不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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ダイン 監獄都市編

決着……だよね?

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「や、止めろぉおおおっ!!お、下ろせぇえええっ!!」
「ガ、ガルル……!?」
「おいおい、マジかよ……」
「信じられない……でも、まさか本当だったなんて」


ダインの影魔法によって上空へと持ち上げられたガルルはあろう事か泣き叫び、その様子を見たグシャスもギルもミイネも呆然とする。現在のガルルは高さ7、8メートルの位置に持ち上げられた状態で泣き喚く。

確かに普通の人間からすれば恐怖を抱く高さかもしれない。しかし、この世界において巨人族は頑強で肉体の強さも人間とは比べ物にならない。ガルルのレベルは50近くはあるため、仮にこの高さから落ちたとしても大怪我を負う事もない。だが、ガルルは必死に自分の身体を拘束する黒腕にしがみつき、落ちまいとする。


「はあっ、はあっ……ま、まさか本当に高い所が苦手だったんだな、お前……」
「う、ううっ……た、頼む、俺の負けだ!!下ろしてくれぇっ!!」
「嘘だろ、あのガルルが敗北を認めたぞ!?」
「そんな馬鹿な……」


ガルルはダインにあっさりと敗北を認め、その光景を見てギルとグシャスは信じられない表情を浮かべる。ガルルが高い所が苦手など、今までそんな素振りは見せた事がなかった。先日に屋上で会議を行った時は表面上は普通に接していただけに尚更信じられない。

だが、ガルルのこれまでの行動を振り返ると彼は地上部分で主に活動しており、滅多な事では上層階に上がる事もなかった。この彼の弱点を知ったのは情報屋であり、彼はこの秘密を知られぬために殺されそうになった。内容が内容だけに他の人間に話しても信じられないかもしれないが、こうしてダインの手によって遂にガルルの弱点は発覚した。


「ガルル!!僕の勝ちだぞ、それでいいな!?」
「あ、ああっ……分かった、お前の勝ちだ!!だから、頼む!!下ろしてくれ!!」
「よし、約束だぞ……もしも破ったら今度こそ高い所から落とすからな!!」
「わ、分かった……」


ダインはガルルを拘束する黒腕を下ろすと、ガルルは地上に着地し、安堵した表情を浮かべる。しかし、すぐに周囲の者達の視線に気付き、彼は冷や汗を流す。


「ぷっ……あ、あのガルルがまさか高い所が苦手とはな」
「情けねえ声を上げてたぜ」
「こんな奴に俺等はビビってたのか?」
「き、貴様等!!」


ガルルの怯えようを見せつけられた囚人達は失笑し、そんな彼等にガルルは怒りを抱くが、もう彼の弱点を知った物はガルルを恐れたりしない。今までガルルが恐れられたのは三巨頭の威厳や彼自身が恐れ知らずの男だと思われていたからである。

しかし、高い所に持ち上げられただけで泣き喚くガルルの姿を見た者からすれば彼に威厳など感じられず、どれほど偉そうにしてもガルルの事を怖がりはしない。元々気の強い囚人の集団のため、もう彼を恐れる者はいない。


「ガルル……もう諦めろ、お前はここまでなんだよ」
「高所恐怖症とは……いや、何も言うまい」
「ふ、ふざけるな!!お前等、俺を誰だと思って……」
「何を言ってるんですか貴方?今の貴方は……ただの負け犬でしょう?」


ミインの言葉が止めとなり、彼女の言葉を聞いた物は苦笑いを浮かべ、その様子を見てガルルは自分が憐れまれている事に気付く。この監獄都市の囚人の中では最強だと自負していたガルルだが、それが今では普通の囚人に見下され、馬鹿にされているという事実に彼は愕然とする。


「ち、違う……これは、違うんだ!!」
「ガルル君、どれだけ言い訳しようと君が負けた事に変わりはないんだよ」
「か、監獄署長!?どうしてここに……」
「…………」


ガルルは振り返ると、そこには監獄署長のシンと闘技区の管理者のミノタウロスのミノルが立っていた。自分では決して敵わない二人の登場にガルルは焦りを抱くが、彼等の目的はガルルなどではなく、ダインであった。


「そこの君、名前は……ダインと言ったな?」
「な、何だよ!?ていうか、あんた誰だ!?」
「これは失礼、ちゃんと顔を合わせるのは初めてだったかな……僕の名前はシン、今はこの監獄都市の署長を務めているよ」
「監獄署長!?」
「父さん!!」


監獄都市の頂点に立つ男の登場にダインは動揺するが、一方でミイネの方も駆けつけ、ダインを庇うように前へと出る。シンが何を考えているのかは分からないが、これ以上にダインに何かをするつもりならミイネも黙ってはいない。

ミイネだけではなく、彼女に従うゴブやパールに従うはずの鼠のリボンも駆け出し、ダインを庇うように前へと出る。その様子を見てマサルとドルトンも頷き、彼の元へ向かう。一方でギルの方も配下に視線を向け、仕方がないとばかりにダインの元へ向かう。


「父さん……いえ、監獄署長。何の用事か知りませんが、これ以上はダインさんに手を出すのは止めてくれませんか」
「どうしてそこまで……その男に拘るんだい?」
「それは……ダインさんが僕の相棒だからですよ」
「み、ミイネ……」


自分を庇うミイネの言葉にダインは驚きながらも感動し、彼女が本心からそう言ってくれていると伝わった。その言葉に対してシンは頭を抱えると、やがて態度が一変した。
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