1,264 / 2,091
世界の異変編
受け継がれし才能
しおりを挟む
「少しいいか?」
「…………」
ゴンゾウが話しかけても少年は返事も返さず、最初は鍛錬に集中し過ぎて気付かなかったかと思ったゴンゾウだったが、ここで驚愕の事実に気付く。それは少年に近付くと寝息のような声が聞こえ、あろうこと少年は眠りながら鍛錬を行っていたのだ。
(馬鹿な……寝ているのか!?)
彼の行っている鍛錬は肉体にかなりの負荷を与えるはずだが、少年は眠りながら行っていた。眠った状態で鍛錬などゴンゾウですらも出来ず、彼は戦慄した、意識を失いながらも肉体を鍛え続ける少年にゴンゾウは冷や汗をかく。
眠っている少年に対してゴンゾウは気が引けたが、どうしても彼と話がしたいと思ったゴンゾウは少年に手を伸ばす。だが、彼の肩に触れた瞬間、思いもよらぬ行動を移す。
「はっ!!」
「ぐうっ!?」
少年の肩に触れた瞬間、彼は目を見開くとゴンゾウの手を振り払い、回し蹴りを放つ。その蹴りをゴンゾウは咄嗟に左腕で受けたが、思っていた以上に衝撃が走り、軽く腕が痺れた。仮にも巨人族である自分に痛みを覚えさせるほどの打撃を繰り出した少年にゴンゾウは更に驚かされるが、少年の方はゴンゾウを見て戸惑う。
「え?あっ……すいません。失礼しました、怪我はしてないですか?」
「あ、ああ……すまないな、鍛錬中に」
「いえ、起こしてくれてありがとうございます。最近は碌に眠れなかったのでついうたた寝しちゃって……」
「そ、そうか……」
鍛錬中に居眠りなど相当に疲労が溜まっているのかと判断したゴンゾウは少年を責めたりはしない。そもそも自分が勝手に触った事が問題であり、ゴンゾウは改めて少年と向かい合う。
外見はゴンゾウが出会ったばかりの頃のレナと同じぐらいの身長であり、年齢の方も当時のレナと同じぐらいだと思われる。しかし、眠りながら鍛錬をしたり、ゴンゾウですらも痛みを覚える程の打撃を繰り出せるという点では当時のレナにも劣らない力を持っている。
「名前を教えてくれるか?俺の名前はゴンゾウだ」
「知ってますよ、牙竜の冒険者の中でも一番有名ですからね。S級冒険者にも最近昇格したとか……僕の名前はミレトです」
「ミレト、か……」
少年の名前を聞いてもゴンゾウは聞いた事もなく、これだけの力を持つなら存在なら少しぐらいは名前が通っていてもおかしくはないのだが、ミレトという名前に心当たりはない。
(この子供……どこかで見たような気がするな)
ミレトと顔を合わせるのはゴンゾウは初めてのはずだが、何故か彼を見ていると誰かと似ているような気がする。しかし、その誰かに関しては思い出す事は出来ず、少なくともゴンゾウとは親しい間柄の人間ではない。
一方でミレトの方はゴンゾウに起こされて少し眠たそうな表情を浮かべていたが、ここで彼は何かに気付いたように振り返り、槍に手を伸ばす。そのミレトの行動にゴンゾウは不思議に思うと、ミレトは叫ぶ。
「魔物だ!!魔物が来るぞ!!」
「何!?」
「ま、魔物だと!?」
「何処だ、何処から現れた!?」
唐突に大声で騒ぎ始めたミレトに周囲の者達は慌てて食事を中断すると、直後に草原の方から大量に動く影が出現し、夜闇に紛れて魔物の集団が現れた。
『プギィイイイッ!!』
「この声は……オークの群れだ!!オークが責めてきたぞ!!」
「ちっ、面倒だな……こいつらをぶっ倒して肉鍋にするぞ!!」
この城壁の守護を任されている牙竜の冒険者は強きな性格の人間が多く、オークの群れを見ても怯まずに対処を行う。ゴンゾウも戦闘の準備を行うが、ここでミレトは槍の刃先に包んでいた布を引き剥がすと、それを露にする。その槍を見た瞬間、ゴンゾウは思い出した。
(この槍は……まさか!?)
――ミレトが手にしていた槍の正体はかつて大将軍のミドルが所持していた「ロンギヌス」と呼ばれる魔槍で間違いなかった。聖剣に匹敵する力を誇り、これを扱えるのは世界でもミドルだけだと思われた槍をミレトは手にする。
どうして彼がロンギヌスを持っているのかとゴンゾウは混乱するが、その間にミレトは槍を手にした状態で城壁から躊躇なく飛び降りる。その行動にゴンゾウは驚き、慌てて声をかけた。
「何をっ……!?」
「先に行きます」
ゴンゾウが見下ろすと、そこには城壁に対してロンギヌスの刃を伸ばした状態で降下するミレトの姿が存在した。ミレトは刃を城壁の壁に食い込ませて降下速度を落とし、やがて地上へと降りたつ。
わざわざ城壁から下りてきたミレトに対してオークの群れは呆気に取られるが、すぐに獲物の方から下りてきた事に笑みを浮かべ、オークの集団が彼へと襲い掛かる。
『プギィイイイッ!!』
「いかん!!」
ミレトに向けて多数のオークが迫る光景を見てゴンゾウは自分も下りて彼を守ろうとしたが、その前にミレトはロンギヌスの槍を構えると、目つきを鋭くさせ、途轍もない速度で槍を繰り出す。
「刺突・乱」
「プギャッ!?」
「フガァッ!?」
「グエッ!?」
ミレトが繰り出した槍は残像を生み出す程の速度で放たれ、接近してきたオークの急所を貫く。心臓、頭部、喉を貫かれたオークの死体が地面に転がり込む光景を見たゴンゾウは戦慄した。今の彼の姿は大将軍であるミドルの姿と酷似していた。
「…………」
ゴンゾウが話しかけても少年は返事も返さず、最初は鍛錬に集中し過ぎて気付かなかったかと思ったゴンゾウだったが、ここで驚愕の事実に気付く。それは少年に近付くと寝息のような声が聞こえ、あろうこと少年は眠りながら鍛錬を行っていたのだ。
(馬鹿な……寝ているのか!?)
彼の行っている鍛錬は肉体にかなりの負荷を与えるはずだが、少年は眠りながら行っていた。眠った状態で鍛錬などゴンゾウですらも出来ず、彼は戦慄した、意識を失いながらも肉体を鍛え続ける少年にゴンゾウは冷や汗をかく。
眠っている少年に対してゴンゾウは気が引けたが、どうしても彼と話がしたいと思ったゴンゾウは少年に手を伸ばす。だが、彼の肩に触れた瞬間、思いもよらぬ行動を移す。
「はっ!!」
「ぐうっ!?」
少年の肩に触れた瞬間、彼は目を見開くとゴンゾウの手を振り払い、回し蹴りを放つ。その蹴りをゴンゾウは咄嗟に左腕で受けたが、思っていた以上に衝撃が走り、軽く腕が痺れた。仮にも巨人族である自分に痛みを覚えさせるほどの打撃を繰り出した少年にゴンゾウは更に驚かされるが、少年の方はゴンゾウを見て戸惑う。
「え?あっ……すいません。失礼しました、怪我はしてないですか?」
「あ、ああ……すまないな、鍛錬中に」
「いえ、起こしてくれてありがとうございます。最近は碌に眠れなかったのでついうたた寝しちゃって……」
「そ、そうか……」
鍛錬中に居眠りなど相当に疲労が溜まっているのかと判断したゴンゾウは少年を責めたりはしない。そもそも自分が勝手に触った事が問題であり、ゴンゾウは改めて少年と向かい合う。
外見はゴンゾウが出会ったばかりの頃のレナと同じぐらいの身長であり、年齢の方も当時のレナと同じぐらいだと思われる。しかし、眠りながら鍛錬をしたり、ゴンゾウですらも痛みを覚える程の打撃を繰り出せるという点では当時のレナにも劣らない力を持っている。
「名前を教えてくれるか?俺の名前はゴンゾウだ」
「知ってますよ、牙竜の冒険者の中でも一番有名ですからね。S級冒険者にも最近昇格したとか……僕の名前はミレトです」
「ミレト、か……」
少年の名前を聞いてもゴンゾウは聞いた事もなく、これだけの力を持つなら存在なら少しぐらいは名前が通っていてもおかしくはないのだが、ミレトという名前に心当たりはない。
(この子供……どこかで見たような気がするな)
ミレトと顔を合わせるのはゴンゾウは初めてのはずだが、何故か彼を見ていると誰かと似ているような気がする。しかし、その誰かに関しては思い出す事は出来ず、少なくともゴンゾウとは親しい間柄の人間ではない。
一方でミレトの方はゴンゾウに起こされて少し眠たそうな表情を浮かべていたが、ここで彼は何かに気付いたように振り返り、槍に手を伸ばす。そのミレトの行動にゴンゾウは不思議に思うと、ミレトは叫ぶ。
「魔物だ!!魔物が来るぞ!!」
「何!?」
「ま、魔物だと!?」
「何処だ、何処から現れた!?」
唐突に大声で騒ぎ始めたミレトに周囲の者達は慌てて食事を中断すると、直後に草原の方から大量に動く影が出現し、夜闇に紛れて魔物の集団が現れた。
『プギィイイイッ!!』
「この声は……オークの群れだ!!オークが責めてきたぞ!!」
「ちっ、面倒だな……こいつらをぶっ倒して肉鍋にするぞ!!」
この城壁の守護を任されている牙竜の冒険者は強きな性格の人間が多く、オークの群れを見ても怯まずに対処を行う。ゴンゾウも戦闘の準備を行うが、ここでミレトは槍の刃先に包んでいた布を引き剥がすと、それを露にする。その槍を見た瞬間、ゴンゾウは思い出した。
(この槍は……まさか!?)
――ミレトが手にしていた槍の正体はかつて大将軍のミドルが所持していた「ロンギヌス」と呼ばれる魔槍で間違いなかった。聖剣に匹敵する力を誇り、これを扱えるのは世界でもミドルだけだと思われた槍をミレトは手にする。
どうして彼がロンギヌスを持っているのかとゴンゾウは混乱するが、その間にミレトは槍を手にした状態で城壁から躊躇なく飛び降りる。その行動にゴンゾウは驚き、慌てて声をかけた。
「何をっ……!?」
「先に行きます」
ゴンゾウが見下ろすと、そこには城壁に対してロンギヌスの刃を伸ばした状態で降下するミレトの姿が存在した。ミレトは刃を城壁の壁に食い込ませて降下速度を落とし、やがて地上へと降りたつ。
わざわざ城壁から下りてきたミレトに対してオークの群れは呆気に取られるが、すぐに獲物の方から下りてきた事に笑みを浮かべ、オークの集団が彼へと襲い掛かる。
『プギィイイイッ!!』
「いかん!!」
ミレトに向けて多数のオークが迫る光景を見てゴンゾウは自分も下りて彼を守ろうとしたが、その前にミレトはロンギヌスの槍を構えると、目つきを鋭くさせ、途轍もない速度で槍を繰り出す。
「刺突・乱」
「プギャッ!?」
「フガァッ!?」
「グエッ!?」
ミレトが繰り出した槍は残像を生み出す程の速度で放たれ、接近してきたオークの急所を貫く。心臓、頭部、喉を貫かれたオークの死体が地面に転がり込む光景を見たゴンゾウは戦慄した。今の彼の姿は大将軍であるミドルの姿と酷似していた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。