神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

61話 諸悪の終焉

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  城の廊下を走る俺達の行く手を塞ぐ様に現れたのは不気味なキメラ兵だった。
  直立した狼の様な姿だが、右腕が身体に不釣り合いな程に大きい。
  
「マーリン、援護してくれ、ソフィアは周囲の警戒を。
  カート、行くぞ!」

「あいよ!」

  俺とカートは剣を構えてキメラ兵に走り寄る。
  マーリンの付与魔法を感じ、剣を振るう。
  キメラ兵の太腿を斬りつけたのだが、不自然な程に強靭な筋肉に阻まれ浅く傷付ける事しか出来ない。
  カートの方も似た様なものだ。

「硬いな」

「ああ、だが時間は掛けられねぇからな。
  紅蓮!」

  カートがマジックアイテムである剣を振るうと凄まじい炎がキメラ兵を包み込む。
   しかし、キメラ兵は炎の中でも平然としている。

「これは面倒だな」

「どうする?」

  カートが嫌そうな顔で問いかけて来た。
  俺に分かる訳がないだろう。

「2人とも、退いて!」

  マーリンの声に俺とカートは飛び退く。
    未だに燃え続けているキメラ兵に氷の槍が殺到する。
  マーリンが放った魔法はキメラ兵の腹に突き刺さり少しづつ身体を凍らせて行く。
  突き刺さった場所から更に冷気を放ち相手を凍らせる上級魔法、アイシクルランスだ。
  味方ながらエグい。

「はっ!」

  マーリンのアイシクルランスを追い掛ける様に走り寄ったソフィアが身体の半分が凍っているキメラ兵に大楯を叩きつけると血飛沫を撒き散らしながら砕け散る。
  ここまでスプラッタなシールドバッシュも珍しいだろう。
  それにしても女性陣は恐ろしい。
  俺はカートと視線を合わせ、苦笑いを浮かべるとロミオ達の所に戻った。

  数体のキメラ兵を倒し城の奥へと進む。
  この先の中庭の端に錬金工房があり、リア王はそこにいる可能性が高いらしい。
  中庭に出て、錬金工房の方に向かっていると前に不気味な肉塊があった。

「な、なんだコレは?」

  それはおそらくキメラ兵なのだろう。
  だが、今までの戦ったキメラ兵よりも大きい者や身体にマジックアイテムを合成された様な奴などもいる。
  しかし、その歪な姿に共通するのはその全てが上半身と下半身が切り離されている事だろう。
  なにか、鋭利な刃物で一刀の元切り捨てられた様だ。
  
「マクベス!」

  そのキメラ兵の中に何かを見つけたのかロミオがマクベスを呼ぶ。
  俺もロミオが指差す方に目をやるとキメラ兵の死体の中に、同じ様に胴で上下に両断されている人間の死体が混ざっていた。
  とても上等な服を着ているのでかなり身分の高い人間なのがもしれない。

「なんだ、こいつは?」

  カートの疑問は別に答えを求めていた訳ではないのだろう。
  しかし、律儀にもマクベスは答えた。

「第2王子のダンカンだ」

「なに!こいつが……」

  まさか捕らえる前に死んでいるとは予想していなかった。

「一体何があったんだ?」

「……………………おそらく歯牙にも掛けられなかったのだろうな」

「え、どう言うことだ?」

「いや、何でもない。
  急ごう、錬金工房はすぐ近くだ」

  マクベスは何かを誤魔化す様に話を打ち切った。
  多分、彼はこの状況について何かを知っているのだろう。
  しかし、それを語る気は無い様だ。
  もしかしたら例のAランクキメラの件と関係が有るのかもしれない。
  キメラ兵の死体からマクベスの方に目をやると彼の向かう先に大きな建物があり、建物の前に座り込んだ人影が見える。

「アレは……」

  俺達はその人影に駆け寄るのだが……

「な、あ、あれは⁉︎」

  その人影に気を取られていた俺達は、その存在に気付くのが遅れてしまった。
  それはあまりにも大き過ぎた。
  大木の様に太い手足に、鎧の様な鱗を持った見上げるほど巨大なキメラだ。
  額からは鋭い角がそそり立ち、不揃いで歪な牙はその存在が自然に生まれた命では無い事を物語っている。
  目にした瞬間、こいつが例のAランクキメラだと確信した。
  圧倒的な存在感に戦えばタダでは済まないと思わされる。
  しかし、このキメラと俺達が戦う事は無いだろう。
  何故ならこのキメラも、さっきの第2王子ダンカンやキメラ兵の様に斬り殺されているからだ。
  その滑らかな切り口は今までの目にした事のない程の腕だ。
  噂に聞く神域の剣士の様な、達人の剣によるものだろう。
  何にせよ、マクベスの言う通りAランクキメラは最早無力だ。
  俺達は改めて座り込んでいる人影に近づく。
  その人物は痩せぎすな男だった。
  顎に少しヒゲを蓄えた男は、何故か何かに怯える様にガクガクと震えている。
  男の非常に上等な衣服は自ら掻きむしったのかズタボロになっており、両手の爪は剥がれ、手と服は血に塗れている。
  失禁したのか股間の辺りを濡らしているが男は気に掛ける様子もないく、虚ろな目は、焦点の合わない視線をギョロギョロと忙しなくあちこちに向けている。
  その口は、時折「死が……」「助けてくれ」「嫌だ」「美しい」と訳がわからない事を呟いている。

「なんだ、このおっさんは?」

「俺の父、リア王だ」

「え、こいつが⁉︎」

「だが、リア王はブロンドの髪をしているはずでは?」

  ソフィアは事前に説明されたリア王の容姿を思い出した様で、マクベスに問いかける。
  確かに俺もリア王はブロンドの髪をしていると聞いた。
  しかし、目の前の男は白髪だ。

「いや、この男がリア王で間違いない。
  何故白髪になったのかはわからないが………………それ程の恐怖を知ったのかも知れないな」

  マクベスが男をリア王と断定した。
  小さく何かを呟いた気がしたが、俺は深くは考える事はなかった。
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