不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

……上等だ!!

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「どうするんですか、ダインさん?この監獄都市から出るには闘技者になる以外に方法はありませんよ」
「……やるよ、闘技者」
「嫌と言っても……えっ?」
「坊主!?」
「本気か若いの!?」
「ギィイッ!?」


予想に反してダインが肯定の返事を伝えると、全員が驚愕の表情を浮かべた。これまでのダインの行動を見てきた彼等からすれば危険から遠ざかろうとする性格だと思っていたのだが、予想外の返事にミイネでさえも戸惑う。


「なってやるよ、闘技者とやらにな……」
「……本当にいいんですか?闘技者になれば確かに稼げますが、その分に命を落とす危険性もありますよ」
「馬鹿にすんなよ、僕だって冒険者だ。冒険者の仕事は命が危険に晒される事なんて日常茶飯事なんだよ!!」


ダインは冒険者の歴はレナやゴンゾウよりも長く、職業柄に普通の魔術師よりも当てにされないため、単独で仕事を引き受ける事が多かった。彼が引き受けた仕事の中には命も落としかねない危険性を孕んだ仕事も数え切れない程にこなしてきた。

普段から臆病に思われているダインではあるが、本人によれば自分は臆病などではなく、他の人間よりも用心深い性格だと自負している。彼はレナやゴンゾウのような圧倒的な力は持ち合わせていないが、それでも自分の力量は理解しており、これまでは慎重に生きてきた。



――しかし、現在の状況は慎重なままでは生きていけず、この監獄都市から脱出するためならば多少の危険は覚悟の上で行動する必要があると判断した。勿論、闘技者になれたからといってミイネの言う通りに試合を勝ち続けられるかは分からない。

しかし、他の囚人に目を付けられたのならもう普通の仕事は出来ない。ならば彼に残された選択肢は闘技者になって外の世界から来た人間の注目を浴び、奴隷だろうが兵士だろうが連れ出して貰うしかないと思った。



(ここから出られれば十分だ……僕一人で脱走した所でどうせ捕まるんだ。なら、逃げるとしたら外の世界に行った後で逃げる方が良い)


当然だがダインも奴隷や兵士としてこき使われる人生を送る気は皆目存在せず、外の世界に出られれば自力で抜け出し、きっと自分を待っているであろう仲間達が存在するバルトロス王国に逃げるつもりだった。バルトロス王国の王子であるレナとは親友であるため、必ずやダインが奴隷の身分になったとしても助けてくれると信じていた。


(今頃、皆も僕の帰りを心待ちにしているだろうな……こんな場所なんてすぐに抜け出してやる!!バルトロス王国に僕は絶対に戻るんだ!!)


覚悟を固めたダインは頬を叩くと、少し力が強すぎて涙目になるがミイネと向き直る。その彼の態度にミイネは不思議に思うが、ダインが乗り気ならばミイネからしても悪い話ではない。


「どうやったら闘技者になれるんだ?教えてくれよ……ミイネさん」
「……ふふ、取引成立ですね。なら、僕の事は特別に呼び捨てでいいですよ」
「え?本当か?」
「ええ、実はダインさんが闘技者の試験を受ける事は既に申し込んでいるんです。闘技場から貴方を購入した時、兵士の方に申し込んでました」
「な、何だって!?」
「それじゃあ、何のために若いのに確認したんじゃ?」
「勿論、ダインさんがどれほどの覚悟があるのか確かめるためですよ。でも、貴方を試すような真似をした事は謝ります……ごめんなさい」
「ギギィッ……」


ミイネの言葉を聞いてマサルとドルトンは驚き、仮にダインが断っていたとしても彼が闘技者の試験を受ける事が確定していたのならば先ほどの問答は意味がない事になる。だが、ダインは素直に謝ったミイネとゴブを見て苦笑いを浮かべ、覚悟を決めたダインはミイネを許す。


「どうせそんな事だろうと思ったよ……別に怒ってないよ、だけどもう僕の事を試そうとするなよ?」
「それは約束します。ここから僕達は運命共同体です……僕も出来る限りは協力します、だからダインさんも必ず試験に合格して下さいね」
「お、おう……やってやらぁっ!!」
「ギギィッ!!(その意気だ!!)」


二人は握手を行い、仲直りというには少し変な気分だったが、何となくではあるがお互いの絆が深まったような気がした。その様子を見ていたドルトンとマサルは何も言えず、ダインが決めた事ならば二人は反対する事は出来ない。

こうして何となくではあるがダインとミイネの間に友情のような物が芽生え始める中、一方では監獄都市に暮らす他の囚人の派閥の方にも動きがあった――





――兵士を殴った積荷より、光も届かない懲罰房の中でガルルは険しい表情を浮かべながら座り込んでいた。彼の周囲には同じく罰則を犯して捕えられた囚人達が横たわっており、全員が血塗れの状態で倒れていた。辛うじて生きているのか呻き声を漏らしているが、全員が重傷の状態で倒れていた。


「あの小僧……必ず殺してやる」


ガルルは自分を罠に嵌めたダインに対して並々ならぬ殺気を滲ませ、監獄都市の「三巨頭」の一角が完全に目を付けた。後にダインはこのガルルと思いもよらぬ再会を果たす事になる――




※ダインはこれからどうなるのか……(;´・ω・)
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