不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,041 / 2,091
真・闘技祭 予選編

三つ巴

しおりを挟む
「はああっ!!」
「ぬうっ!?」


刃を交わしながらもレナは隙を突いてクレナイの胴体に蹴りを叩き込み、後方へ吹き飛ばす。即座に追撃に動こうとしたレナだったが、クレナイは大剣を振りかざすと突風を放つ。正面から押し寄せる風圧に対してレナは鏡刀を抜いて切り裂く。魔法の力を跳ね返す性質を持つ刃は風さえも切り裂き、周囲に余波が拡散した。

退魔刀と鏡刀を手にしたレナを確認してクレナイは表情を険しくさせ、自分の腕が痺れている事に気付く。これまでに彼は何人もの猛者と戦い、その中には巨人族のような腕力に特化した相手も存在した。しかし、その誰よりもレナの攻撃は重く、刃を交わす度に身体に響く。その事実にクレナイは驚きを隠せない。


(この小僧……この齢でここまでの領域に立つか!!)


一方でレナの方もクレナイと刃を交わした事で彼の力量をだいたいは把握し、ヨツバ王国の六聖将の筆頭を任されるだけはあると内心で焦っていた。彼の扱う「魔刀術」はレナが風の聖痕を使用すれば無効化できるのだが、クレナイの場合は風の聖痕を使用する隙も与えない。

風属性の魔法、あるいは魔法剣ならばレナが所持している風の聖痕の力で無効化する事は出来るのだが、レナの場合は聖痕を使用するにはある程度の集中力を必要とする。ハルナの場合は無意識に雷の聖痕の力を扱いこなすのに対し、生憎と風属性の適性が本来は高いとは言えないレナでは風の聖痕を彼女のように扱う事は出来なかった。


(この人、本当に強いな……少しでも油断するとこっちがやられそうだ)


一難去ってまた一難という言葉通り、サンドワームの脅威から逃れたと思った途端に現れたクレナイにレナは冷や汗を流し、この状況下でとんでもない相手に見つかってしまった。それでも嘆いている暇はなく、どのように対処するべきかと考えていると、更に面倒な事に聞き覚えのある声が響く。


『見つけたぞぉおおっ!!吾輩を置いていくなぁっ!!』
「ちぃっ……」
「この声は……」
「ご、ゴウライさん!?」


ゴウライの声が街道に鳴り響くと、派手に足元の土煙を巻き上げながらゴウライが駆けつけてきた。その姿を見てクレナイは舌打ちし、レナも面倒な相手が着た事に頭を抑え、一方で顔見知りのジャンヌも驚く。


『ふはははっ!!抜け駆けは許さんぞ、吾輩も混ぜろ!!』
「お前はさっさと闘技場へ行け!!この男の相手は俺がすると何度言わせるのだ!?」
「ひいいっ!?よ、よりにもよって破壊剣聖と六聖将が手を組んでるのか!?」
「何だ何だ、知り合いなのか兄ちゃん?」


クレナイとゴウライが並び立ったのを見てダインは悲鳴を漏らし、そんな彼にハルナは不思議そうな表情を浮かべる。どうやら彼女はどちらの事もよく知らないらしく、唐突に現れた二人の大剣使いに興味を抱いた様子だった。

レナはクレナイ一人でも手に余る状況で新しく現れたゴウライに面倒そうな表情を浮かべ、流石にこの二人を同時に相手をして勝てる自信はない。せめてレミアでもいれば対処できたかもしれないが、未だに彼女が現れる様子はない。


(どうする?俺一人ならいくらでも逃げる方法はあるけど、ダインやジャンヌを置いていくわけにはいかないし……なんだ!?)



――二人と対峙したレナはどうするべきかを考えた時、上空から二つの大きな人影が現れると、レナとクレナイとゴウライの間に降り立つ。その人影の正体は巨人族の代表であるギガンと、レナの親友にして現在は敵同士でもあるゴンゾウだった。

突如として姿を現した二人にレナ達は驚き、一方でギガンとゴンゾウの方は闘拳を装着すると向かい合っている3人を確認し、互いに背中を合わせて向かい合う。ギガンはゴウライに視線を向け、ゴンゾウはレナと向かい合う。


「ゴンちゃん!?」
「ゴンゾウ!?どうしてここに!?」
「レナ、ダイン……出来ればお前達とはここで会いたくはなかった」
「ゴウライ、お前との決着を付けさせてもらうぞ」
『ダンゾウか!!そういえばお前とは前に一度だけ喧嘩した事があったな!!あの時は邪魔が入って決着が付かなかったが、いいだろう!!お前も相手にしてやる!!』
「巨人国のダンゾウか……よりにもよってこんな時に現れるか」


ギガンがゴウライと向かい合い、ゴンゾウも険しい表情を浮かべながらもレナと向かい合う。その様子を見てクレナイは歯を食いしばり、非常に厄介な状態へと陥った。この場にバルトロス王国、ヨツバ王国、巨人国の3勢力が集まり、互いに牽制し合う形となる。

ゴウライの狙いはレナとギガン、ギガンの狙いはゴウライ、クレナイが狙うのはレナのみ、そしてゴンゾウもレナとダインと戦う覚悟を決めていた。一方でダインとジャンヌはレナに加勢するために彼の元へ向かう。三国の強者同士がここに集まり、三つ巴の形となった。





※公開の投稿の5秒前

カタナヅキ「力尽きました」_:(´ཀ` 」∠):_←瀕死
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。