神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

48話 アークの実力

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「この僕の美しき剣技を見よ!」

  アークさんが駆け出しガラッドさんとの距離を詰めます。
  アークさんが手にしているのは模擬戦用に刃を潰した細剣、ガラッドさんが構えているのは模擬戦用の槍です。
  どちらもギルド所有の訓練用の武器ですから武器による優劣は有りません。

荘厳なる薔薇を纏いし真紅の十字架ローズ・オブ・クリムゾンクロイツ!」

  アークさんが裂帛の気合いと共に細剣を突き出します。
  ガラッドさんは咄嗟に後ろに跳びました。
  アークさんが突き出した細剣はさっきまでガラッドさんが居た空間を突きます。

「「「……………………」」」

  ん?
  何も起きませんね。
  一体どんな技なんでしょうか?

「ふっ、僕の荘厳なる薔薇を纏いし真紅の十字架ローズ・オブ・クリムゾンクロイツを躱すとは、なかなかやるではないか」

「……………………そうか」

  どうやらさっきの突きが『ローズ・オブ何たら』だった様です。
  どう見てもただの突きでした。
  いえ、どちらかと言うと遅い突きでした。

緋色の月光による誘惑スカーレット・クラロ・デ・ルナ・テンプテーション!」

  アークさんの舌を噛みそうな名前の技…………左から右への大振りな横薙ぎをガラッドさんはスッと槍を差し出し、片手で受け止めます。
  うん……あんな大振りの横薙ぎが当たるはずありません。
  ところで話はそれますが、わたしの異世界言語スキルの仕様がどうなっているのかは、よく分からないのですが、アークさんの技名はなんで英語とドイツ語がごちゃ混ぜなのでしょうか?
  今度、神様に聞いてみるのも良いですね。
  閑話休題です。
  アークさんとガラッドさんの模擬戦に視線を向けます。
  2人は再び距離を置き向かい合って居ます。

「この僕に本気を出させるとはな……誇ると良い、ガラッドとやら。
  自分はあの赤薔薇のアークと互角に渡り合ったのだとな!」

「………………」

  ガラッドさんは可哀想な者を見る目でアークさんを見つめています。

「奥義! 高潔な薔薇に捧げる鎮魂歌ノーブル・ド・ローズレクイエム!」

  アークは細剣を振り回しながらガラッドさんに走りよります。
  ………………アレが奥義なのでしょうか?
  無駄な動きが多いと言うより無駄な動きしか有りません。

ガキィン

  ガラッドさんの槍によってあっさりと討ち払われました。

「くっ、なかなかやるな!
  だが、僕を剣術だけの男だと思うなよ!」

  アークさんが大袈裟な動きで両手を天に掲げます。

「この世界に満ちる全ての精霊に 高潔にして誇り高き我が名を このアークの名をもって乞い願う」

  魔法ですか。
  知らない詠唱ですね。
  固有魔法オリジナルだと思います。

「それは紅蓮にして煉獄 業火にして真炎 炎獣王の咆哮が如きその閃光は 森羅万象の理を穿つ」

  一体どんな魔法なのでしょうか?

「遥か天空より降り注ぐ数多の奇跡は 天地創造の福音と成り 終末の闇を喰らい尽くす」

  固有魔法オリジナル凡庸魔法スタンダードと違い自分で組み上げる魔法である為、自身の体質や戦法に合わせた効果を持つなど、かなり特殊な魔法なのです。

「炎よ 水よ 風よ 地よ 我が意思により今こそ 一となれ 一とは炎であり 一とは水であり 一とは風であり 一とは地である」

  一体……どんな魔法が……

「強固なる魂 強靭な意思 秘めたる刃 叡智の書 これこそが真の正義 真に正しき力」

  …………詠唱なが‼︎
  長過ぎます!
  どんだけ長文なんですか!

「我が覇道を妨げし非道なる者に鉄鎚を 天地を撃ち抜き 海を割る世界の意思 世界の摂理 無限の可能性を束ね 三千世界に威を示す」

  アークさんの両手に光の玉が生まれます。

精霊に選ばれし聖なる獣の気高き咆哮エレメンティア・セイントビーストハウル!」

  ちっさ!…………あと、おっそ‼︎

  アークさんが創り出した拳大の光の球は駆け足くらいの速さでガラッドさんを襲います。

  ペチ

  アークさんのエレメンティア・セイントビーストハウル(笑)はガラッドさんに素手ではたき落とされました。

  参考までに説明しますが、火属性の基本的な凡庸魔法スタンダードの1つであるファイアーボールは『撃ち抜け 紅蓮の炎弾よ ファイアーボール』と言う詠唱で人の頭程の大きさの火球が馬の全速力ぐらいの速さで飛びます。

「もういい、俺の負けでいい」

  アークさんを哀れむ様に見ながらガラッドさんが降参の意思を示しました。
  彼も酒癖が悪いだけで悪い人間ではないのでしょう。
  ヒーローの変身や合体を大人しく待っている悪役の様に、あのダラダラと長い詠唱を待っていてくれたのですから……

「はい、勝者アークさんです」

「ふふ、僕の勇姿を見てくれたかい?
子猫ちゃん」

「………………」

「もう大丈夫だ。
  安心して、泣かなくて良いんだよぐふぅ!」

  はっ!
  しまった、つい!
  まぁ、いいか。
  わたしは殴られ……魔力の使い過ぎで気絶したアークさんを邪魔にならない様に端っこに寄せてからガラッドさんや野次馬達とギルドのホールに戻るのでした。
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