不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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剣鬼 闘技祭準備編

鬼人 その1

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「な、何なんだこいつは……俺を何だと思ってやがる!!」
「があああっ!!」


自分を捕食しないばかりに迫ってくるジンに対し、ガロは持ち前の運動神経を生かして相手の動作を読み取って回避する。幸いというべきかジンの動作は素早くはなく、冷静に相手の行動を伺えば避け切れない事はない。問題があるとすればアンデッドのようにガロを「食物」として認識している事であり、まるで肉食獣の牙のように鋭利な歯を何度も噛み合わせる。


「うがぁっ!!」
「くそ、これでも食ってろ!!」


ガロは両手を広げて自分に覆い被さろうとするジンに対し、ガロは右手に握りしめていた剣を構える。外見が人間からかけ離れており、殺さなければこちらが殺されると思い込んだガロはジンの口元に剣を突き刺す。


「くたばれっ!!」
「ぐぎぃっ!!」
「なっ!?」


しかし、突き刺された剣の刃に対してジンは歯を食いしばって弾き返す。刃を歯で受け止めるならばともかく、歯を閉じた状態で刃を跳ね返したジンの行動にガロは呆気にとられ、その隙を逃さずにジンはガロの身体に拳を叩きこむ。


「ふんっ」
「ぐあっ!?」


拳を左肩に受けたガロの肉体が吹き飛び、本物の巨人族に殴りつけられたかのような衝撃が襲い、ガロは7、8メートルも離れた場所に叩きつけられる。想像以上の腕力であり、ガロは血反吐を吐きながら立ち上がろうとしたが、意識も朦朧として上手く動けない。


「ぐふっ……げほげほっ!!」
「や、やばい!!殺されるぞ兄ちゃん!!」
「早く逃げろっ!!」
「うる、せえっ……離れてろっ」


建物の窓から様子を伺っていた一般人がガロに逃走を促すが、彼は左肩を抑えながら起き上がり、ジンの様子を伺う。相手は口元から手を離し、何かを確かめるように嚙合わせる。特に歯に問題はない事を悟ると、ジンは獣のようのな咆哮を放ちながらガロの元に向かう。


「にぐぅううっ!!」
「くそがっ……喰らいやがれっ!!」


左腕は折れたのか動かすことが出来ず、吹き飛ばされた際に両手の剣も落としてしまったガロに残された手は腰に括りつけた魔物の解体用の短剣だけであり、最後の悪あがきとばかりに短剣を放り投げる。


「あぐぅっ!?」
「へっ……ど、どうだ!!」


放り込まれた短剣は見事にジンの顔面に的中し、そのまま相手は上体を反らして立ち止まる。その光景にガロは笑みを浮かべ、まさか最後の抵抗が成功した事に内心驚くが、ゆっくりとジンは上体を元に戻す。


「ぐ、ぎぃっ……!!」
「なっ……嘘だろ?」


短剣の刃を噛みしめた状態でジンはガロを睨みつけ、短剣を口から離す。一体どれだけの硬度を誇るのか歯で噛みつかれた短剣には罅割れが生じており、地面に落ちた瞬間に砕け散ってしまう。その様子を見たガロは無意識に膝を崩してしまい、自嘲する。


「はははっ……マジかよ」
「うがぁっ!!」


自分に対して攻撃を仕掛けてきたガロに対し、ジンは異様に長い前足を繰り出し、踵の部分をガロの胸元に放つ。もう避ける体力さえも残っていないガロに残された手段は両腕を交差して防御する事しか出来ず、ガロの肉体は今度は10メートル近くも吹き飛ばされた。


「がはぁっ……!?」


砂煙を舞い上げながらガロは背中から地面に叩きつけられ、そのまま何度も横転する。勢いが収まった頃にはガロの意識は既に途切れて動かなくなる。


「ぺっ……もう、めしはいい」


ガロを蹴り飛ばしたことで冷静さを取り戻したのか、ジンは腹を抑えながら周囲の様子を伺い、空腹の欲求を満たされた彼の次の行動は「性欲」だった。


「おんなっ……おんなはどこだぁっ!!」
「ひいっ!?」
「馬鹿っ!!早く閉めろっ!!」


建物の窓や扉から様子を伺っていた人間達もジンの叫び声を聞いた瞬間に姿を隠し、その間にもジンは新たな欲求を満たすために周囲の物を蹴散らしながら女性の姿を探す。


「どこだっ!!どこにいるっ……そこかぁっ!!」


耳を研ぎ澄ませ、鼻を鳴らし、邪魔する物を薙ぎ払いながらジンは自分の欲求を満たせる女性を探す。自分の命を狙ったガロが瀕死の状態に追い込んだにも関わらず、止めを刺す事もせずに放置する。彼にとって最早ガロという存在は記憶の片隅にも残っておらず、自分が先ほどまで彼を食べるために行動していた事も忘れる。


「うううっ……ああ、どこだぁあああっ!!」


狂人のように叫び狂うジンの咆哮が街中に響き渡り、彼は頭上を見上げる。その行為に特別な意味はなかったが、本能が彼の欲求を答えたかのように無意識に身体を動かしていた。



――ジンが顔を見上げた直後、建物の屋根の上から斧と剣を組み合わせたような武器を構える美しい少女の姿があり、彼女がジンの顔面に向けて柄の部分を振り下ろしていた。



「兜割りっ!!」
「うぐぁっ!?」


予想外の衝撃がジンの頭部に響き渡り、突如として現れたジャンヌの「旋斧」の柄がジンの頭部に叩きこまれた。



※今更ながらに闘技祭編なのに全然闘技祭をしていない事に気付きました……(;´・ω・)なので章の名前を「闘技祭 準備編」に変更します。
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