両片思いの幼馴染

kouta

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初デート編

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 デート前日の金曜日。この日の夕食は紬の家で食べた。波留斗の両親が残業で夕食を用意できない時は、専業主婦である紬の母がよく波留斗を夕食に誘ってくれるのだ。小学生の頃ならともかく、高校生となった今では自炊も出来るのだが、紬の母の手料理がとても美味しいこともあって、ちょくちょく波留斗はその誘惑に負ける。
 この日も、紬と放課後を過ごしていたのもあって、紬の母に誘われるがままに、夕食の席までお世話になることになった。

「よぅ、波留斗じゃん。久しぶり」
「あ、まゆねえ」

白雪 繭子――通称、まゆねえは、紬の三歳年上の姉である。大学生になってから一人暮らしを始めたので、最近は会っていなかったが、幼い頃は連共々とてもお世話になった。紬以上に気が強く豪快な姉御肌である。あの連でさえ、まゆねえには逆らえない。波留斗達幼馴染ズ永遠のボスだ。

「実家に帰ってきてたんだ?」
「彼氏と喧嘩した。当分帰ってやんねー」
「え、まゆねえ彼氏いんの?」
「うん。まだ付き合って一か月だけど」

聞けば、大学に入学してから三回彼氏が変わったらしい。繭子らしいといえばらしい恋愛歴だ。繭子の歴代彼氏の愚痴を聞きながら、波留斗が夕食を食べていると不意に繭子から訊ねられた。

「そういうアンタはどうなの? 波留斗」
「え」
「彼氏できたん?」
「いや、なんでそこ彼氏?…………一応、明日デート……だけど」
「ふぅん?」

繭子はニヤリと笑って、最後の一切れだったコロッケを口の中に放り込むと、まだ食事中の波留斗の腕を引っ張った。

「あたしの部屋に来な」
「え。なんで?」
「いーから! ほら、早く!」

繭子が強引なのは今更なので、波留斗は急いで味噌汁を飲み干して席を立った。そのまま腕を引かれたので一応抗議する。

「あの、まだ食器の片づけが……」
「そんなの紬がやるでしょ。私たちの分も」
「え」

初耳だった紬が顔をあげるが、繭子はその視線を無視してお構いなしに歩き出す。

「あ、あの! ごちそうさまでした!」

波留斗は台所にいる紬の母親にお礼を言って、紬にはアイコンタクトで謝りながら繭子の後を追いかけた。姉に振り回されるのに慣れている哀れな弟は大きなため息をつきながら、波留斗に向かって肩を竦める仕草をするのだった。

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