不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭編

意外な訪問者

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「えっと……よく分からないけど、ヨクヒちゃんはレナたんに会いに来たの?」
「ヨクヒちゃん!?へ、変な風に呼ぶな!!ともかく、さっさとレナに会わせろ!!」
「落ち着くでござるよ、レナ殿は今は王都にいるからここにはいないと何度も言っているではないでござるか」
「ふん、嘘だな!!あたしはしっかりと聞いたぞ、この都市に鬼の様に強い剣士が訪れたってな!!闘技場の奴等に聞き出したら大剣使いだって言ってたぞ!!」
「えっ!?それは本当の話かしら?」


大剣使いの剣士など滅多に存在せず、この都市でも大剣を扱うのはレナ、バル、ゴウライ程度しか存在しない。巨人族ならば大剣を扱う剣士もいるかもしれないが、闘技場で噂になるような大剣使いとなると話は別である。ヨクヒは大剣使いの剣士が闘技場で連勝しているという噂を聞いてレナが戻ってきたと判断し、屋敷に乗り込んできたらしい。


「さあ、早くレナと会わせろ!!ちゃんと姉者に言われて今日はお土産も持ってきたぞ!!」
「お土産!?変なところで律儀でござるな!!」
「ふん、姉者に言われたから用意しただけだ!!さあ、中に入らせてもらうぞ!!」


和国の名物の饅頭を手土産にヨクヒは屋敷の中に勝手に乗り込もうとしたとき、どうしたものかとアイラは困った表情を浮かべるが、不意に異様な気配を感じ取った彼女は後方を振り返る。

他の人間達も尋常ならざる気配を感じて振り返ると、屋敷に近付いてくる人影が存在し、全身をフードで覆い隠していた。だが、その背中には大剣が掲げられ、それを見たヨクヒはレナが戻ってきたのかと思う。


「遂に現れたか……やい、勝負だレナ!!」
「あ、ちょっと!?」
「その人はレナたんじゃ……!?」
「いかん!!止めるでござる!?」


大剣を背負った人物の元にヨクヒは駆け出し、手にした槍を振り回す。すぐに止めようとハンゾウが動き出すが、間に合わずにヨクヒはフードの人物に槍を振り下ろす。


「だああっ!!」
「……何だお前は?」
「なぁっ!?」


振り下ろされた槍に対してフードの人物は右手を伸ばすと槍の柄を受け止め、ヨクヒは驚愕の表情を浮かべる。自分の一撃を素手で受け止めた相手に動揺を隠せず、一方でフードの人物は槍を勢いよく振りかざしてヨクヒを逆に地面へと叩き込む。


「失せろ」
「ふぎゃっ!?」
「ヨクヒ殿!?なんてことを……」
「邪魔だ」


ヨクヒを地面に叩きつけた人物はそのまま彼女の腹を蹴り飛ばし、ハンゾウの元へとヨクヒを吹き飛ばす。咄嗟にハンゾウは彼女を受け止める事に成功したが、あまりの勢いに身体が後方へと押し込まれ、咄嗟にリンダがハンゾウの背中を支えてどうにか衝撃を殺す。

人間離れした怪力でS級冒険者のヨクヒを蹴り飛ばした人物に全員が冷や汗を流し、一つだけ言える事はこの人物は決してレナではない。一方でアイラの方はフードの人物の声を聞いて何処かで聞き覚えがある事に気付き、すぐに正体を見抜く。


「貴方、まさか……クレナイ将軍!?」
「……ハヅキの娘か、大きくなったな」
「く、クレナイ様!?」


アイラの言葉を聞いてフードの人物は顔を向けると、それは間違いなくヨツバ王国の六聖将筆頭にして守備将の位を持つ「クレナイ」だった。彼はアイラの顔を見て少し驚くが、すぐに改めてティナの方へと振り返り、その場で膝を付く。


「ティナ王女様、国王陛下の命を受けてお迎えに参りました」
「えっ!?お父さん?お父さんが来てるの?」
「すぐに準備を整え、国王様の元へ戻りましょう」
「クレナイ将軍、お待ちください!!どうして貴方ほどの御方が一人で姫様の出迎えに……」
「これは王命である、護衛如きが意見をするな」
「くっ……」


クレナイの言葉にティナは驚き、リンダが口を挟むとクレナイは険しい表情を浮かべる。その気迫にリンダは言い返せず、王命で訪れたというのであればリンダは逆らう事が出来ない。

唐突に現れたクレナイに全員が戸惑い、ティナの方もいきなり戻って来いと言われても困るのだが、普段は彼女の味方をしてくれるリンダも口出しできない。もう一人のエリナも現在は別件で離れているため、彼の行動を止める者はいなかった。


「さあ、ティナ王女様。すぐに準備を……」
「そ、そんな……いきなり言われても困るよ」
「国王様がお待ちです、どうか準備を……」
「待ってください、クレナイ将軍。勝手に私の息子のお嫁さんを連れて行くなんていくらなんでも横暴ではありませんか?」
「お、お義母さん!!」


ティナに迫るクレナイに対してアイラが間に割って入ると、クレナイは訝し気な表情を浮かべ、一方でティナの方は嬉し気な声を上げる。ここでアイラに邪魔をされるとは思わなかったクレナイだが、ため息を吐きながらも彼女に応える。


「邪魔をしないでもらおうか……バルトロス王国の王母と言えど、これはヨツバ王国の問題。口出しされる謂れはない」
「それはおかしいわね、私の息子のレナとここにいるティナは結婚しているの、つまりは夫婦よ。それなのに夫の許可や養母の私の許可も得ずに勝手に義理の娘を連れ帰るなんて納得できませんわ」
「むっ……」


身内の問題に口出しするなとクレナイは苦言するが、経緯はどうであれティナも現在はバルトロス王族の一員でもある。それを勝手にヨツバ王国側が連れ出そうとするなど国際問題でもあり、アイラはティナを抱きしめながら言い返す。



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 カタナヅキ「か、返せ!!」
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