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神々の間では異世界転移がブームらしいです。第4部《新たなる神話》
40話 彼とエピローグ
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勇者と邪神の戦いがあった邪神の神殿は、激しい戦いによって半壊してしまっている。
神殿の周囲にはシルバリエの配下の魔族の戦士が警備に立っている。
そんな場所に1人の青年が近づいて行く。
「ふぅ、こんなところの警備なんてついてないな」
「仕方ないだろ。
ここは魔族の神……じゃ無い、邪神の本拠地だったんだ。
警備無しなんて訳にわいかんだろ。
正午には交代が来る。
それまでは誰も中に入らない様に気を付けろよ」
「分かってるよ」
暇なのだろう、雑談を交わす2人の間を青年は通り抜けて神殿の中へと入って行く。
勇者と邪神が戦った場所に到着した青年は瓦礫の下を覗き込み何かを探し始めた。
「あ、あった!」
しばらく探し続けていた青年が瓦礫の中から拾い上げたのは手の平に収まるくらいの黒い珠だった。
青年は満足気に黒い珠を懐にしまうと再び正面から堂々と警備の間を通って出て行った。
それから数日、青年の姿は魔境の奥深く、遥か天空に突き刺さる山の頂上付近に有った。
強力な魔物が現れる険しい山道を歩いてきたはずの青年は、息切れするこたもなければ、身に付けた服にも汚れ1つ存在していない。
そんな青年の目の前に現れたのはこの山の主だった。
遥か昔、人々が今よりも高度な文明を築いていた時代からこの山に君臨する竜は、龍族とは違い純粋な魔物である。
しかし、長い時を生きた結果、魔物という存在を超越し、半ば精霊の領域に入っている竜は、この世界に生きる命において、およそ頂点と呼べる存在だった。
だが、自らの住処にズカズカと入り込んできた青年を前にした竜は、その巨体を可能な限り小さく折り、己の顔を地面へと押し付けていた。
そうして、今にも震え出しそうな身体を意志の力でどうにか押さえ付けているのだ。
「驚かせてしまった様だね。
少し通らせて貰うけど気にしないでくれ」
そう言うと、青年は軽く手を振りながら竜の前を通り抜け、緊張で身を硬くした竜をその場に残して歩き去って行った。
「ふぅ、ようやく着きましたね。
面倒では有りますがこれも様式美と言うものですか………………ふふ、悪く有りませんね」
数時間後、山頂に到達した青年は自らの無駄だけらで非効率的な行動に笑みを浮かべる。
青年がその気になればここ1ヶ月程の間に行った事など、ほんの数秒で終わらせる事が出来る。
それなのに何故こんな苦労……とまでは言わないが、回りくどい事をしているのかと言えば、それは様式美故の事なのだろう。
そんな時間を掛けて行っていた作業の終着点は、青年の目の前に見える扉だ。
魔境の奥深くの大きな山の頂上には、扉が1つ存在しているだけだった。
ゴツゴツとした岩場に佇む扉に手を掛けた青年……赤毛の行商人、ロキと名乗る青年は、躊躇する事なく扉を開けた。
扉の先にはどこまでも広がる白い空間が存在していた。
ロキが中に入ると背後の扉は消失する。
部屋の中に居るのは3人、見る者の記憶に残らない不思議な顔をした男、黒髪の青年、そしてロキだ。
不思議な顔の男とロキの間に立つ黒髪の少年は不思議に顔の男と話しており、ロキには気づいていない。
「ありがとうございます、神様」
「いやいや、君の新しい人生が素晴らしい物になる様に祈っているよ」
不思議な顔の男がそう言うと最後まで振り返らなかった黒髪の少年はそのまま光に包まれて消えて行った。
それを見届けたロキは前に進み出て、不思議な顔の男に気安く話しかける。
「やぁ」
「お帰り、ボク」
「ただいま、ボク」
「それで?」
「ああ、ちゃんと回収して来たよ」
ロキは懐から黒い珠を取り出してみせる。
「ありがとう、充電しといてくれる?」
「あいよ~」
ロキは行ったの間にか手元に現れたプラグ受けに黒い珠に接続したコンセントを挿入する。
これでまた1年もすればこの《インスタント邪神くん》が使える様になるだろう。
「さて、そろそろ戻るか」
「そうだね」
パチン
不思議な顔の青年が指をならす。
するとさっきまでそこに居たロキの姿が消えて無くなってしまった。
「さてと……」
同時に存在している自分自身、同位体のロキを消し去った不思議な顔の男……赤毛の神ロキは.先程異世界へと転移させた少年についてあの少女に伝える為、机に置かれた電話に手を伸ばすのだった。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 完
神殿の周囲にはシルバリエの配下の魔族の戦士が警備に立っている。
そんな場所に1人の青年が近づいて行く。
「ふぅ、こんなところの警備なんてついてないな」
「仕方ないだろ。
ここは魔族の神……じゃ無い、邪神の本拠地だったんだ。
警備無しなんて訳にわいかんだろ。
正午には交代が来る。
それまでは誰も中に入らない様に気を付けろよ」
「分かってるよ」
暇なのだろう、雑談を交わす2人の間を青年は通り抜けて神殿の中へと入って行く。
勇者と邪神が戦った場所に到着した青年は瓦礫の下を覗き込み何かを探し始めた。
「あ、あった!」
しばらく探し続けていた青年が瓦礫の中から拾い上げたのは手の平に収まるくらいの黒い珠だった。
青年は満足気に黒い珠を懐にしまうと再び正面から堂々と警備の間を通って出て行った。
それから数日、青年の姿は魔境の奥深く、遥か天空に突き刺さる山の頂上付近に有った。
強力な魔物が現れる険しい山道を歩いてきたはずの青年は、息切れするこたもなければ、身に付けた服にも汚れ1つ存在していない。
そんな青年の目の前に現れたのはこの山の主だった。
遥か昔、人々が今よりも高度な文明を築いていた時代からこの山に君臨する竜は、龍族とは違い純粋な魔物である。
しかし、長い時を生きた結果、魔物という存在を超越し、半ば精霊の領域に入っている竜は、この世界に生きる命において、およそ頂点と呼べる存在だった。
だが、自らの住処にズカズカと入り込んできた青年を前にした竜は、その巨体を可能な限り小さく折り、己の顔を地面へと押し付けていた。
そうして、今にも震え出しそうな身体を意志の力でどうにか押さえ付けているのだ。
「驚かせてしまった様だね。
少し通らせて貰うけど気にしないでくれ」
そう言うと、青年は軽く手を振りながら竜の前を通り抜け、緊張で身を硬くした竜をその場に残して歩き去って行った。
「ふぅ、ようやく着きましたね。
面倒では有りますがこれも様式美と言うものですか………………ふふ、悪く有りませんね」
数時間後、山頂に到達した青年は自らの無駄だけらで非効率的な行動に笑みを浮かべる。
青年がその気になればここ1ヶ月程の間に行った事など、ほんの数秒で終わらせる事が出来る。
それなのに何故こんな苦労……とまでは言わないが、回りくどい事をしているのかと言えば、それは様式美故の事なのだろう。
そんな時間を掛けて行っていた作業の終着点は、青年の目の前に見える扉だ。
魔境の奥深くの大きな山の頂上には、扉が1つ存在しているだけだった。
ゴツゴツとした岩場に佇む扉に手を掛けた青年……赤毛の行商人、ロキと名乗る青年は、躊躇する事なく扉を開けた。
扉の先にはどこまでも広がる白い空間が存在していた。
ロキが中に入ると背後の扉は消失する。
部屋の中に居るのは3人、見る者の記憶に残らない不思議な顔をした男、黒髪の青年、そしてロキだ。
不思議な顔の男とロキの間に立つ黒髪の少年は不思議に顔の男と話しており、ロキには気づいていない。
「ありがとうございます、神様」
「いやいや、君の新しい人生が素晴らしい物になる様に祈っているよ」
不思議な顔の男がそう言うと最後まで振り返らなかった黒髪の少年はそのまま光に包まれて消えて行った。
それを見届けたロキは前に進み出て、不思議な顔の男に気安く話しかける。
「やぁ」
「お帰り、ボク」
「ただいま、ボク」
「それで?」
「ああ、ちゃんと回収して来たよ」
ロキは懐から黒い珠を取り出してみせる。
「ありがとう、充電しといてくれる?」
「あいよ~」
ロキは行ったの間にか手元に現れたプラグ受けに黒い珠に接続したコンセントを挿入する。
これでまた1年もすればこの《インスタント邪神くん》が使える様になるだろう。
「さて、そろそろ戻るか」
「そうだね」
パチン
不思議な顔の青年が指をならす。
するとさっきまでそこに居たロキの姿が消えて無くなってしまった。
「さてと……」
同時に存在している自分自身、同位体のロキを消し去った不思議な顔の男……赤毛の神ロキは.先程異世界へと転移させた少年についてあの少女に伝える為、机に置かれた電話に手を伸ばすのだった。
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