不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
967 / 2,091
真・闘技祭編

ヨツバ王国の三剣士

しおりを挟む
――六聖将がバルトロス王国に赴き、闘技祭に参加するという噂はすぐさまヨツバ王国内へと知れ渡った。ヨツバ王国の民の多くは六聖将の強さを知っているため、人間の国の武芸大会のために彼等を参加させるという話を知って驚きを隠せない。

大半の民衆は六聖将こそが世界最強の将軍達だと信じていた。しかし、先日のカレハの反乱の一件でバルトロス王国側が派遣した冒険者と六聖将が衝突したという話は聞いており、勝敗までは彼等も知らされていないが実際に戦に参加していた兵士達はバルトロス王国の冒険者の強さは思い知っていた。

そしてこの噂を聞いて黙っていなかったのが剣聖であるシュンとハヤテだった。彼女達はヨツバ王国へと戻り、現在はハヅキ家に仕える立場にあった。ハヤテに関してはミドリ家の人間ではあるが、彼女はあくまでもハヅキ家ではなくマリアに対して忠誠を誓っている。


「師匠よ、本当にこんな場所にあいつがいるのか?」
『いいから黙ってついてこい……風の精霊によればこの場所にいるはずだ』


シュンとハヤテはヨツバ王国の南方の地に訪れ、本来ここは南聖将の白虎の領地なのだが、現在は南聖将の軍隊は壊滅状態に陥っていた。理由としては魔物使いのレイビが死亡し、彼が従えていたフェンリルや赤獣が全滅した事により、この地方では凶悪な魔物たちによって支配されていた。

反逆者カレハにレイビが従ったせいで南聖将の勢力はレナ達によって討ち取られてしまった事は仕方ないが、現在の南方の領地は非常に危険な状態に陥っていた。元々南方の地は凶悪な魔物が多数生息し、放置し続けると生態系を乱すほどの狂暴な魔物達が他の領地にもなだれ込むため、今までは南聖将と東聖将が協力して守護をしていた。

しかし、レイビと南聖将軍の最大の戦力であったフェンリルが死亡した事で南方の領地は危険種の魔獣達によって蹂躙され、現在は王都と北聖将の軍隊も派遣して領地の管理を行っている状態だった。そんな危険地帯にシュンとハヤテは乗り込み、ある人物の捜索を行う。


「……なあ、師匠。俺の気のせいでなければここら辺はとんでもなくやばい場所と言ってなかったか?」
『何が言いたい?』
「気のせいかな、朝からずっと歩きっぱなしだが……未だに1匹も魔獣を見かけていないぞ」


既に南聖将の管理する領域に入ったはずだが、シュンとハヤテは何故か森の中を歩き続けても魔獣とは遭遇せず、それどころか不自然な程に魔物の気配を感じない。この地が魔獣達によって危険に晒されていると聞いていたからこそ、シュンとハヤテは用心しながらもこの地に訪れていた。

だが、実際にこの地に訪れてからシュンとハヤテは危険種指定されている魔獣どころか、一角兎さえも見かけていない。話に聞く限りでは南聖将のレイビが死んだことで南方の領地を守る勢力は失ったはずだが、危険視されていた魔物たちは一向に姿を見せる気配もない。


「おい、本当にどうなってんだ。こっちは新しい技の試し切りも兼ねて付いて来てやったのに……これじゃあ、拍子抜けもいい所だ」
『ふん、そんな事を言っているのは今のうちだ……待て、反応があった。見つけたぞ』
「お、敵か!?」
『違う……目標を発見した』


ハヤテは精霊魔法を駆使して自分達が探していた人物を遂に見つけ出すと、彼女は縮地を発動させて移動を行う。その様子を見てシュンは面倒そうに彼女の後を追いかけ、やがて二人は樹海の中でも開けた場所へと辿り着く。

二人が辿り着いた先には「聖剣デュランダル」を背中に掲げた黒髪の女性が存在し、その周囲には大量の魔獣の死骸が存在した。その数は100や200ではなく、下手をしたら1000匹近い大量の魔獣の死骸が女性の周囲に倒れていた。その様子を見てシュンは目を見開き、ハヤテでさえも冷や汗を流す。

女性は気配を感じ取ったのか、ゆっくりと振り返ると二人の存在を確認し、彼女は両手に握りしめていた巨大な魔獣の骨付き肉に嚙り付きながら笑顔で答えた。


「んんっ!?おおっ、そこにいるのはシュンとハヤテか!!がはははっ、久しぶりだな!!」
「……おいおい、マジかよ」
『やはり生きていたか……ゴウライ』
「何!?吾輩、死んでいたと思われていたのか!?」


シュンは鎧を脱いだゴウライの姿を見て唖然とした表情を浮かべ、一方でハヤテの方は呆れた表情を浮かべる。そんな彼等に対してゴウライは肉を食しながら近寄ると、二人に食いかけの骨付き肉を差し出す。


「お前達も食べるか?いや、久しぶりに吾輩の事を恐れずに襲い掛かってくる魔物の群れと遭遇してな、お陰でほれ!!食料には事欠かんぞ!!」
「……いらねえ」
『ゴウライ、お前は今までどうしていた?墓参りを終えた後、一度里帰りするといって西聖将の領地に向かったんじゃないのか?』
「おお、その事なんだがな!!王都までどうにか辿り着いたんだが、そこから先は道に迷ってこんな場所に入ってしまった!!お前達と出会えてよかった、どうか連れて行ってくれ!!」
「なるほど……道理でここいらの魔物共が姿を見せないわけだ」


ここまでの道中で魔物が襲い掛かってこなかった理由をシュンは理解し、この目の前に立つゴウライの仕業でこの地方の魔物が既に全滅されていた事を知る。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。