不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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都市崩壊編

敵の敵は味方

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「パイル、裏切ろうとしたら許さないわよ」
「……分かっている」
「ちょ、レナ……そろそろ僕、魔力切れそうなんだけど……」
「早くない!?」
『ギイイイイッ!!』


城壁に押し寄せる魔獣兵に対してレナ達は奮闘するが、いくら倒しても勢いが止まる様子はない。普通の人間ならば仲間が殺されれば動揺するが、調教された魔獣兵は仲間が殺されようと意に介さず、それでいながら協力して敵を倒そうと行動してくる。


「ウギィッ!!」
「ギイイッ!!」
「くっ……受け流しっ!!」


前後から挟み撃ちの形でホブゴブリンが振り翳してきた斧をレナは退魔刀の刃で受け流し、両手で剣を握りしめるとその場で一回転するように大剣を振り回す。


「回転撃!!」
「グギィッ!?」
「ウギッ……!!」


一体目は鎧を破壊して胴体を切断する事に成功したが、続けて二体目に関しては斧を盾にして後方へ跳躍し、退魔刀の刃を交わす。仲間が切り付けられている間に回避行動を取ったホブゴブリンにレナは驚くが、即座に掌を構えて追撃を行う。


「火炎槍!!」
「ギャアッ!?」


レナの掌から放たれた火炎がホブゴブリンの顔面を燃やし、しばらくの間は必死に炎を振り払うように暴れていたが、やがて力尽きる。額から汗を流しながらレナは他の皆に警告する。


「こいつら、並の魔物よりも厄介だ!!気を付けないとこっちがやられるよ!!」
「でしょうね……まるで人間を相手にしているようだわ」
「ギギィッ……!!」


人間の言葉さえも理解できるのかホブゴブリン達はレナとシズネの言葉を聞いて笑みを浮かべ、その様子を見たレナは「魔物」というよりも「魔人族」を相手にしている気分に陥る。更に城壁に新手のホブゴブリンが出現した。


「お、おい!!今度は重装兵みたいなのが出てきたぞ!?」
「嘘でしょ……」
『ウギィイイッ!!』


ダインの言葉にレナは振り返ると、全身を黒色の甲冑で覆い込んだホブゴブリンの集団が乗り込み、レナ達の元へ向かう。移動速度は遅いが全身を鎧兜で覆い込み、極めつけには巨人族用の大盾と槍を装備していた。重装兵のホブゴブリンの登場に生き残っていた兵士達は絶望の表情を浮かべる。


「そんな……」
「もう、終わりだ……」
「ぐっ……諦めるなっ!!」


パイルは戦意を失いかけている兵士達を下がらせ、重装兵に向けて両手を突き出す。彼の腕に装着されている「破城槌」も同時に突き出し、ホブゴブリンの構える大盾に衝突した。


「喰らえっ!!」
「グギッ……!?」
「ギイイッ!!」


だが、パイルの突き出した拳が先頭に立っていた重装兵の盾に衝突した瞬間、大盾が変形する程の衝撃が襲い掛かるが、即座に後方に並んでいた他の重装兵が吹き飛ばされそうになっていた個体を支える。その結果、攻撃を繰り出したパイルの方が逆に衝撃に耐えきれずに後退り、両腕に激痛が走る。


「ぐうっ!?こいつら……」
「パイル!!下がりなさいっ!!」
「ウギィッ!!」


両腕が痺れたパイルに対し、先頭のホブゴブリンは盾を手放して握りしめていた槍を構え、パイルの胸元に放つ。咄嗟にパイルは回避しようとしたが間に合わず、槍が皮製の鎧を貫通してパイルの胸元に深々と突き刺さった。


「ぐはぁっ!?」
「ああっ!?」
「そんなっ……」
「ギイイッ!!」


槍を突き刺したパイルの肉体を持ち上げ、ホブゴブリンは城壁外に向けてパイルの肉体を振り落とす。その光景を確認した全員が目を反らし、直後にパイルの身体が地面に衝突する音が響き渡る。


『ギイイイッ!!』


パイルが死亡した事で士気が向上したのかホブゴブリン達は歓声を上げ、その様子を見たレナは歯を食いしばり、空間魔法を発動させて反鏡剣を取り出す。しかし、シズネがレナの行動を抑えるように肩を掴む。


「あいつら……!!」
「駄目よ!!冷静になりなさい……無暗に突っ込んでも返り討ちにされるわ」


重装兵に斬りかかろうとしたレナを抑え、シズネはどのように対処するか冷静に考える。実際の所、レナの攻撃力ならば彼等にも対抗できるだろうが、ホブゴブリンの戦力がどの程度存在するのか分からない内に体力の消耗も考えずに全力で戦い続けるのは得策ではない。


(こいつら……本当にどれだけ居るのよ。これだと切りがないわ)


既にレナ達は20体近くのホブゴブリンは倒しているが、倒す度に新手が押し寄せてくるため一行に敵の数が減らない。二人はともかく、ダインの方は既に魔力が切れかかっており、全身から汗を流していた。


「ちょ、本当にきつい……僕達だけで相手に出来る量じゃないだろ!?」
「そうね……悔しいけど、ここは引き下がるしかないかもしれないわ」
「そ、そんな!!」
「頼む、俺達を見捨てないでくれ!?」


シズネの言葉に城壁に残っていた兵士達が必死に懇願するが、元々は自分達を狙っていた兵士の言葉にシズネは呆れてしまう。
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