不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,480 / 2,091
真・最終章 七魔将編

よし、逃げよう(諦め)

しおりを挟む
「あ、あいつ……よりにもよってなんであそこにいるんだよ!!」
「しっ……気づかれますよ」
「チュチュッ……」


建物の陰にてダイン達は広場に佇む石像の様子を伺い、今現在の所は石像が動き出す様子はない。石像は前回にレナ達が氷漬けにした石像と瓜二つの姿をしており、全く動かないので他の人間が見たらただの騎士の形をした石像にしか見えない。

転移門と呼ばれる台座の前に石像は佇んでいるせいで迂闊に近づく事はできず、ダインは頭を抱えてしまう。転移門を起動できれば深淵の森の遺跡まで転移できるのだが、石像に近付いた瞬間に襲われる危険性があった。


「ああ、くそっ……こ、ここまで来たのにあんな奴がいるなんて、どうしたらいいんだよ」
「落ち着いて下さい、あれをどうにかすればいいんですよね?」
「簡単に言うなよ!!あいつがどれだけ怖い奴なのか知らないだろ?」
「でも、ここまで来て引き返しますか?」
「うっ……」
「チュチュッ(覚悟を決めな、坊や)」


ミイネの言葉にダインは言い返せず、この遺跡に辿り着くまでダイン達もかなり苦労を強いられた。それに転移門が起動できれば面倒な国境越えを行わずに安全にバルトロス王国まで引き返せる事ができる。

しかし、正面から石像に挑んだとしてもダインとミイネには勝ち目はなく、相手は水も効かなければレナやゴンゾウの攻撃さえも受け付けない無敵の戦人形である。しかし、正攻法で勝てないのであれば罠を仕掛ける事をミイネは提案した。


「あの戦人形を別の場所に誘き寄せて動けないようにしましょう」
「動けないようにって……そんな事、できるのか?」
「ちょうどいい建物があるじゃないですか」
「……あのボロい建物か?」


ミイネは広場から離れた建造物を指差し、その場所は今にも崩れ落ちそうなほどに老朽化した建物だった。建物を利用してどんな罠を仕掛けるつもりなのかダインは尋ねる前にミイネは自分の考えた作戦を伝える――





――作戦内容を聞いたダインは最初は上手くいくのかと不安を抱くが、他に良案も思いつかないのでミイネの作戦に乗って行動に移る。まずは老朽化が進んだ建物の様子を調べ、建物を支える柱の位置と手ごろな大きさの瓦礫を事前に用意する。


「こ、これぐらいの大きさでいいか?」
「そうですね、ならここに置いておいてください」
「チュチュッ」


ダインは影魔法を利用して大きめの瓦礫を運び出し、彼の影はどんなに重量が大きい物でも持ち上げる事ができる。ダインは自分の影を伸ばしてロープのように変形させると、瓦礫に巻き付かせた状態で引きずっていく。

監獄都市で囚人たちを相手に死闘を乗り越えた影響か、以前と比べてダインの影魔法も安定していた。一時期は闇の聖痕の暴走で上手く影魔法が使えなかったが、今では調子を取り戻して杖無しの状態でも自分の影を操作する事ができた。


「ふうっ、ここでいいんだな?」
「ええ、そうです。後は囮役ですが……僕が適任ですね」
「だ、大丈夫か?」
「平気ですよ、逃げ足には自信がありますし……それにダインさんが囮役だとこの作戦を成功させるのは難しいですからね」


人間が隠れられる程の大きさの瓦礫を建物の出入口付近に運び込むと、ミイネは建物の窓の位置の確認を行い、自分が通り抜けられる程の窓を把握して頷く。


「これで準備はできました。僕が合図を出したらよろしくお願いしますよ」
「たくっ……分かったよ、頼りにしているからな。相棒」
「チュチュッ!!」


ダインはミイネに拳を向けると彼女も微笑んで拳を突きだし、二人が拳を合わせるとリボンも小さな手を置く。準備を整えるとすぐに3人は行動を開始した――





――建物の陰にダインは身を隠すと、ミイネはリボンを鞄の中に戻す際に自分の水筒を取り出す。ダインの話を聞いた彼女は転移門の前に佇む石像に近付き、慎重に彼女は水筒の蓋を開いて構える。


(この石像が本当にゴーレムだとしたら……攻撃を受ければ反応を示すはず)


遺跡を守護する戦人形には水の類は効かない事は分かってはいるが、それでもミイネは水筒の水を石像に振りかける。すると石像は水を浴びた瞬間に目元が光り輝く。


『ッ……!?』
「うわっ!?」


水を浴びた途端に石像は攻撃されたと判断すると、自分に水筒の水を振りかけたミイネに振り返って腕を伸ばす。突如として動き出した石像にミイネは驚きながらも距離を取る。

深淵の森の戦人形と違ってこちらの遺跡の戦人形は言葉を発する事はないが、スライムの如く自分の肉体を自由自在に変形する能力を持つ。戦人形はミイネを敵と判断すると、右腕を刃物のように変形させて彼女に斬りかかった。


『ッ……!!』
「うわわっ!?」


戦人形の攻撃に対してミイネは咄嗟に後ろに跳んで回避すると、彼女が立っていた場所に戦人形の右腕が振り下ろされ、刃物が地面にめり込む。どうやら戦人形は自由に肉体の硬度を変化させる事ができるらしく、身体を粘土のように変形させるどころか本物の金属のように硬度を上げて硬くさせる事ができるらしい。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。