神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

閑話 協力者と我輩

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  我輩とお嬢さんの攻防は既に数十手にも及んでいるのである。
  単純な戦闘力では、お嬢さんの方が上であるが、スピードと経験では我輩に分があるため、なかなか決着がつかないのである。

「むむ、これでは本当に予告の時間に遅れてしまうのである」

「まあまあ、お気になさらずに」

「そう言う訳には行かないのである。
  仕方ない、こればかりは使いたくは無かったのであるが我輩は魔法を使わせて貰うのである」

「魔法?」

「うむ、これは、巨大な城すら一撃で粉々にする魔法、これを受ければいくらお嬢さんでも無事では済まないだろう」

「ブラフでは?」

  嘘では無いのである。
  映画では空に浮かぶ巨大な城が粉々になったのである。

「試してみると良いのである」

  我輩はステッキをしまうと魔力をあつめる。
  
「こ、こんな所でそんな魔法を使う気ですか⁉︎」

「ふふふ、食らうのである!」

  我輩は万感の思いを込めて、ロマン溢れる呪文を唱えるのである。

灯りバ○ス‼︎」

「ギャァア、目が、目がぁぁあ!」

  …………ノリの良いお嬢さんである。
  だが、この隙を見逃す訳にはいかない、すかさず、神に貰った我輩の固有魔法ユニーク、幻影魔法を使い、お嬢さんに幻術を掛ける。
  これで、しばらくの間、お嬢さんは幻の我輩と闘い続けるはずである。
  庭のバトルを制した我輩は屋敷の中へと足を踏み入れ、襲いくる私兵達を叩き伏せて行く。
  そして、我輩は難なく宝物庫へとたどり着いた。
  宝物庫の中には美術品が所狭しと並べられており、趣味が悪いと言うか、なんと言うか……一言で言うとセンスが無いのである。
  それでも1つ1つは素晴らしい美術品である。
  我輩は片っ端からアイテムボックスに入れて行く。
  部屋に有った殆どの美術品を頂いた我輩は、最後に残しておいた1枚の絵に歩み寄る。
  描かれているのは250%位美化されたカーネス子爵である。
  こんな絵に銅貨1枚の価値もないが、額縁には金や銀、ミスリルなどの希少金属、ダイヤやエメラルド、ルビーなどの宝石があしらわれているのでそれなりの額にはなるだろう。
  しかし、我輩の目的はこれでは無い。
  絵をアイテムボックスに入れると、その裏から金庫が顔を出したのである。
  その金庫にはダイヤルキーと鍵穴が2つ、そして、魔力キーがつけられていたのである。
  普通の怪盗ならばお手上げだろうが、我輩には無意味である。
  アイテムボックスから1本の鍵を取り出す。
  これは我輩が転生する時に神から貰った伝説級レジェンドのマジックアイテム、自由の鍵である。
  我輩が魔力を込めて鍵を金庫に触れさせると金庫は、初めからそうであったかの様に扉が開く。
  中にあったのは大量の書類である。
  我輩は適当に書類を、手に取ると内容を読む。
  人身売買の記録や違法薬物の取引の明細である。
  我輩が書類をアイテムボックスに入れいくつか重要な物を確認していると宝物庫に幻術から抜け出したお嬢さんが飛び込んで来た。
  
「おや、もう幻術から抜け出したのかね?  
  流石はAランク冒険者であるな」

「よくもやってくれましたね!」

「勝負とは非情な物なのである」

「大人しく捕まって下さい!」

「それは出来ない相談である」

  我輩は予想より早くこの場にたどり着いたお嬢さんを振り切る為に窓から身を躍らせると、木から木へと飛び移って行く。
 
「逃がしませんよ!」

  お嬢さんは我輩を追って屋根の上を器用に走って来る。
  しかも、かなり速いのである。
  
「しつこいのである! そろそろ諦めるのである」

「そちらこそ、年貢の納め時ですよ」

「仕方ないのである、少し痛い目を、見てもらうのである」

  貴族の屋敷の屋根の上に立ち止まりこちらに向けて跳躍したお嬢さんに幻影魔法を使う。

「観念しましたか?」

「いや、お嬢さんを倒してまかり通らせて貰うのである」

  幻影魔法は、大きく分けて2つの種類があるのである。
  1つは寄生型、これは相手に魔力を寄生させて幻覚や幻影を見せる魔法である。
  もう1つは投影型、こちらは空間に幻影を投影するものである。
  寄生型は1人にしか幻術を掛けられないが、我輩が離れても魔力が切れるか、無理やり解除されるまで幻影を見せることが出来、投影は空間に移しているだけなので、バレやすいが多くの人に見せる事が出来る。
  今回使うのは投影型である。
  
「なぁ!」

「食らうのである! ファイアーボール」

  我輩は巨大なファイアーボールの幻影を作り、お嬢さんに投げつけたのである。

「くっ!」

  お嬢さんは防御の姿勢を取るが、所詮は幻影、実体が無いことは直ぐにバレるのである。
  だから我輩は、今の内に距離を稼ぐのである。
  先ほどのファイアーボールがただの幻だと気がついたお嬢さんは怒りの形相で追いかけて来るのである。

「しつこいのである! 嫁の貰い手が無くなるのであるぞ!」

「余計なお世話です!」

  そして、恐らく、身体強化魔法と身体強化スキルを重ねがけしているのだろう、今までより明らかに速い踏み込みで、2本の戦斧を叩きつけようとしてきたのである。

「おわっ! 危ないのである!」

「む、避けるなんて卑怯ですよ」

「無茶苦茶であるな、大体、あのお姫様は、我輩を捕らえる場合、生け捕りにするように指示を出したのでは無かったのであるか⁉︎」

「はい、その通りですよ?」

「ならそんなものを使って我輩が取り返しのつかない怪我をしたらどうするのである!」

「…………生け捕りにする様に言われましたが無傷でとは言われていません」

「………………あのお姫様は我輩を生け捕りにして配下にしたいのであろう、ならば大怪我を負わせると不味いのでは無いか?」

「そうですね、でもわたしは生け捕りにする様にとしか言われていません」

「な、なんてバイオレンスな奴である!」

  信じられないくらいにバイオレンスな回答に我輩は、開いた口が塞がらないのである。
  本当に元日本人なのか疑わしいのである。

「さあ、大人しく叩き切られて下さい」

「絶対にごめんなのである!」


  我輩は適当な魔法名を叫び、巨大な粘土が空から落ちてくる幻影を、投影する。

  しかし、お嬢さんはナイフを投げ、幻影である事を確認すると我輩に真っ直ぐ向かってきたのである。

「何度も何度も、同じ手に引っかかる訳がないのです!」

「ふむ、幻術だと思っていてもナイフを投げて確認をするか、流石であるな。 
  しかし、我輩の方が一枚上手である」

「がはぁ⁉︎」

  お嬢さんは我輩が放った本物の粘土の塊によって撃ち落とさられていった。
 
「な、なにが……」

「木を隠すなら森の中、森が無いのなら作れば良いのである」
  
「こ……の……」

  お嬢さんが身体に魔力を纏い力を込めると僅かだが粘土が持ち上がった。
  なんて馬鹿力であるか!

創石クリエイトロック

  我輩は念には念を入れて粘土を石へと変化させる。
  
「はっはっは、どうやらここまでの様だね」

「この!」

「しばらくそこに居るのである。
  なに、お嬢さんなら直ぐに出られるのである」
  
アイテムボックスが有れば抜け出すのは容易である。
  しかし、お嬢さんがそれに気付いた時にはすでに我輩の勝ちであるな。
  一瞬にして、霧が我輩を包み込む。
  そして、次に霧が晴れた時には我輩の姿はお嬢さん……Aランク冒険者、漆黒のユウの姿になっていたのである。
  お嬢さんの姿を投影して身に纏った完璧な変装である。
  まぁ、この紳士な格好も同じく投影による変装なので、投影を変えただけなのだが……

「わ、わたしの姿でどうする気ですか!」

「はっはっは、さらばだ明智くん!」

「ま、待ちなさい!」

  こうして、お嬢さんの追跡を振り切った我輩はこの街で1番の高級宿の前に降り立った。

「む、何者だ!」

「まて、あの人はAランク冒険者のユウ殿だ」

  宿の前に立っていた近衛兵は、我輩に軽く礼を取る。

「テレサ様に緊急で報告する事があります。
  通らせてもらいますね」

「はっ! ユウ殿が来た場合はお通しするよう、仰せつかっております」

「ありがとうございます」

  我輩は楽々と宿の中に入ると階段を上がり1つの部屋の前で足を止める。

コン、コン、ココン、コン
  事前に決めていたリズムでドアをノックすると我輩の協力者がドアを開けてくれるのである。

「首尾はいかがでしたか?」

「上々である。
  やはり、カーネス子爵はクズであった」

  我輩は宝物庫で見つけた悪事の証拠の一部を協力者……第1王女付きの侍女、マリルへと手渡したのである。
  パラパラと流し読みする彼女は表情を変えないが、書かれている内容に不機嫌になっている事は、長年の付き合いでわかるのである。

「今回はやはり、あのお嬢さんがネックであったな、此処にも直ぐにたどり着くのである」

「では、お急ぎ下さい」

  我輩は自らが纏っていた幻影を解除する。
  それと同時に下のロビーから声が聞こえて来た。

「ばっかも~ん、そいつがル○ンだ!」

  どうやらもう追いついて来たらしいのである。
  マリルから証拠の書類を受け取るとドアを開け、ロビーにでる。
  ちょうど、お嬢さんがロビーに飛び込み、辺りを伺っている所だった。
  鋭く周囲を警戒する彼女に……

「どうやら、ユウちゃんも奴にしてやられたみたいね」

  そう言って、我輩……いや、私は声をかけるのだった。
























  
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