31 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》
閑話 兄貴と俺
しおりを挟む
俺はミルミット王国の辺境の街ガストで生まれた。
裕福な商家の次男坊として不自由無く育った俺は成人すると冒険者となった。
俺と違い、書類仕事や礼儀作法と言った物が得意で、剣術でも俺と互角だった兄貴はガスト辺境伯様に執事とした使えている。
冒険者が性に合ったのだろう、俺は気の合う仲間に恵まれ、順調にランクを上げていった。
そして、Bランク冒険者として多くの依頼をこなした俺はギルドマスターからそろそろAランクの試験を受けてみないかと言われるほどになった。
そして、仲間の勧めもあり、今請け負っている討伐依頼を終えたら試験を受けるつもりだった。
しかし、簡単な討伐のはずだった依頼は失敗に終わった。
依頼で入った森で想定外のAランクモンスターと遭遇したのだ。
本来ならこんな浅い森にはいないはずのAランクモンスターに動揺した俺たちは3人の仲間を失い逃げ帰った。
Aランクモンスターと言う強敵を前にして自分の衰えがよく分かった。
俺が冒険者を引退するとギルドマスターに伝えるとギルドマスターは「冒険者ギルドではたらかないか?」と誘ってくれた。
俺はその誘いに乗りギルドで働き、いつの間にかギルドマスターとなっていた。
「ち、幾らやっても終わりが見えねぇぜ」
俺は冷めたお茶を喉に流し込みながら書類の山に目を通して行く。
先日のゴブリンの村の一件に関する書類だ。
救出した女性達に関する書類にサインを入れ、ゴブリン供の残党についての調査報告書を手に取る。
今回の討伐は過去の例にくらべ、遥かに被害が少なかった。
毒に対する治療手段があった事もあるが、ゴブリンロードを速やかに討伐出来た事が大きい。
それを成したのがあの嬢ちゃんだ。
嬢ちゃんはゴブリンキングを瞬殺するとゴブリンロードと1人で戦い始めた。
その間俺は、情けない事にゴブリンキング相手に手こずっていた。
現役だった頃なら問題無く倒せたはずの魔物なのに身体は思った様に動かず、レイピアを繰り出す腕は遅い。
冒険者を引退してからも鍛錬を欠かした事は無かったが、歳にはかてなかったようだ。
俺は年々落ちて行く体力にショックを受けながら仕事をこなして行った。
討伐から数日が経ち、普段の仕事量に戻った頃、兄貴が訪ねて来た。
ギルドマスターの執務室の応接用のソファーに腰掛けた兄貴に酒を出す。(俺はもう勤務終了の時間だ)
髪をオールバックにして片眼鏡を掛けた兄は俺と違い上品な雰囲気がある。
しかし、そんな兄貴は今、焦燥に駆られている。
辺境伯様には2人の子供がいるのだが、ご令嬢のユーリア様が数年前から体が石になる謎の奇病を患っているのだ。
この病は王宮医師ですら原因が分からず、治療法がなかったのだ。
兄貴は辺境伯様の命で大陸の国々を回り、各国の名医や名のある薬師を訪ねて回っていたのだ。
俺も冒険者時代のツテやギルドマスターとしての権限で、可能な限り協力したが治療法は見つからなかった。
それでも諦めず、兄貴は最近行き来ができる様になって来た東方の島国へ治療法を探しに行っていたのだ。
しかし、東方の島国でも治療法は見つからなかった。兄貴は辺境の街ガストへと帰る途中で寄ってくれたらしい。
「くそ!何故、ユーリアお嬢様がこのような仕打ちを受けなければならないんだ!」
ユーリア様は可憐で優しく領民からとても愛されている。ガスト辺境伯家もまた、領民を愛する誇り高い貴族だ。
ユーリア様の病いには皆、心を痛めている。ユーリア様が産まれた時から知っている兄貴なら尚更だろう。
「ほら、兄貴」
兄貴は俺が渡した酒をイッキに煽るとまた泣き始めた。
「大陸中の医者や薬師に声をかけたんだ。でも誰もユーリアお嬢様の病いについては何も分からなかった。もうこの大陸にはユーリアお嬢様を治療できる者は居ない」
俺がユーリア様にお会いしたのは数回だけだが優しい少女だった。
彼女にこの様な災難が降りかかったのは残念でならない。しかし、この大陸には治す手立てはもう……この大陸……この大陸!?
俺は目の前に置かれた酒が溢れるのも構わず立ち上がると慌てて机を漁り、1枚の資料を引っ張り出した。急いで資料に目を通す。
その資料は最近、冒険者ギルドへ登録した冒険者に関するものだ。彼女が冒険者になる前、助けたパーティからの報告が載っている。
それには、彼女が大陸の外の出身で、故郷は薬術が発達していると言っていたらしい。
「お、おい。いきなり如何したんだ?」
呆気に取られている兄貴を無視して、俺はドアに向かおうとすると、ノックが鳴り、軽食を持ったラティが入って来た。
「お待たせしました」
「ちょうどよかった!ラティ、ユウの嬢ちゃんは今街に居るのか?」
「え、ユウさんですか?今日依頼を終えて帰って来ましたから街に居ると思いますけど……」
「そうか。泊まっている宿は分かるか?」
「えっと、たしかロック鳥のさえずり亭だったかと……」
「すまんがラティ、今すぐ宿に行ってユウの嬢ちゃんを連れて来てくれ」
「は、はい」
俺はラティを遣いに出し、兄貴にユウについて説明する。もしかしたらユーリア様の病いについて何か知っているかも知れない。
20分程してラティがユウを連れて戻って来た。ラティにユウの分のお茶と軽食を頼み、ユウに椅子を進める。
俺はユウに兄貴を紹介してユーリア様の病いについて説明し、何か知らないか訪ねた。
「幾つかお聴きしても良いですか?」
「はい。わたくしにお答え出来るものなら」
「ユーリア様はお歳は?」
「今年で13です」
「ユーリア様はずっと辺境に住んでいたのですか?」
「はい。何度か王都などに赴いた事は有りますが基本的にはガストのお屋敷で過ごされてます」
「ユーリア様は魔法は使えますか?」
「いえ、ユーリアお嬢様は生まれ付き魔法が使えず、属性魔法はおろか生活魔法ですら使えません」
「成る程、恐らくですがユーリア様の病いは『メデューサ症候群』だと思います。」
「め、メデューサ症候群ですか?」
「非常に珍しい病気です。わたしも文献で読んだだけで患者に会ったことは有りません」
「それで、嬢ちゃん!そいつは治せるのか?」
「はい。治療は可能です」
嬢ちゃんの言葉を聞いた兄貴は気が抜けたのかソファーにドカリとこしを降ろし、涙を流していた。
裕福な商家の次男坊として不自由無く育った俺は成人すると冒険者となった。
俺と違い、書類仕事や礼儀作法と言った物が得意で、剣術でも俺と互角だった兄貴はガスト辺境伯様に執事とした使えている。
冒険者が性に合ったのだろう、俺は気の合う仲間に恵まれ、順調にランクを上げていった。
そして、Bランク冒険者として多くの依頼をこなした俺はギルドマスターからそろそろAランクの試験を受けてみないかと言われるほどになった。
そして、仲間の勧めもあり、今請け負っている討伐依頼を終えたら試験を受けるつもりだった。
しかし、簡単な討伐のはずだった依頼は失敗に終わった。
依頼で入った森で想定外のAランクモンスターと遭遇したのだ。
本来ならこんな浅い森にはいないはずのAランクモンスターに動揺した俺たちは3人の仲間を失い逃げ帰った。
Aランクモンスターと言う強敵を前にして自分の衰えがよく分かった。
俺が冒険者を引退するとギルドマスターに伝えるとギルドマスターは「冒険者ギルドではたらかないか?」と誘ってくれた。
俺はその誘いに乗りギルドで働き、いつの間にかギルドマスターとなっていた。
「ち、幾らやっても終わりが見えねぇぜ」
俺は冷めたお茶を喉に流し込みながら書類の山に目を通して行く。
先日のゴブリンの村の一件に関する書類だ。
救出した女性達に関する書類にサインを入れ、ゴブリン供の残党についての調査報告書を手に取る。
今回の討伐は過去の例にくらべ、遥かに被害が少なかった。
毒に対する治療手段があった事もあるが、ゴブリンロードを速やかに討伐出来た事が大きい。
それを成したのがあの嬢ちゃんだ。
嬢ちゃんはゴブリンキングを瞬殺するとゴブリンロードと1人で戦い始めた。
その間俺は、情けない事にゴブリンキング相手に手こずっていた。
現役だった頃なら問題無く倒せたはずの魔物なのに身体は思った様に動かず、レイピアを繰り出す腕は遅い。
冒険者を引退してからも鍛錬を欠かした事は無かったが、歳にはかてなかったようだ。
俺は年々落ちて行く体力にショックを受けながら仕事をこなして行った。
討伐から数日が経ち、普段の仕事量に戻った頃、兄貴が訪ねて来た。
ギルドマスターの執務室の応接用のソファーに腰掛けた兄貴に酒を出す。(俺はもう勤務終了の時間だ)
髪をオールバックにして片眼鏡を掛けた兄は俺と違い上品な雰囲気がある。
しかし、そんな兄貴は今、焦燥に駆られている。
辺境伯様には2人の子供がいるのだが、ご令嬢のユーリア様が数年前から体が石になる謎の奇病を患っているのだ。
この病は王宮医師ですら原因が分からず、治療法がなかったのだ。
兄貴は辺境伯様の命で大陸の国々を回り、各国の名医や名のある薬師を訪ねて回っていたのだ。
俺も冒険者時代のツテやギルドマスターとしての権限で、可能な限り協力したが治療法は見つからなかった。
それでも諦めず、兄貴は最近行き来ができる様になって来た東方の島国へ治療法を探しに行っていたのだ。
しかし、東方の島国でも治療法は見つからなかった。兄貴は辺境の街ガストへと帰る途中で寄ってくれたらしい。
「くそ!何故、ユーリアお嬢様がこのような仕打ちを受けなければならないんだ!」
ユーリア様は可憐で優しく領民からとても愛されている。ガスト辺境伯家もまた、領民を愛する誇り高い貴族だ。
ユーリア様の病いには皆、心を痛めている。ユーリア様が産まれた時から知っている兄貴なら尚更だろう。
「ほら、兄貴」
兄貴は俺が渡した酒をイッキに煽るとまた泣き始めた。
「大陸中の医者や薬師に声をかけたんだ。でも誰もユーリアお嬢様の病いについては何も分からなかった。もうこの大陸にはユーリアお嬢様を治療できる者は居ない」
俺がユーリア様にお会いしたのは数回だけだが優しい少女だった。
彼女にこの様な災難が降りかかったのは残念でならない。しかし、この大陸には治す手立てはもう……この大陸……この大陸!?
俺は目の前に置かれた酒が溢れるのも構わず立ち上がると慌てて机を漁り、1枚の資料を引っ張り出した。急いで資料に目を通す。
その資料は最近、冒険者ギルドへ登録した冒険者に関するものだ。彼女が冒険者になる前、助けたパーティからの報告が載っている。
それには、彼女が大陸の外の出身で、故郷は薬術が発達していると言っていたらしい。
「お、おい。いきなり如何したんだ?」
呆気に取られている兄貴を無視して、俺はドアに向かおうとすると、ノックが鳴り、軽食を持ったラティが入って来た。
「お待たせしました」
「ちょうどよかった!ラティ、ユウの嬢ちゃんは今街に居るのか?」
「え、ユウさんですか?今日依頼を終えて帰って来ましたから街に居ると思いますけど……」
「そうか。泊まっている宿は分かるか?」
「えっと、たしかロック鳥のさえずり亭だったかと……」
「すまんがラティ、今すぐ宿に行ってユウの嬢ちゃんを連れて来てくれ」
「は、はい」
俺はラティを遣いに出し、兄貴にユウについて説明する。もしかしたらユーリア様の病いについて何か知っているかも知れない。
20分程してラティがユウを連れて戻って来た。ラティにユウの分のお茶と軽食を頼み、ユウに椅子を進める。
俺はユウに兄貴を紹介してユーリア様の病いについて説明し、何か知らないか訪ねた。
「幾つかお聴きしても良いですか?」
「はい。わたくしにお答え出来るものなら」
「ユーリア様はお歳は?」
「今年で13です」
「ユーリア様はずっと辺境に住んでいたのですか?」
「はい。何度か王都などに赴いた事は有りますが基本的にはガストのお屋敷で過ごされてます」
「ユーリア様は魔法は使えますか?」
「いえ、ユーリアお嬢様は生まれ付き魔法が使えず、属性魔法はおろか生活魔法ですら使えません」
「成る程、恐らくですがユーリア様の病いは『メデューサ症候群』だと思います。」
「め、メデューサ症候群ですか?」
「非常に珍しい病気です。わたしも文献で読んだだけで患者に会ったことは有りません」
「それで、嬢ちゃん!そいつは治せるのか?」
「はい。治療は可能です」
嬢ちゃんの言葉を聞いた兄貴は気が抜けたのかソファーにドカリとこしを降ろし、涙を流していた。
49
あなたにおすすめの小説
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる