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外伝 ~ヨツバ王国編~
カレハの心残り
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「カレハよ……お主の本当の肉体は何処にあるのじゃ?」
「父上……もう、手遅れです。私の肉体は既に死んでいますよ」
「そんな……」
「じゃあ、怨霊術を解いたらもう……」
「ど、どうにか出来ないのですか!?」
カレハの言葉にデブリ達は悲痛な表情を浮かべ、ノルはダインに縋りつくが彼も首を振る。肉体が既に死んでいたとすれば怨霊術を解放した瞬間に魂は召され、もうこの世に戻る事はない。カレハ自身も覚悟は出来ているらしく、完全に肉体が離れる前に彼女は自分を抱えるティナに手をやる。
「ティナ……私を浄化しなさい」
「えっ……で、でも」
「貴女がやりなさい。貴女しか出来ないの……」
「ティナ……カレハの言う通りにしなさい」
「お父さん!?」
「そんな……」
「もう、どうしようもないんだ……」
肉体が既に死んでいると知ったティナは自分の手でカレハに聖属性の魔法を施す事に躊躇するが、この役目は彼女しか任せられず、カレハはティナに笑みを浮かべる。マリアの肉体を通してだが彼女は妹と触れ合うのも久しぶりである事に気付く。
「そういえばこうして貴女に触れるのは久しぶりね……いったい、何時ぶりかしら?」
「……覚えてないよ」
「そうね、でもこうして見ると……ふふ、貴女は母親にそっくりね」
「カレハお姉ちゃん……」
「さあ、やりなさい……大丈夫、もう私は貴女を恨んでいないわ。私の分まで……幸せに生きなさい」
死を間近にした事でカレハは最期を迎える前にせめて家族にだけは優しさを示し、ティナの頭を優しく撫でる。あれほど恨んでいた妹を前にしてもカレハは穏やかな表情を浮かべ、不意にある事を想う。
――もしもイレアビトとカレハが出会わなかったとしたらどうなっていたか、恐らくはカレハは何も手出し出来ずにいずれティナが王位を継承する年齢を迎えて居たら彼女に王座を譲っていただろう。妹に対する嫉妬、それを復讐心に変えたのはイレアビトという存在が大きい。
しかし、同時にイレアビトという存在がいなかったとしてもカレハの中でティナを妬む気持ちは消える事はなかっただろう。切っ掛けはイレアビトだとしても選択をしたのはカレハであり、彼女は死を受け入れる。
(心残りがあるとすれば……ライコフ、貴方は何処にいるの?)
王都の住民全員を石化にするという作戦を伝えた時、最後まで反対していたのはライコフだった。彼はカレハの命令は逆らう事はなく、全て聞き入れていた。しかし、住民を全員石化させる事には最後まで納得せず、何時の間に姿を消していた。
カレハはライコフを救ったのは自分と境遇を重ね合わせ、哀れに思ったからである。しかし、他に理由があるとすればライコフの事を心の奥底で彼に対して想いを秘めていたからでもある。
(……もう、間に合わないわね)
意識が薄れかけ、ティナが手を施さずとも自分の魂がマリアから引き剥がされようとしている事に気付く。不意にカレハはレナの方に視線を向け、ある事を知る。それは魂だけの存在になりかけている彼女だからこそ感じ取れたと言えるかもしれず、レナの右腕に宿った「ハヅキ」の魂の残滓をカレハは感じ取った。
『カレハ様……私も後で追いかけます』
『ハヅキ……貴女だけは私を気遣ってくれたわね』
最期に自分を最も気にかけてくれたハヅキの存在を感じ取れただけでカレハは満足すると、ゆっくりと瞼を閉じる。その表情で察したのかティナは涙を流しながらも彼女の両手を掴み、そして聖属性の魔法を発動させた――
――ティナの回復魔法を受けてこのまま消え去るかと思っていたカレハだが、次に意識が覚醒すると王城の一室に横たわっている事に気付く。何が起きたのか分からずにカレハは自分の両手を見つめると、まるで老婆のように痩せ細った腕に変わり果てている事に気付く。
「ああ、そういう事ね……まだ、私は生きていたのね」
カレハは自分の肉体が辛うじて生きている事に気付き、既に病と怨霊術の副作用で肉体は生命を維持するだけでも限界の状態を迎えていた。自分が死んでいなかったという事実に驚く一方、もうこちらの肉体は長くない事を悟ったカレハはため息を吐き出す。だが、不意に気配を感じたカレハは首を横に向けると、そこにはライコフが立っている事に気付く。
「カレハ様……お目覚めになられたのですか?」
「ライコフ……貴方、ここにいたのね」
「はい……」
ライコフが自分の肉体の傍にいた事にカレハは驚くが、ライコフが所持している物を見て合点がいく。ライコフの手には長剣が握り締められ、既に刃は抜かれていた。その事からカレハはライコフが自分の肉体に止めを刺そうとしている事を悟る。
恐らく、ライコフはカレハの本体を殺す事で彼女の魂がマリアを離れた時に肉体に戻れないようにするために訪れ、今、正に止めを刺そうとした時にカレハが目を覚ましたらしい。
「父上……もう、手遅れです。私の肉体は既に死んでいますよ」
「そんな……」
「じゃあ、怨霊術を解いたらもう……」
「ど、どうにか出来ないのですか!?」
カレハの言葉にデブリ達は悲痛な表情を浮かべ、ノルはダインに縋りつくが彼も首を振る。肉体が既に死んでいたとすれば怨霊術を解放した瞬間に魂は召され、もうこの世に戻る事はない。カレハ自身も覚悟は出来ているらしく、完全に肉体が離れる前に彼女は自分を抱えるティナに手をやる。
「ティナ……私を浄化しなさい」
「えっ……で、でも」
「貴女がやりなさい。貴女しか出来ないの……」
「ティナ……カレハの言う通りにしなさい」
「お父さん!?」
「そんな……」
「もう、どうしようもないんだ……」
肉体が既に死んでいると知ったティナは自分の手でカレハに聖属性の魔法を施す事に躊躇するが、この役目は彼女しか任せられず、カレハはティナに笑みを浮かべる。マリアの肉体を通してだが彼女は妹と触れ合うのも久しぶりである事に気付く。
「そういえばこうして貴女に触れるのは久しぶりね……いったい、何時ぶりかしら?」
「……覚えてないよ」
「そうね、でもこうして見ると……ふふ、貴女は母親にそっくりね」
「カレハお姉ちゃん……」
「さあ、やりなさい……大丈夫、もう私は貴女を恨んでいないわ。私の分まで……幸せに生きなさい」
死を間近にした事でカレハは最期を迎える前にせめて家族にだけは優しさを示し、ティナの頭を優しく撫でる。あれほど恨んでいた妹を前にしてもカレハは穏やかな表情を浮かべ、不意にある事を想う。
――もしもイレアビトとカレハが出会わなかったとしたらどうなっていたか、恐らくはカレハは何も手出し出来ずにいずれティナが王位を継承する年齢を迎えて居たら彼女に王座を譲っていただろう。妹に対する嫉妬、それを復讐心に変えたのはイレアビトという存在が大きい。
しかし、同時にイレアビトという存在がいなかったとしてもカレハの中でティナを妬む気持ちは消える事はなかっただろう。切っ掛けはイレアビトだとしても選択をしたのはカレハであり、彼女は死を受け入れる。
(心残りがあるとすれば……ライコフ、貴方は何処にいるの?)
王都の住民全員を石化にするという作戦を伝えた時、最後まで反対していたのはライコフだった。彼はカレハの命令は逆らう事はなく、全て聞き入れていた。しかし、住民を全員石化させる事には最後まで納得せず、何時の間に姿を消していた。
カレハはライコフを救ったのは自分と境遇を重ね合わせ、哀れに思ったからである。しかし、他に理由があるとすればライコフの事を心の奥底で彼に対して想いを秘めていたからでもある。
(……もう、間に合わないわね)
意識が薄れかけ、ティナが手を施さずとも自分の魂がマリアから引き剥がされようとしている事に気付く。不意にカレハはレナの方に視線を向け、ある事を知る。それは魂だけの存在になりかけている彼女だからこそ感じ取れたと言えるかもしれず、レナの右腕に宿った「ハヅキ」の魂の残滓をカレハは感じ取った。
『カレハ様……私も後で追いかけます』
『ハヅキ……貴女だけは私を気遣ってくれたわね』
最期に自分を最も気にかけてくれたハヅキの存在を感じ取れただけでカレハは満足すると、ゆっくりと瞼を閉じる。その表情で察したのかティナは涙を流しながらも彼女の両手を掴み、そして聖属性の魔法を発動させた――
――ティナの回復魔法を受けてこのまま消え去るかと思っていたカレハだが、次に意識が覚醒すると王城の一室に横たわっている事に気付く。何が起きたのか分からずにカレハは自分の両手を見つめると、まるで老婆のように痩せ細った腕に変わり果てている事に気付く。
「ああ、そういう事ね……まだ、私は生きていたのね」
カレハは自分の肉体が辛うじて生きている事に気付き、既に病と怨霊術の副作用で肉体は生命を維持するだけでも限界の状態を迎えていた。自分が死んでいなかったという事実に驚く一方、もうこちらの肉体は長くない事を悟ったカレハはため息を吐き出す。だが、不意に気配を感じたカレハは首を横に向けると、そこにはライコフが立っている事に気付く。
「カレハ様……お目覚めになられたのですか?」
「ライコフ……貴方、ここにいたのね」
「はい……」
ライコフが自分の肉体の傍にいた事にカレハは驚くが、ライコフが所持している物を見て合点がいく。ライコフの手には長剣が握り締められ、既に刃は抜かれていた。その事からカレハはライコフが自分の肉体に止めを刺そうとしている事を悟る。
恐らく、ライコフはカレハの本体を殺す事で彼女の魂がマリアを離れた時に肉体に戻れないようにするために訪れ、今、正に止めを刺そうとした時にカレハが目を覚ましたらしい。
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