……」
「そんなの紬がやるでしょ。私たちの分も」
「え」
初耳だった紬が顔をあげるが、繭子はその視線を無視してお構いなしに歩き出す。
「あ、あの! ごちそうさまでした!」
波留斗は台所にいる紬の母親にお礼を言って、紬にはアイコンタクトで謝りながら繭子の後を追いかけた。姉に振り回されるのに慣れている哀れな弟は大きなため息をつきながら、波留斗に向かって肩を竦める仕草をするのだった。
184
あなたにおすすめの小説
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
異世界から戻ったら再会した幼馴染から溺愛される話〜君の想いが届くまで〜
一優璃 /Ninomae Yuuri
BL
異世界での記憶を胸に、元の世界へ戻った真白。
けれど、彼を待っていたのは
あの日とはまるで違う姿の幼馴染・朔(さく)だった。
「よかった。真白……ずっと待ってた」
――なんで僕をいじめていた奴が、こんなに泣いているんだ?
失われた時間。
言葉にできなかった想い。
不器用にすれ違ってきたふたりの心が、再び重なり始める。
「真白が生きてるなら、それだけでいい」
異世界で強くなった真白と、不器用に愛を抱えた朔の物語。
※第二章…異世界での成長編
※第三章…真白と朔、再会と恋の物語
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年後。
静は玲に復讐するために近づくが…
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
【創作BLオメガバース】優しくしないで
万里
BL
壮士(そうし)は男のΩ。幼馴染の雅人(まさと)にずっと恋をしていた。雅人は太陽のように眩しくて、壮士の世界を変えてくれた存在。彼の影を追うように、同じスポーツを始め、同じ高校に進学し、ずっと傍にいた。
しかし、壮士のヒートのせいで、雅人も充てられて発情してしまう。壮士は必死に項を守り、番になることを拒む。好きだからこそ、こんな形では結ばれたくなかった。壮士は彼の幸せを願って別の大学へ進学する。
新しい環境で出会ったのは、α・晴臣(はるおみ)。彼もまた、忘れられない人がいるという。
互いに“好きな人”を抱えたまま始まる関係。心の隙間を埋め合うふたり。けれど、偽りのはずだったその関係に、いつしか本物の感情が芽生えていく?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる