不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

えっ……あいつ、そんなに大物だったの?

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「――ううっ、気分が悪い……誰か、魔力回復薬を持ってきてくれよ」
「そんな高価な物、もうありませんよ。少し休めば回復するんでしょう」
「ギギィッ(お疲れさん)」


試合の後、ダインは待機室へと運び込まれるとミイネとゴブの介抱を受けて休んでいた。ダインが倒れた影響はどうやら影魔法の使用で大量の魔力を消耗したらしく、まだ本調子ではないのに明るい場所でシャドウマンを発動した事が原因だった。

現在のダインは闇の聖痕の影響で魔法の調子が悪く、以前よりも影魔法の制御が出来なくなっていた。そんな状態でシャドウマンのような魔力消費が大きい影魔法を使った影響で身体が思うように動けなかった。


「全く、地下にいた時はあんなに魔法を使っても平気だったのに……」
「だから明るい場所と、暗い場所だと影魔法の効果が違うんだよ……くそ、夜だったらこんな事にならなかったのに」
「ギイイッ(よしよし)」


現在のダインはミイネに膝枕をされ、ゴブが彼の足を揉んで解していた。よくよく考えれば昨日から動きっぱなしでダイン自身も疲労が蓄積しており、無理に身体を動かした影響で倒れた可能性もある。

だが、あまり休んでいる暇はなく、ダイン達の目的はこの試合に集まった闘技者から現在の監獄都市の状況を尋ねなければならない。しかし、肝心のダインの相手がリックだった事が問題であり、彼は試合後にすぐに懲罰房に送り込まれてしまった。


「リックから話を聞くのは難しそうですね。そもそも奴は懲罰房で閉じ込められていたそうです。情報を聞き出すのもそもそも無理だったのかもしれません」
「なら、これからどうするんだよ?」
「大丈夫です、次の試合がもうすぐ始まるはずですから、次の選手から話を聞きだしましょう。試合が終われば選手は待機室に戻ってくるはずですし、ここで待っていれば次の試合の選手が戻ってきますよ」
「ああ、そうか……そういえば報酬が貰えるんだっけ」


試合後の選手は必ずや待機室に訪れ、試合の報酬を貰える。最も貰えるのは試合に勝利した人間だけであり、敗北した選手には支払われない。それどころ敗者は治療を受けるためには治療代も支払わなければならない。


「もういいよ、大分元気になってきた……ふう、それよりも今の試合でどれだけ稼げた?」
「相手がリックだったから結構稼げましたよ。試合の報酬を合わせてもかなりの金額が集まりましたが……僕達が外へ抜け出すには程遠いですね」
「そりゃそうだろうな……くそ、何が三角銀貨1000枚だよ!!そんなに集められるかってんだ!!」


監獄都市の囚人が外に抜け出すには三角銀貨を1000枚集めるか、闘技者として活躍し、外界の世界の人間に買い取られるかしかない。但し、実はもう一つだけ外の世界へ出られる可能性があった。


「ダインさんは監獄祭の事は知ってますか?」
「か、監獄祭?何だそれ?」
「この監獄都市では一年に一度の割合で監獄都市の闘技者同士が全員集まり、戦うんですよ。バルトロス王国の闘技祭は知っていますよね?それと似たような物ですよ」
「そういえば前にそんな話を聞いたような……いや、聞いてなかったような……」
「ともかく、この監獄祭に出場して優勝すれば莫大な報酬が貰えます。ダインさんも出場してみますか?」
「絶対嫌だ!!そんなの出場したら命がないだろ!?」
「ですよね」


監獄祭の話を聞かされてもダインは出場するきなど全くなく、そもそも話を振ったミイネ自身もダインが優勝するのはあり得ないと思っていた。監獄祭は監獄都市に存在する全ての闘技者を集めた催し物であり、ダインでは色々と分が悪い。

監獄祭はバルトロス王国の闘技祭とは異なり、試合に関しては1対1で戦うのではなく、全ての試合が複数名の乱戦で戦う事になっている。ダインならばあるいは優勝できるかもしれないと思われるが、魔法が完全に制御できない今の彼では長時間の戦闘は出来ない。だからこそ試合に出場しても勝てる可能性は限りなく低い。


「一応は言っておきますけど、監獄祭の優勝者には三角銀貨が1000枚支払われます。但し、二位以下には三角銀貨が1枚も支払われませんけど……」
「1000枚!?それって監獄都市から抜け出せる程の金額だよな!?なら、これまでに優勝した奴が出て行ったことはあるのか?」
「いえ、監獄祭で優勝した人間がここを離れた前例はありません。監獄祭が行われるようになったのは今から1年ほど前ですからね、ちなみに優勝した人物はダインさんも知っている人です」
「えっ、僕が知っている奴?だ、誰だよ?」
「ガルルですよ。奴は1年前の監獄祭で優勝し、他の囚人から一目置かれるようになり、三巨頭の座に就きました。当時に受け取った三角銀貨を使ってガルルは人を集めて派閥を作ったんです」
「ガルルが!?」


まさかガルルの名前がここで出てくるとは思わず、ダインは驚いた様にミイネの膝枕から頭を上げると、彼女は過去に行われた監獄祭の詳細を話す。
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