810 / 2,091
外伝 ~ヨツバ王国編~
復讐の人生
しおりを挟む
――カレハはティナが生まれた時、彼女が自分を遥かに凌駕する魔力を所有していた事を知って危機感を抱いた。この国では魔力が最も膨大な王族が世継ぎとして選ばれるという古の掟が存在した。この掟はヨツバ王国が建国される前、まだ「エルフ王国」と呼ばれる時代からの慣わしである。
生まれた時から王族としての教育を受け、立派な跡取りに相応しいように育てられたカレハにとって、魔力が大きいという理由だけで甘やかされて育てられたティナに自分の立場を奪われるかもしれないという事実が耐え切れなかった。それでも妹には何の罪もなく、デブリもカレハが正式な跡取りである事に変わりないと宣言した。
しかし、家臣の中には国王の死去はティナが次の国王に相応しいという考え方の者も多かった。幼いティナが国王に相応しい年齢に育つまでの間はカレハが国王代理を務め、その後にティナが国王に相応しい器量を身に着ければ国王の座を譲るべきだと進言する者まで居た。
ティナが生まれてからカレハは自分の今までの行為がティナの「代理」でしかないのかと思い始め、密かにティナに対する苛立ちと怒りを抱く。そんな時に彼女の前にある女が現れたのが全ての始まりだった。
『可哀想な子供ね、貴女は……』
『なっ……いきなり何を言うのですかっ!?』
カレハの前に現れたのは既に王妃としての立場を固めたイレアビトだった。彼女は夫であるバルトロス13世と共にヨツバ王国に来賓客として訪れた時、カレハと接触していた。許可もなく自分の部屋にまで乗り込んできたイレアビトにカレハは戸惑うが、そんな彼女に対してイレアビトは優しく語り掛ける。
『貴女は仮の王として生きて行く事に不安を抱えているわね。自分はあくまでも妹の代理にしか過ぎない、そう考えているんでしょう?』
『あ、貴女に私の何が分かるというのですか!?』
『私にはよく分かるわ。私も貴女と同じ立場だったのだから……』
『えっ……!?』
イレアビトはあろうことか、自分の正体が「旧帝国」を収める長である事、そして長になるために彼女は他の姉妹を殺し、最終的には実の母親さえも殺した事を語った。イレアビトの正体を知ったカレハは動揺を隠せず、それほど重大な事を自分に知らせる理由が分からずに尋ねた。
『ど、どうして貴女はそんな話を私に……』
『貴女にも私になれる力があるからよ。私が旧帝国を……いや、バルトロス王国の王妃の座に上り詰める事が出来たのは力があったからよ』
『力……!?』
『貴女も私のようになれるかどうかは貴女の力量次第よ……私としてはあの純粋無垢な王女より、貴女が国王になってくれた方が都合が良い。そして貴女も私が国王の座に就けば色々と都合が良いはずよ』
『……協力関係、というわけですか?』
『今はそこまでではないわ。貴女が私と対等の立場になれるまでは協力も助力もしないわ……期待してるわよ』
自分よりも明らかに年下(少なくとも60才以上は)の人間の言葉に対してカレハは憤るが、不思議とイレアビトの言葉には説得力があり、彼女の人生がどれほど過酷で危険な道だったように感じられた。100年以上も生きているカレハよりもイレアビトの方が過酷な人生を送り、そして彼女の方が器が大きかった。
イレアビトと接触してからカレハの心の中に「闇」が生まれ、この1年後に彼女は闇に耐え切れずにティナの暗殺を謀る。だが、この時に失敗したのはカレハの中に残っていた良心の呵責に耐え切れず、彼女はティナを殺せなかった。その結果、その甘さが原因で彼女は投獄される。
『カレハよ……どうしてお主はこんな事を!!』
『酷すぎますわお姉様!!』
『信じられない、あの可愛いティナを殺そうとするなんて……貴女はもう、僕達の姉なんかじゃない!!』
『……失望したぞ、カレハ王女よ』
『カレハ様……残念です、貴女こそ国王に相応しいと思っていたのに』
王族の身分から追放され、隔離される際にカレハは実の家族と尊敬していた二人の将軍からも拒絶されてしまう。その事が原因で彼女は隔離後に身体が衰弱し、やがて病に侵されてしまう。治療魔導士は早急に処置を行えば治るはずだった病気だが、もう全てを失ったと思いこんでいたカレハにとっては自分が死のうとどうでもいい話だった。
しかし、彼女はティナがバルトロス王国に訪問すると聞いた時、イレアビトからの使者が訪れる。そしてティナの暗殺の手助けを行う事を告げられた。最初は自分が国王になるまでは強力しないと言い張っていたイレアビトが今更協力を申し出る事に疑問を抱くが、藁をもすがる思いで彼女はティナの暗殺を謀る。
結果としては暗殺は失敗に終わったが、自分とも縁があるライコフが罪を犯して投獄されたという話を聞いたカレハは彼と接触する。そして彼女は「レナ」の存在を知った。
生まれた時から王族としての教育を受け、立派な跡取りに相応しいように育てられたカレハにとって、魔力が大きいという理由だけで甘やかされて育てられたティナに自分の立場を奪われるかもしれないという事実が耐え切れなかった。それでも妹には何の罪もなく、デブリもカレハが正式な跡取りである事に変わりないと宣言した。
しかし、家臣の中には国王の死去はティナが次の国王に相応しいという考え方の者も多かった。幼いティナが国王に相応しい年齢に育つまでの間はカレハが国王代理を務め、その後にティナが国王に相応しい器量を身に着ければ国王の座を譲るべきだと進言する者まで居た。
ティナが生まれてからカレハは自分の今までの行為がティナの「代理」でしかないのかと思い始め、密かにティナに対する苛立ちと怒りを抱く。そんな時に彼女の前にある女が現れたのが全ての始まりだった。
『可哀想な子供ね、貴女は……』
『なっ……いきなり何を言うのですかっ!?』
カレハの前に現れたのは既に王妃としての立場を固めたイレアビトだった。彼女は夫であるバルトロス13世と共にヨツバ王国に来賓客として訪れた時、カレハと接触していた。許可もなく自分の部屋にまで乗り込んできたイレアビトにカレハは戸惑うが、そんな彼女に対してイレアビトは優しく語り掛ける。
『貴女は仮の王として生きて行く事に不安を抱えているわね。自分はあくまでも妹の代理にしか過ぎない、そう考えているんでしょう?』
『あ、貴女に私の何が分かるというのですか!?』
『私にはよく分かるわ。私も貴女と同じ立場だったのだから……』
『えっ……!?』
イレアビトはあろうことか、自分の正体が「旧帝国」を収める長である事、そして長になるために彼女は他の姉妹を殺し、最終的には実の母親さえも殺した事を語った。イレアビトの正体を知ったカレハは動揺を隠せず、それほど重大な事を自分に知らせる理由が分からずに尋ねた。
『ど、どうして貴女はそんな話を私に……』
『貴女にも私になれる力があるからよ。私が旧帝国を……いや、バルトロス王国の王妃の座に上り詰める事が出来たのは力があったからよ』
『力……!?』
『貴女も私のようになれるかどうかは貴女の力量次第よ……私としてはあの純粋無垢な王女より、貴女が国王になってくれた方が都合が良い。そして貴女も私が国王の座に就けば色々と都合が良いはずよ』
『……協力関係、というわけですか?』
『今はそこまでではないわ。貴女が私と対等の立場になれるまでは協力も助力もしないわ……期待してるわよ』
自分よりも明らかに年下(少なくとも60才以上は)の人間の言葉に対してカレハは憤るが、不思議とイレアビトの言葉には説得力があり、彼女の人生がどれほど過酷で危険な道だったように感じられた。100年以上も生きているカレハよりもイレアビトの方が過酷な人生を送り、そして彼女の方が器が大きかった。
イレアビトと接触してからカレハの心の中に「闇」が生まれ、この1年後に彼女は闇に耐え切れずにティナの暗殺を謀る。だが、この時に失敗したのはカレハの中に残っていた良心の呵責に耐え切れず、彼女はティナを殺せなかった。その結果、その甘さが原因で彼女は投獄される。
『カレハよ……どうしてお主はこんな事を!!』
『酷すぎますわお姉様!!』
『信じられない、あの可愛いティナを殺そうとするなんて……貴女はもう、僕達の姉なんかじゃない!!』
『……失望したぞ、カレハ王女よ』
『カレハ様……残念です、貴女こそ国王に相応しいと思っていたのに』
王族の身分から追放され、隔離される際にカレハは実の家族と尊敬していた二人の将軍からも拒絶されてしまう。その事が原因で彼女は隔離後に身体が衰弱し、やがて病に侵されてしまう。治療魔導士は早急に処置を行えば治るはずだった病気だが、もう全てを失ったと思いこんでいたカレハにとっては自分が死のうとどうでもいい話だった。
しかし、彼女はティナがバルトロス王国に訪問すると聞いた時、イレアビトからの使者が訪れる。そしてティナの暗殺の手助けを行う事を告げられた。最初は自分が国王になるまでは強力しないと言い張っていたイレアビトが今更協力を申し出る事に疑問を抱くが、藁をもすがる思いで彼女はティナの暗殺を謀る。
結果としては暗殺は失敗に終わったが、自分とも縁があるライコフが罪を犯して投獄されたという話を聞いたカレハは彼と接触する。そして彼女は「レナ」の存在を知った。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。