不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
955 / 2,091
S級冒険者編

リーリスと白竜の因縁

しおりを挟む
「おかしいですね、作動しません……もしかしたら今の攻撃で不具合が発生したかもしれません」
「不具合って、何が!?」
「多分、ずっと装置を作動させた状態で何百年も経過したせいで、装置の切り替えに不具合が発生しました。これは困りましたね、このままだと厄介な事になりますよ」
「厄介な事って?」
「最悪の場合、このまま建物を破壊されれば緊急自爆装置が作動して周囲一キロが消滅します」
「何でそんなお約束な装置があるんだよ!!」


リーリスの発言にレナは突っ込み、そんな彼にリーリスは頭を掻きながらも本当に困った風に画面に表示されている白竜の様子を伺う。


「いや、ここは勇者のための育成施設ですからね。もしも悪人が攻めてきたり、あるいは勇者を利用して施設を悪用しようとする存在が現れた場合、もしくは訪れた勇者自体が悪人の場合を想定して施設を破壊する装置は必要だったんですよ」
「おいおい、良く分からないけどこの建物の中に爆弾みたいな物でもあるのか!?」
「そんな事はもっと早く言いなさいよ!!」
「いやいや、爆弾といってもそんな簡単には作動しませんよ……私がスイッチを入れない限りは」
「今、凄く不吉なことを言わなかった!?」
「……とりあえず、逃げた方がいいと思う」
「うむ、流石に相手が白竜となると……勝ち目は薄いな」


画面内の白竜は建物に対して両腕の鉤爪を振り払い、建物の表面を削り取る。どうやら先ほど光線を跳ね返されたせいで吐息は無意味だと判断したらしく、物理攻撃で破壊を試みようとしている様子だった。

白竜が攻撃を加える度に建物に振動が走り、このままでは完全に破壊されてしまうのも時間の問題だと思われた。レナはすぐにリーリスに逃げるように促すが、彼女は難しい表情を浮かべる。


「リーリス、ここはもう駄目だ!!さっきの腕輪で安全な場所に避難しよう!!」
「いえ、そういうわけには行きませんよ。私はこの建物の管理者、つまりこの建物を破壊しようとする存在を許すわけにはいきません」
「じゃあ、戦うつもりなの!?無理だよ、殺されちゃうよ!!」
「いえ、大丈夫です。私の体内に搭載されている小型魔壊爆弾を使えば……!!」
「ちょ、そんな機能まであるの!?ていうか、それを爆発させたら……」
「ええ、私も死ぬでしょうね。でも、大丈夫です。バックアップがありますから、今の私が死んでも新しい私がいずれ作り出されるでしょう」


戦う事を決意したのかリーリスはため息を吐きながら胸元を抑えると、彼女の両目から放たれる光が収まり、やがて空中に浮かんでいた画面が消失した。その様子を見てレナはリーリスが本気で白竜の元に向かうつもりだと察した。


「では皆さん、短い間でしたが色々と楽しかったですよ。皆さんは早く、転移リングで逃げてください」
「リーリス、貴女まさか……」
「大丈夫ですって、今の私は消えちゃいますけど……新しい私がここで誕生します。あ、ホネミンさんの件は大丈夫です。地下の方に避難させれば仮に建物が破壊されても平気でしょうし……」
「そういう問題じゃないだろ……本当に行く気か?」


訓練場から抜け出そうとするリーリスの肩をレナが掴むと、彼女は困った風に振り返り、自分の役割を伝えた。


「私はこの建物の管理者、だから何者であろうとここを破壊しようとするなら容赦しません。離してください、こうしている間にも建物が破壊されるかもしれません」
「……本当にどうしようもないのか?その小型なんと爆弾だけを取り出して白竜だけを仕留めるとか……」
「無理ですね、この小型魔壊爆弾は私を動かすエネルギー源でもあります。なので取り出してしまうのは人間に例えると心臓を摘出するような物です」


リーリス曰く、白竜を追い返す方法は彼女が自爆する以外に方法はなく、残念ながらこの建物には外部からの侵入者に対しての攻撃装置は先ほど不具合を起こした「魔力吸収装置」しか存在しない。その装置が当てにならない以上、残された手段はリーリス自身が戦うしかない。

この施設には彼女を作り出した機器が残っているため、仮に破壊されても新しい管理者が作り出される。しかし、それはこの場に存在するリーリスではなく、あくまでも新しく作り出された存在に過ぎない。このまま行かせたらレナ達とここまで関わったリーリスは死んでしまう。

正直に言えばレナはリーリスと出会ったばかりで別にそれほど親交があるわけではなく、少し変わった少女という認識しか抱いていない。だが、この建物を守るという使命のために無謀にも白竜に戦闘を挑もうとする彼女を見てレナは黙って行かせる事が出来なかった。


「……はあっ、仕方ないか。俺も戦うよ」
「え、本当ですか?」
「レナ!?何言ってんだお前、相手は白竜だぞ!?」
「……正気じゃないわ」
「こ、殺されちゃうよ!!皆で一緒に逃げようよ、リーリスさんも一緒に行こうよ!!」


レナの言葉にリーリスは意外そうな表情を浮かべ、他の者たちは信じられない顔を浮かぶが、レナの意思は覆らない。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。