不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

いや、あからさまに罠だろこれ……

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「おい、見つかったか!?」
「いや、こっちにもいない!!くそ、何処に行きやがった!!」
「必ずこの宿舎の中にいるはずだ!!探し出せ!!」


廊下から慌てた様子の囚人達が駆け抜け、この際にダインとミイネはマサルの後ろに隠れると、囚人達は彼等に気付いた様子もなく通り過ぎる。その様子を見てドルトンは冷や汗を流し、どうにか無事にやり過ごす事が出来た。


「ふうっ……案外、ばれないもんですね」
「ううっ……いつまでこそこそとしてないといけないんだよ」
「もう少しの辛抱ですよ。あと少しで外に出られます」
「窓から抜け出せばいいのではないか?」
「いいえ、外で見張っている連中もいます。窓から抜け出す様な怪しい真似をすればすぐにばれますよ」


現在のダイン達は宿舎の裏口に向かっており、恐らくは見張りはいるだろうが正面玄関よりも目立ちにくいため、そちらの方から宿舎の脱出を試みる。窓から抜け出す方法もあるが、それを予測しているのか外の方にも囚人達は配置されていた。

どうやら既に宿舎内の囚人達にはダインの手配書の件は伝わっているらしく、まだ刑務作業中にも関わらずに囚人達が押し寄せてきた。真面目に働くよりも大量の銀貨を手に入る好機であり、わざわざ他の地区から押し寄せる者もいる。


「うおっ!?おい、窓の外を見ろよ……凄い数の囚人が待ち構えてるぞ!!」
「なんて数じゃ……こんな数の囚人からどうやって抜け出すんじゃ?」
「今はとにかく裏口へ向かいましょう。外に出れば僕が何とかします」
「何とか……本当に大丈夫なのか?」
「ここまで一緒にやってきたんだから少しは信用して下さいよ。ゴブさんだってあなたを助けるために行動したんですよ?」
「ううっ……あいつ、大丈夫かな?」


囮になって囚人達を引き寄せてくれたゴブの事を思い出し、ダインは心配する。何だかんだでここまで一緒に付き合ってきたが、魔物なのに人間であるダインを気遣い、気さくに接してくれた。

以前にダインはレナが深淵の森の中でゴブリンと仲良くなったという話を思い出し、魔物の中ではゴブリンは知能が高いため、人に慣れれば友好的な存在なのかもしれない。そんな風に考えながら歩いていると、遂に一行は裏口の手前にまで辿り着く。


「よし、どうにかここまで来れたな……ん?どういう事だ?」
「どうかしました?」
「いや、見張りがいないぞ。どうなってるんだ?」
「何だって?そんな馬鹿な……ここから外に抜け出せるのに見張りを立てないなんてあり得ないだろ」


先頭を歩いていたマサルの言葉にダインは驚いた様に裏口の様子を伺うが、本当に見張りらしき人物は存在せず、裏口は無人だった。人がいない事はダイン達には好都合だが、一人も見張りを立てていない事に違和感を抱く。


「いったいどうなっておるんじゃ……」
「なんだか嫌な予感がしますね……もう少し、様子を見ましょうか」
「おいおい、時間がないぞ。こんな所でうろうろしてたら他の奴等に見つかっちまうだろ。ここはさっさと通り抜けた方がいいんじゃないのか?」
「いや……止めておいた方がいいかもしれない。僕も嫌な予感がする」


マサルは人がいない間に通り抜ける事を提案したが、他の3人は異様な雰囲気を感じ取り、この場に留まる事を提案する。それから4人はしばらくの間は裏口の様子を伺うが、特に変化はない。


「おい、こんな場所で立ち止まってたら見つかるぞ。やっぱり、先に行った方がいいんじゃないのか?」
「待って下さい、もう少しだけ……」
「うむ、儂の勘も告げておる。この先は危険だと……」
「…………」


待っている事に焦れたマサルは先へ行くことを提案するが、他の者は注意深く観察を行い、怪しい物がないのかを確認する。この時にダインは無言で箒に偽装した杖を構えていると、我慢の限界が訪れたのかマサルが歩み出す。


「もういい、俺が見てくる!!それでなにもなかったらいいんだろ?」
「あ、おい!?」
「いかん、戻ってこい!!」
「駄目です!!危険ですよ!!」


他の者達が一行に進まないのでいい加減に我慢できなくなったマサルは裏口の方へ向けて歩み出す。その彼の行動にダイン達は慌てて止めようとしたが、次の瞬間に裏口の方から音が鳴り響く。

何処に隠れていたのか複数の囚人が突如として現れると、玄関口に向かおうとしていたマサルを取り囲み、手にしていたナイフを彼に構える。いきなり現れた囚人達にマサルは驚愕し、その様子を見ていたダイン達も慌てて飛び出す。


「う、うわぁあああっ!?」
「おっさん!?くそ、やっぱり罠か!!」
「いかん、早く逃げるんじゃ!!」
「たくもうっ……面倒を掛けさせないでください!!」


取り囲まれたマサルを救うためにダインは杖を構えようとした時、ここで裏口に拍手が鳴り響き、全員の動きが止まる。玄関口の方から車椅子に乗り込んだ老人が現れ、その顔を見たミイネは眉をしかめながらも名前を呟く。
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