不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
953 / 2,091
S級冒険者編

鏡刀VS雪月花

しおりを挟む
「あら、それなら私が相手をしてあげるわ」
「シズネが?」
「砲撃魔法とまではいかないけれど、雪月花の力を使えば十分でしょう?」


シズネは自身の雪月花を見せると、確かに魔剣である雪月花に対抗できる力を持つならば鏡刀が反鏡剣の性質を受け継いだことを証明できる。話を聞いていたリーリスは先ほどの訓練場を使うように促す。


「それなら訓練場の方へ案内しますよ。元々は勇者同士が戦えるように設計されているので簡単には壊れませんよ」
「訓練場?そんな物まであったのか……」
「ちょ、ちょっと待てよ!!それならこれ、この漆黒のローブをくれよ!!うちの家宝にするから!!」
「あ、なら僕もこのレジェンドスピアを!!」
「私も欲しいのがある」
「はいはい、分かりましたよ。じゃあ、とりあえずお二人は先に行っててください。場所は分かるでしょう?」
「うん、分かった」


レナとシズネ以外の者たちは自分が欲しい装備品をリーリスに頼み込み、彼女が対応している間にレナは訓練場までシズネを案内した――




――元々は勇者専用に作り出された施設と言いうだけはあり、施設内には勇者のための様々な訓練設備も用意されていた。レナはリーリスに先ほど案内された場所に辿り着くと、早速だが鏡刀を引き抜いて雪月花を構えるシズネに頼む。


「とりあえず実戦で扱えるかを確かめたいから、いつも通りに実戦方式の組手でいいかな?」
「ええ、構わないわ。あの仮想世界という所で私も雪月花の新しい使い道を覚えたからちょうどいいわ」
「新しい使い道?」
「戦ってみてのお楽しみよ」


シズネは雪月花を構えると、最初から本気で挑むつもりなのか刀身に冷気を放ち、彼女の周囲が徐々に凍り付いていく。その様子を確認したレナは退魔刀を手放すと、今回は鏡刀だけで向かい合う。基本的には普段のレナは退魔刀と鏡刀の二刀流、力が強い敵と戦う時は対抗するために退魔刀のみで戦う事はあるが、今回は鏡刀のみで挑む。

二人はしばらくの間は見つめ合っていたが、やがてシズネが動き出す。相手が想い人であろうと試合とあれば容赦はせず、彼女は雪月花の冷気を刃先に集中させると、距離が開いているにも関わらずに突き出す。


「はあっ!!」
「うわっ!?」


刃先から冷気の塊が放出され、その攻撃を受けるのはまずいと判断したレナは回避すると、塊は壁に衝突した瞬間に壁一面が凍り付く。凍結化までの速度と規模が尋常ではなく、恐らくは掠っただけでも人間ならば一瞬で凍り付く事が予想された。

攻撃を回避するのには成功したが、シズネの方は今度は雪月花を横に構え、魔力を送り込んで冷気を更に放出した状態で横なぎに振り払う。


「はあっ!!」
「くっ!?」


今度は塊ではなく、三日月のような形をした斬撃を放ち、それを確認したレナはここで鏡刀を構える。逃げてばかりではいられず、鏡刀を信じて正面から迫りくる冷気に放つ。


「兜砕き!!」
「っ!?」


一気に刃を振り下ろした瞬間、刀身が冷気の斬撃に触れた瞬間に魔力が拡散され、斬撃が霧と化して消え去ってしまう。その様子を確認したシズネは驚く一方、レナの方は斬撃を無効化した事を悟り、自分自身も驚く。

どうやら本当に大太刀は反鏡剣の性質を受け継いだらしく、自分の元に相棒が戻ってきたような感覚を覚えたレナは笑みを浮かべ、鏡刀を構えると今度は自分から仕掛けた。


「行くぞ、シズネ!!」
「来なさい!!」


二人は正面から刃を交えると、激しい金属音が鳴り響き、そのまま互いに斬り合う。幾度も刃が交差する度に訓練である事を忘れ、剣鬼と青の剣聖の激しい戦闘が繰り広げられる。バルトロス王国内でも5本指には入る剣士同士の戦闘はすさまじく、やがて互いに剣技を繰り出す。


「零距離、刺突!!」
「疾風撃!!」


シズネは最速の戦技を放ち、レナの方も速度に特化した戦技を発動させると、二人の刃が触れた瞬間に衝撃波が発生し、互いの身体が後方へと下がる。かつて彼女はこの攻撃でレナを敗北させたが、今回は弾き返されてしまい、それどころか彼女の方が追い込まれてしまう。

以前と比べてレナは大きく成長しているのに対し、シズネの方は肉体面に関しては残念ながら大きな成長はしていない。純粋な剣の腕ならばシズネが勝るのだろうが、レナの方も幾度も六聖将や火竜や九尾との戦闘で強くなり、更なる高みへと登ろうとしていた。


「まだまだぁっ!!」
「くぅっ!?」


レナは勢いよく床を踏みつけると、体勢を崩しているシズネに向けて突進し、刃を放つ。そして彼女の腹部に衝突するかと思われた瞬間、刃が停止する。その様子を見たシズネは驚いた表情を浮かべたが、レナは額に汗を流しながらも呟く。


「俺の、勝ち?」
「……ええ、認めるわ」
「よし、初めて勝った!!」
「あれ、もう終わっちゃったんですか?」


苦笑を浮かべたシズネの言葉にレナは初めての彼女に勝利した事を喜ぶと、訓練場にリーリスが他の者を引き連れて訪れてきた。どうやらもう試合が終わっている事に気づいたリーリスは残念そうに呟く。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。