神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

89話 杖の折れた魔法使いの像

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  雷鳥の止まり木の応接室のソファに腰掛けたわたしは目の前に座る赤毛の青年と談笑を続けていました。

「なるほど、不正奴隷ですか」

「はい、盗賊と癒着している商人や貴族が居るのでしょう」

  先日の事件について口止めされていない部分を話していました。
  どうせ、商人には情報が伝わるでしょうし問題ありません。

「しかし、あの日冒険者ギルドに登録したユウさんがもうAランクとは、驚きが隠せませんよ」

「ははは、よく言われます」

  カーン、カーン!

  お昼の鐘の音が聞こえて来ました。
  随分と話し込んでいた様です。

「おっと、もうこんな時間ですか。
  すみませんユウさん、僕はこの後商談の約束が有るのでそろそろ失礼させて頂きます」

「ええ、わたしもお昼に辺境伯様に呼ばれているのでこの辺にしておきましょう」

  わたしは立ち上がり部屋を出ようとしているロキさんを呼び止め、数本のガラス瓶を差し出しました。
  ガラス瓶の中は、透き通った液体で満たされている。

「コレは?」

「差し上げますよ、お土産です。
  わたしが作ったお酒なのですが、なかなかの出来ですよ」

「コレがお酒ですか?
  水の様に透明ですよ?」

「リュウガ王国て栽培されている米と言う穀物で作ったお酒です。
  清酒と言ってわたしの故郷ではスタンダードなお酒の1つです」

「ユウさんの故郷と言うと、大和と言う大陸の外の国ですよね。
  その国のお酒ですか」

「はい、口に合えばいいのですが」

「ありがとうございます。
  大切に飲ませて貰います」

  商談に向かうロキさんを見送ったわたしは辺境伯邸に向かいます。 
  今朝、フレイド様の使いの方が来て例の結界を作るマジックアイテムを引き渡す準備が出来たと伝えてくれたのです。

「こんにちは」

「これはユウ殿、どうぞお通り下さい」

「ありがとうございます」

  貴族街の門番さんもすっかり顔馴染みです。
  ガヤガヤとして活気のある平民区とは違い、ゆったりとした空気の流れる貴族街を歩き見慣れた砦の様な辺境伯邸に到着しました。
  辺境伯邸の門番さんに来訪を告げるとシルバさんが出迎えてくれました。
  応接室で少し待ち、フレイド様と面会します。

「ユウ殿、この度は迷惑を掛けたな」

「本当ですよ、全く。
  それで、あのバカはどうなったのですか?」

  別にフレイド様が悪い訳では有りませんがバカな貴族から守る約束ですからね。
  まぁ、今回は明らかに偽物の命令書が面白かったのでわざと捕まったのですがから自己責任と言われれば反論は出来ません。
  でも、少し嫌味を言うくらいはフレイド様も許してくれるでしょう。
 
「アホールは正式に爵位剥奪の上斬首、屋敷に居た使用人30人の内、犯罪に関わっていた者達は26名、15人は犯罪奴隷、5人は鞭打ち刑、2人は国外追放、犯罪に深く関わっていた3人は縛り首と決まった」

「1人足りませんよ?」

「ああ、その1人も犯罪に深く関わっていたんだが…………尋問の最中に事故があってな」

「事故……ですか」

「事故だ」

  拷も……尋問によってショック死してしまったのかも知れませんね。
  今までやって来た事の報いですから同情の余地など有りませんけどね。

「それと、コレがユウ殿に頼まれていた結界のマジックアイテムだ」

  フレイド様はシルバさんから受け取った物を机の上に置きました。
  見た目はただの彫刻ですね。
  折れた杖を手にした魔法使いがデザインされています。

「ありがとうございます。
  これで魔力操作の鍛錬が捗ります」

「それは良かった。
  すまないが今回の件で私はまだ仕事が残っているのでこれで失礼するよ」

「お忙しい時に申し訳ありません」

「気にすることはないさ。
  裏庭でミッシェルがユーリアに魔法を教えているんだ。
  もし良かったらカオを出してやってくれ」

「はい、是非」

  忙しそうに部屋を出て行くフレイド様の背中が見えなくなったのでわたしも魔法の鍛錬をしていると言うユーリア様に会いに行きましょう。
  わたしはシルバさんに案内を頼み、裏庭へとむかうのでした。
  
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