不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,043 / 2,091
真・闘技祭 予選編

和国最強の将軍

しおりを挟む
――最強の剣士であるゴウライ、その彼女の兜がヨシテルの放った刃によって貫かれたという事実に誰もが唖然とした。膝を崩したゴウライの身体が傾き、周囲に大声が響く。


「うおおっ!?死ぬかと思ったぁっ!?」
「っ……今のを避けますか」


ヨシテルの攻撃を受ける寸前、危険を察知したゴウライは膝を崩して攻撃を回避しようとしたが、結果的には完全には避けきれずに兜が貫かれてしまう。しかし、兜の中のゴウライの頭は無事だったらしく、髪の毛が数本ほど落ちてしまったが避ける事には成功していた。

刃が貫いたのはあくまでもゴウライの頭部から離れた兜だけらしく、当のゴウライ本人は髪の毛が少し切った程度で損傷は負っていなかった。自分の刃を寸前で回避された事にヨシテルは衝撃を受けた表情を浮かべ、即座にカンエンとヨクヒが動き出す。


「ヨシテル様!!」
「ちっ、面倒だな!!」
「ぬおっ!?」


ゴウライに対して二人は偃月刀と槍を放つと、その攻撃に対してゴウライは後ろに飛んで回避する。一方でヨシテルの方はゆっくりと刀を鞘の中に戻し、冷や汗を浮かべながらも自分の攻撃を避けたゴウライを褒めたたえる。


「今の一撃に反応するとは……流石は噂に名高い最強の剣聖ですね」
「うむ、今のは正直に言えば吾輩も死ぬかと思った!!」
「あ、あのゴウライ様が……」
「信じられん……」


ヨシテルの言葉にゴウライは素直に認め、彼女本人も自分が避けなければ殺されていたのは間違いない事を認めた。ゴウライの言葉にジャンヌとギガンは動揺し、一方でレナはヨシテルの行動に疑問を抱く。


(どうして畳みかけなかったんだ?ヨクヒとカンエンが動く前に自分で斬ればよかったのに……)


兜を貫通した後、ヨシテルがゴウライに追撃を加えなかった事にレナは不思議に思ったが、そんな彼を見てレナの傍に立っていたハルナは動揺した表情を浮かべる。彼女の目を以てすらも先ほどのヨシテルの攻撃は見切れず、気づけば彼女の手にした刃がゴウライの兜を貫通していた妖にしか見えなかった。


(俺が攻撃を見切れなかった?そんな馬鹿な……じゃあ、あいつは俺よりも早いのか!?)


雷の聖痕を授かって以来、ハルナの身体能力は飛躍的に上昇し、それに呼応するかのように彼女の動体視力も鍛えられていた。だからこそハルナは今までどんなに早く動く相手だろうと動作を見切れなかったという事はなかったが、先ほどのヨシテルの一撃に関してはハルナの目でさえも甥きれなかった。

もしかしたら自分よりも早く動ける存在に出くわしたかもしれないという事実にハルナは動揺を隠しきれず、ヨシテルの事を睨みつける。レナの場合は自分と同等に近い実力者がいた事に彼女は喜んだが、ヨシテルの場合は違った。まるで得体の知れない物を見たかのような反応を示し、彼女は身体を震わせる。


(……ふざけんな、そんなの認められるか!!)


レナの場合はともかく、ヨシテルに対しては何故かハルナは強い対抗心を抱いてしまい、彼女は身体から電流を迸らせた。その光景に他の者達は驚き、ハルナはヨシテルに対して突っ込む。


「このぉおおおっ!!」
「ハルナ!?」
「ヨシテル様!!」


ヨシテルに対してハルナは飛び込むと、全身から電流を迸らせてヨシテルに向けて拳を振りかざす。その光景を見てカンエンは即座にヨシテルを守ろうとしたが、彼女が庇う前に既にハルナはヨシテルの目前にまで迫っていた。



「――弐の太刀、月光」
「がはっ……!?」



しかし、ハルナの拳がヨシテルの顔面を捉える前にヨシテルは腰に収めていた鞘から刀を引き抜き、ハルナの右腕を切り裂く。突如として右腕の感覚を失ったハルナは目を見開き、他の者達はハルナがヨシテルに近付いた瞬間に右腕が吹き飛んだようにしか見えなかった。

右腕を失ったハルナは腕を失った事を認識した直後に激痛に襲われ、声にもならない悲鳴を漏らして彼女は地面に倒れ込む。その様子をヨシテルは冷静な態度で見下ろし、ゆっくりと刃を下ろす。その光景を見てレナは黙ってみていられず、退魔刀と鏡刀を構えて飛び込む。


「くそっ!?」
「レナ!?」
「レナさん!?」


ヨシテルに向けてレナが接近するとダインとジャンヌが驚愕の声を上げ、一方で他の者達も彼に視線を向ける。別にハルナは一時的に手を組んだ相手とはいえ、彼女の事は良く知らないし、仲間でもない。だが、ハルナが斬られたのを見てレナは居ても立っても居られず、ヨシテルへ向けて踏み込んでいた。


「だああっ!!」
「ヨシテル様!!」
「ちっ!!」


レナが振り下ろした退魔刀に対してカンエンとヨクヒが偃月刀と槍を突き出し、二人がかりでレナの一撃を防ぐ。退魔刀の刃はヨシテルの眼前にまで迫ったが、どうにか二人が抑えた事でヨシテルに触れる事はなかった。ヨシテルは目の前にまで迫った退魔刀の刃を無表情で見つめ、その顔を見てレナは不気味さと同時に違和感を覚える。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。