不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
467 / 2,091
放浪編

地下にあった物

しおりを挟む
地下に続く階段を下りる途中、下の方から奇妙な臭いと人の悲鳴のような物が聞こえたレナは急いで階段を降りると扉を発見する。取っ手の部分に南京錠が取り付けられているが現在は鍵が開け放たれた状態であり、誰かが中に居ると判断したレナは慎重に扉の隙間から内部を覗く。


(ここは……地下牢か?)


扉の内側には無数の檻が存在し、多数の拷問器具が設置されていた。檻の中には子供が手足を鎖で拘束された状態で捕らわれており、まともに食事も与えられていないのか全員が痩せ細っていた。年齢は10~15歳の少年少女が捕まっているらしく、檻の外には先ほど面会したガブと彼に雇われた傭兵の頭が並んでいた。


「ダルンよ。今回は手柄だったな、まさか魚人だけではなくあれほどの上玉を3人も連れてくるとは……」
「は、はあ……どうも」


机を挟んでガブとダルンと呼ばれた男は座り込み、檻の中に入れられた子供達を見ながらワインを味わう。子供が苦しそうな嗚咽を上げる度にガブは薄気味悪い笑みを浮かべ、それを見たダルンは同情するように子供達に視線を向ける。


「領主様……何時までこんな事を続けるつもりですか?ここのガキ共の親が連日うちのギルドに尋ねてくるんですよ。うちの子供はまだ見つからないのかって……」
「ふん、そんな輩は無視すればいい。この子達は既に私の物だ」
「けど、流石にこうも子供ばかりを誘拐すると怪しまれますぜ?お陰で街のガキ共も外に出歩かなくなって誘拐するのも一苦労ですし……」
「だから街の外から訪れた子供を連れて来たのか?全く、高い金を払っているのに文句の多い奴だ」


二人の会話の内容からレナは領主が自分達を歓待してくれた本当の理由を知って背筋が凍り、盗賊団の調査など嘘で本当は自分達を監禁するために屋敷に引き留めようとしている事を知る。しかも傭兵を雇って街の子供達を誘拐しているらしく、檻の中に入れられている子供達の様子を見ても拷問されている事は明白であり、無意識に拳を握り締める。

しかし、不用意に部屋の中に乗り込むのは危険であり、もう少しだけ様子を伺う事にしたレナは扉の隙間から部屋の間取りを確認し、檻に閉じ込められている子供の様子を観察する。全員が痛めつけられた跡が存在し、見ているだけで痛々しいが、その中に一人だけ異様な状態で拘束されている子供が存在した。


「ところで旦那……坊ちゃんの様子はどうですか?」
「うむ、今日は機嫌が悪いのか用意した食事を全て捨ててしまった。全く、これが反抗期という奴かな?まあ、そこが可愛いんだがな……」
「ああ、そうですかい……」


ダルンは部屋の隅に存在する檻に視線を向け、身体全体に鎖を巻きつかれた状態で拘束されている10歳程度の少年を確認して恐怖の表情を浮かべる。扉の隙間から中の様子を伺うレナも檻の中に存在する少年の顔を見て寒気を覚え、ガブだけが何事もないように檻に近付いて話しかける。


「どうしたんだいコブ?今日はやけに静かだね、お腹が空いてないのかい?」
「グウウッ……ガアッ!!」
「はははっ!!そうかそうか、ならいいんだ」



――檻の中に閉じ込められている少年の顔は異常なまでに痩せ細り、髪の毛は抜け落ちていた。鎖で巻き付かれた胴体も細く、しかも皮膚が所々剥がれ落ちた状態だった。胸元の部分には赤色の宝石のような物が埋め込まれており、それを見たレナは少年が普通の人間ではなく、死霊使いが操作する「死霊人形」である事を見抜く。



ガブはアンデッドと化した息子を前にしても顔色一つ変えず、檻越しに自分に噛みつこうとする息子を見て何事もなさげに話しかける。そんな異常な光景にダルンは口元を抑え、そそくさと部屋から抜け出そうとする。


「じゃ、じゃあ旦那……俺はガキどもの様子を見てきます」
「おお、そうか?捕まえるのは奴等が眠った後だ。しくじるなよ」
「へい……」


ダルンが扉に近付くとレナは咄嗟に天井に視線を向け、足音を立てずに跳躍して天井に張り付く。限界強化の魔法で身体能力を上昇させれば指先の力だけで天井を掴んで身体を支える事も難しくはなく、ダルンが部屋を抜け出して階段を上る様子を確認する。


「たくっ……いかれてやがるぜ。事故で死んだ実の子供をアンデッドに変えるなんて……」


階段を上る途中で愚痴るように呟いたダルンの言葉を聞いたレナは天井から降りると、詳しい話を聞くためにダルンの後を追い、階段の出入口が隠された地上の部屋まで移動した。


「あん?なんで隠し扉が開いているんだ?ちゃんと閉めてきたはずなのに……」
「俺が開けたんだよ」
「うおっ!?」


階段を隠す床板が開け放たれていた事に疑問を抱いたダルンは部屋の様子を確認した瞬間、背後からレナがダルンの首筋に反鏡剣の刃を構え、無駄な抵抗をしないように頭を抑えて話しかける。


「騒げばここであんたの首を切り落とす……地下に存在する部屋は何だ?」
「て、てめえ……あの時のガキか?」
「騒げば殺すといっただろ?」
「ひいっ!?ま、待てて……話す、話すから許してくれ!?」


レナの正体に気づいたダルンは騒ぎ立てようとしたが、剣の刃を首筋に軽く食い込ませると血が滲み、顔色を真っ青にしたダルンは慌ててレナの質問に答えた。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。