不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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魔人編

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『グァアアアアッ!?』
「ブラク!?くそっ……うおっ!?」
「近づかせん!!」
「貴方の相手は私達です!!」


漆黒の巨人が竜巻の中で引き裂かれている光景を見てガイアは動き出そうとするが、即座にレミアとカゲマルが阻止する。闇属性の魔力は物理攻撃を全て吸収するが、魔法の力で生み出した風圧は耐え切れず、徐々に全身が削り取られていく。

全ての魔力を削り切れば内部に存在するはずのブラクは無事では済まず、マリアは竜巻の出力を強化しようと腕を伸ばす。だが、この時にダインが彼女に注意の言葉を賭ける。


「あ、足元!!影が近付いている!!」
「何ですって……!?」


ダインの言葉に咄嗟にマリアは視線を向けると、いつの間にか漆黒の巨人の影が床を伝って自分の元に近付いてくる事に気付き、ここでマリアは先ほど影が石像を飲み込んだ事を思い出す。すぐに彼女は対処しようとしたが、その前にハルナが動き出す。


「うおらぁっ!!」
『ぐうっ!?』
「悲鳴!?そこにいるのね!!」


電流を帯びた状態でハルナがマリアの元に伸びてきた影を蹴りつけると、電撃を受けた瞬間に影が弾けてしまい、悲鳴が上がる。やがて竜巻の中の漆黒の巨人が崩れ去ると、影は地面を移動して壁際に向かうと、やがて影の中からブラクが姿を出す。


「ぐうっ……おのれ、小癪な……!!」
「ブラク、これ以上は抑えきれん!!ここは退くぞ!!」
「逃がすと思っているのですか!?」
「逃さん!!」


ガイアはレミアとカゲマルを相手に応戦する中、ブラクは忌まわし気にダインに視線を向け、あと少しでマリアを仕留めるところだったのに彼が邪魔をしたせいで失敗してしまう。ダインは苦し気な表情を浮かべながらも舌を出す。


「はっ……僕を舐めるなよ、先祖だか何だか知らないけど……いつまでもこんな物で僕を抑えられると思うなぁっ!!」
「何だと!?」
「うおっ!?」


ダインは闇の聖痕に侵された腕を掴むと、気合を込めるように立ち上がり、徐々に右腕に広がっていた紋様が縮まり、やがて右手の甲へと移動する。ダインの行動にブラクは動揺し、あろう事かダインは闇の聖痕を制御したのだ。

闇の聖痕は元々はブラクが所有し、とある事情で彼の弟のオウネンに奪われた。そしてオウネンをダインが倒した時に闇の聖痕はダインに受け継がれ、彼は聖痕の力を操る。元々は聖痕はブラクの力だが、ダインは聖痕の力を抑え込む。


「へへっ、やっと慣れてきた……この力、爺の力を借りる様で気味が悪いから本当は使いたくなかったけどさ、我儘も言ってられないよな!!」
「おのれ……ガキめっ!!」
「あら、よそ見をする暇があるのかしら?」


ブラクは再び聖痕を操ろうとしたが、その前にマリアは掌を構えると、彼女は既に魔法の準備を整えていた。速射性に優れた雷属性の砲撃魔法がブラクに放たれた。


「サンダーボルト」
「ぐあぁあああっ!?」
「ブラク!?」


雷属性の砲撃魔法が容赦なくブラクの身体へと襲い掛かり、強烈な電圧がブラクを襲う。その光景を見たガイアは驚愕の声を上げるが、それに対してレミアは聖剣を振りかざし、カゲマルも短刀を放つ。


「ディバインスラッシュ!!」
「辻斬り!!」
「ぐおおおおっ!?」


不意打ちの際に仕掛けると威力が上昇する「辻斬り」聖剣エクスカリバーを利用したレミアの「ディバインスラッシュ」がガイアに的中すると、ガイアの身体は壁際へと吹き飛び、床に倒れ込む。

倒れたガイアとブラクを見てソルは二人を倒したのかと安心しかけたが、ここで彼はある事に気付く。それはブラク達がどのような手段でこの王都へ辿り着いたかである。冒険都市から王都までかなりの距離が存在し、仮に闘技祭の後に二人が冒険都市から王都へ移動したとしても到着が早過ぎる。


(この二人の動きは俺も注意していた……少なくともこんなに早く王都へ辿り着けるはずがない!!)


二人の行動はソルも注意しており、少なくとも昨日までは彼等二人は冒険都市に存在する痕跡をソルは発見していた。だが、そんな彼等がどのような手段で冒険都市から王都まで移動したのか気に掛かると、ここで気絶していたと思われるレナが声を上げる。


「お、叔母様……!!」
「レナ!?無事だったのね、安心しなさい。もう終わったわ」
「違う、まだ終わっていない……そいつは、偽物だ」
「……何ですって?」


レナが目を覚ました事にマリアは安堵しかけるが、レナの言葉を聞いて彼女は驚いてブラクに視線を向けると、そこには砲撃魔法を受けて黒焦げと化したブラクの身体が崩れ去り、やがて広間の中央に再び空間に「亀裂」が生じた。

亀裂を目撃したレナは自分が扱う「空間魔法」と同質の魔力を感じ取り、彼は胸元を抑えながらも起き上がる。やがて亀裂から現れたのは先ほどの老人姿のブラクとは似ても似つかなぬ存在が現れた。
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