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S級冒険者編
犯人捜し(アイリスが)
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「なんか……大変な事になったでござるな」
「どうする?このまま見捨てるのも後味悪いけど……」
「といっても拙者たちに何が出来るのでござろうか?」
レナとハンゾウはケンゾウとは今日会ったばかりであり、せいぜい酒を交わした程度の間柄である。別に彼に対して恩義があるわけでもなければ親交を交わしたわけでもない。だが、連れ去られていくケンゾウの姿と泣きじゃくる弟子の姿が思い浮かび、仕方なくレナは彼を助ける事を決めた。
『というわけでアイリス、どうすればいい?』
『また面倒ごとに首を突っ込んで……仕方ない人ですね。本当にレナさんは私がいないと駄目なんだからもう』
『ダメ夫に尽くす妻のような喋り方だな。手っ取り早く、辻斬り事件の犯人を捕まえて突き出せばいいかな?』
ケンゾウが捕まった事をアイリスに相談し、彼女の力ならば辻斬り事件の犯人の居場所を聞き出す事して犯人を突き出せば解決するかと思われたが、そんなに簡単な話ではないという。
『それは無理ですね、犯人を捕まえたとしてもそんな簡単に解決しませんよ?』
『え、どうして?』
『今回の辻斬り事件の犯人は単独犯ではなく、複数人だからです』
『じゃあ、犯人は別々に存在するの?』
『いえ、組織で行動をしています。この数か月の間に起きている辻斬り事件の犯人は全員が同じ組織に所属しています』
『なるほど、そう考えると面倒だな』
辻斬り事件の真相が単独犯ではなく、別々の人間同士がいるとなれば捕まえるのも難しい。証拠を揃えるのも時間が掛かりそうではあった。だが、アイリスによると最大の問題は別にあった。
『というかですね、犯人はさっきレナさん達とやりあった黒鉄組の第一部隊の人間ですよ。隊長のイゾウを含め、全員が辻斬り事件に関わっています』
『え、あいつらが!?』
まさか治安を維持するはずの黒鉄組が辻斬り事件の犯人だと知ってレナは驚くが、言われてみれば彼等の対応はあまりも横暴で筋が通っていなかった。普通は証拠もないのに容疑だけで捕まえるはずがなく、ケンゾウは彼等に「剣鬼」であるという理由だけで利用されたらしい。
真相を知ったレナは今からでも黒鉄組を追いかけて捕まえるべきかと考えたが、証拠が揃っていなければどうしようも出来ず、逆にレナが捕まってしまいかねない。しかし、自分達が犯人でありながら何の罪もないケンゾウを利用し、彼を犯人に仕立て上げようとする黒鉄組の第一部隊に対してレナは怒りを抱く。
『なんかむかついてきた……あいつら、絶対に後悔させてやる』
『ふふふ……こういう輩は私も個人的に気に入りませんからね。いいでしょう、今回はちょっと趣向を変えて動きましょうか』
アイリスの顔は見えないのだが、何となくではあるがレナは彼女があくどい笑みを浮かべているように感じられた――
――その日の晩、黒鉄組の屯所では業務中であるにも関わらず隊員達は酒を喰らい、呑気に過ごしていた。隊長であるイゾウも酒を飲み、娼館から連れ出した女を抱き寄せて騒いでいた。
「今日は俺の奢りだ!!じゃんじゃん飲みやがれ!!」
『いぇ~いっ!!』
イゾウの言葉に隊員達は歓声を上げ、彼等は屯所の中で宴会を行う。犯罪者を取り締まり、治安を維持する役割を持つ黒鉄組は本来は夜間の間であろうと気を抜く事は許されず、ましてや屯所の中で酒を飲むなどあってはならない事だった。しかし、イゾウは酒を喰らう隊員達を咎めもせず、自身も酒に溺れる。
「ねえねえ、今日は随分と羽振りがいいじゃない?何かあったの?」
「くくくっ……この界隈を騒がせている辻斬り事件の犯人を捕まえてな、それを明日お上に引き渡すんだ。これで俺の出世は間違いなしだな」
「え~?本当に?それって例の辻斬りの事?」
「ああ、そうだ……くくく、元剣術指南役が辻斬りに落ちるとはな」
娼婦たちはイゾウの言葉を聞いて驚いた表情を浮かべるが、そんな彼女達を見てイゾウは笑い声を抑え、まさか彼女達の相手をする自分こそが辻斬りの正体だと告げればどんな反応をするのか気になった。勿論、そんな事をすればこれまでの計画が台無しになるのでそんな事が出来るはずがない。
出世に目が眩んだイゾウはある時、自分が今よりも上の立場に上がるには大きな手柄を上げる必要があった。だが、彼の管轄する区域は他の部隊と比べると犯罪者の数が少なく、とてもではないが大悪党と呼べる犯罪者が現れる様子もなかった。しかし、どうしても手柄を上げて出世したいイゾウはある計画を立てる。
彼は自分の部下を利用して都中で一般人を相手に辻斬りをさせ、連続殺人事件を引き起こす。当然ながら犯人の捜索は行われるが、まさか捜索を行う側の人間が事件を引き起こしているなど誰にも疑われず、結局は犯人の手がかりを掴まれる事は無かった。
警官という立場を利用して部下に事件を起こす作戦は想像以上に上手く行き、殺人の直後に誰かに見られたとしても警官が死体を発見して調査をしていると言い張れば怪しまれる事は無い。また、敢えて自分の区域でも事件を引き起こす事で怪しまれないように仕立て上げ、遂には都中で辻斬り事件の噂が絶えない程に有名になっていた。
「どうする?このまま見捨てるのも後味悪いけど……」
「といっても拙者たちに何が出来るのでござろうか?」
レナとハンゾウはケンゾウとは今日会ったばかりであり、せいぜい酒を交わした程度の間柄である。別に彼に対して恩義があるわけでもなければ親交を交わしたわけでもない。だが、連れ去られていくケンゾウの姿と泣きじゃくる弟子の姿が思い浮かび、仕方なくレナは彼を助ける事を決めた。
『というわけでアイリス、どうすればいい?』
『また面倒ごとに首を突っ込んで……仕方ない人ですね。本当にレナさんは私がいないと駄目なんだからもう』
『ダメ夫に尽くす妻のような喋り方だな。手っ取り早く、辻斬り事件の犯人を捕まえて突き出せばいいかな?』
ケンゾウが捕まった事をアイリスに相談し、彼女の力ならば辻斬り事件の犯人の居場所を聞き出す事して犯人を突き出せば解決するかと思われたが、そんなに簡単な話ではないという。
『それは無理ですね、犯人を捕まえたとしてもそんな簡単に解決しませんよ?』
『え、どうして?』
『今回の辻斬り事件の犯人は単独犯ではなく、複数人だからです』
『じゃあ、犯人は別々に存在するの?』
『いえ、組織で行動をしています。この数か月の間に起きている辻斬り事件の犯人は全員が同じ組織に所属しています』
『なるほど、そう考えると面倒だな』
辻斬り事件の真相が単独犯ではなく、別々の人間同士がいるとなれば捕まえるのも難しい。証拠を揃えるのも時間が掛かりそうではあった。だが、アイリスによると最大の問題は別にあった。
『というかですね、犯人はさっきレナさん達とやりあった黒鉄組の第一部隊の人間ですよ。隊長のイゾウを含め、全員が辻斬り事件に関わっています』
『え、あいつらが!?』
まさか治安を維持するはずの黒鉄組が辻斬り事件の犯人だと知ってレナは驚くが、言われてみれば彼等の対応はあまりも横暴で筋が通っていなかった。普通は証拠もないのに容疑だけで捕まえるはずがなく、ケンゾウは彼等に「剣鬼」であるという理由だけで利用されたらしい。
真相を知ったレナは今からでも黒鉄組を追いかけて捕まえるべきかと考えたが、証拠が揃っていなければどうしようも出来ず、逆にレナが捕まってしまいかねない。しかし、自分達が犯人でありながら何の罪もないケンゾウを利用し、彼を犯人に仕立て上げようとする黒鉄組の第一部隊に対してレナは怒りを抱く。
『なんかむかついてきた……あいつら、絶対に後悔させてやる』
『ふふふ……こういう輩は私も個人的に気に入りませんからね。いいでしょう、今回はちょっと趣向を変えて動きましょうか』
アイリスの顔は見えないのだが、何となくではあるがレナは彼女があくどい笑みを浮かべているように感じられた――
――その日の晩、黒鉄組の屯所では業務中であるにも関わらず隊員達は酒を喰らい、呑気に過ごしていた。隊長であるイゾウも酒を飲み、娼館から連れ出した女を抱き寄せて騒いでいた。
「今日は俺の奢りだ!!じゃんじゃん飲みやがれ!!」
『いぇ~いっ!!』
イゾウの言葉に隊員達は歓声を上げ、彼等は屯所の中で宴会を行う。犯罪者を取り締まり、治安を維持する役割を持つ黒鉄組は本来は夜間の間であろうと気を抜く事は許されず、ましてや屯所の中で酒を飲むなどあってはならない事だった。しかし、イゾウは酒を喰らう隊員達を咎めもせず、自身も酒に溺れる。
「ねえねえ、今日は随分と羽振りがいいじゃない?何かあったの?」
「くくくっ……この界隈を騒がせている辻斬り事件の犯人を捕まえてな、それを明日お上に引き渡すんだ。これで俺の出世は間違いなしだな」
「え~?本当に?それって例の辻斬りの事?」
「ああ、そうだ……くくく、元剣術指南役が辻斬りに落ちるとはな」
娼婦たちはイゾウの言葉を聞いて驚いた表情を浮かべるが、そんな彼女達を見てイゾウは笑い声を抑え、まさか彼女達の相手をする自分こそが辻斬りの正体だと告げればどんな反応をするのか気になった。勿論、そんな事をすればこれまでの計画が台無しになるのでそんな事が出来るはずがない。
出世に目が眩んだイゾウはある時、自分が今よりも上の立場に上がるには大きな手柄を上げる必要があった。だが、彼の管轄する区域は他の部隊と比べると犯罪者の数が少なく、とてもではないが大悪党と呼べる犯罪者が現れる様子もなかった。しかし、どうしても手柄を上げて出世したいイゾウはある計画を立てる。
彼は自分の部下を利用して都中で一般人を相手に辻斬りをさせ、連続殺人事件を引き起こす。当然ながら犯人の捜索は行われるが、まさか捜索を行う側の人間が事件を引き起こしているなど誰にも疑われず、結局は犯人の手がかりを掴まれる事は無かった。
警官という立場を利用して部下に事件を起こす作戦は想像以上に上手く行き、殺人の直後に誰かに見られたとしても警官が死体を発見して調査をしていると言い張れば怪しまれる事は無い。また、敢えて自分の区域でも事件を引き起こす事で怪しまれないように仕立て上げ、遂には都中で辻斬り事件の噂が絶えない程に有名になっていた。
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