不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

ミレトの危うさ

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(このガキ、まさか心眼まで使えるのか!?)


砂煙で完全に視界が封じられていたにも関わらず、正確に自分の位置を把握して攻撃を仕掛けてきたミレトにシュンは驚く。彼は即座にミレトが「心眼」の技能を身に付けていると判断すると、弾かれた剣を回収するために動いた。

しかし、シュンが武器を拾う前にミレトは砂煙の中から抜け出すと、瞼を閉じた状態でシュンに目掛けてロンギヌスを突き出す。その攻撃に対してシュンは反射的に自分の剣の鞘を利用して槍の刃先を受け止めた。


「はあっ!!」
「ちぃいっ!!」


シュンが身に付けている鞘は世界樹で作り出されているため、並の金属よりも硬くて魔法の耐性も高い。だが、ロンギヌスを受け止めた瞬間に衝撃に耐え切れずに粉々に砕け散り、あまりの衝撃にシュンは尻餅をついてしまう。


「うがぁっ!?」
「せいりゃあっ!!」
「そこまでっ!!」


倒れたシュンに対してミレトは槍を振りかざすが、咄嗟にレナが飛び出してミレトが突き出そうとしたロンギヌスを鏡刀で弾き返す。思いもよらぬ邪魔にミレトは驚いた表情を浮かべるが、レナの方は鏡刀でロンギヌスを受けとめながら注意する。


「試合はここまで……二人とも熱くなり過ぎですよ」
「ぐっ……」
「はあっ、はあっ……」


レナの言葉を聞いて尻餅をついたシュンは悔し気な表情を浮かべ、一方でミレトの方は汗を流しながら武器を収める。攻防の時間はそれほど長くはなかったが、余程勝負に集中していたのかミレトの消耗が激しい。

鏡刀を鞘に納めたレナはシュンに手を差し出すが、彼は不機嫌そうにその手を払いのけて自力で立ち上がり、落ちていた自分の剣を拾い上げる。この時に彼は破壊された鞘の残骸を拾い上げると、ミレトに振り返って告げる。


「……お前の勝ちだ。好きにしろ」
「えっ……あ、ありがとうございます」
「シュンさん……」


勝負自体はミレトが優勢だったのは間違いなく、仮にレナが止めなければシュンはミレトの追撃を受けていた可能性は高い。しかし、勝負を見ていた他の人間はミレトの行為に問題視する。


「……あのガキんちょ、大丈夫かね」
「もしもレナが止めていなかったら……」


バルはミレトの最後の行動に頭を掻き、ゴンゾウも腕を組んでミレトを心配そうに見つめる。仮にレナが勝負を止めなければ彼は本当にシュンを殺していたかもしれない。

先ほどの勝負はシュンが剣を失い、鞘を破壊されて尻餅を着いた時点で彼は戦う事はできなかった。しかし、興奮したミレトはシュンに対して躊躇せずに追撃を加えた。もしもレナが止めなければシュンはロンギヌスに貫かれて死んでいた可能性もあった。


「シュン、貴様……手加減をしたのか?」
「うるせえ……」


ロウガが戻ってきたシュンに問いかけると、彼は不機嫌さを誤魔化さずに鞘を破壊されて抜き身となった剣を見つめる。シュンの剣はヨツバ王国の名工が作り出した武器だったが、先ほどのロンギヌスに弾かれた際に刃が欠けていた。


(あのガキ……突きの鋭さはミドル並か?だとしたら化物だな……)


シュンは最初から手合わせを前提に戦っていたため、本気で戦うつもりはなかった。しかし、想像以上のミレトの実力を思い知った彼は負けた事を悔しく思うが、その反面に恐ろしさを感じる。


(……あいつ、危ういな)


冒険都市に暮らす剣聖の中でシュンはレナと初めて戦った剣聖であり、他の剣聖よりもレナと真剣勝負した回数は多い。彼はミレトとの戦闘でレナと初めて戦った時の事を思い出し、何となくではあるが二人が似ているような気がした。

レナは剣士でミレトは槍使いにも関わらず、シュンはミレトとの攻防の際にレナと戦った時と同じような感覚を抱く。しかし、剣士であるはずのレナと槍使いのミレトは戦い方も戦法も全く異なるはずなのだが、どちらとの戦闘でもミレトは言葉にしがたい「圧迫感」を覚える。


(あの小僧、まさか……いや、考え過ぎか?)


冷や汗を流しながらシュンはミレトに振り返り、もしも彼がこのまま成長すれば将来的にのように「覚醒」するのではないかと不安を抱く――






――勝負を終えた後、レナ達は本格的に牙人将を探し出すために動き出す。しかし、面子に関しては鞘を破壊された事で万全に戦えなくなったシュンは遺跡に残り、その代わりに彼に勝利したミレトが同行する事になった。


「じゃあ、皆付いて来てね~私がいれば森に住む魔物は襲い掛かって来ないから安心して~」
「ど、どうも……」
「本当に居場所が分かるのか?」
「とりあえず、付いて行きましょう」
「…………」


樹精霊を戦闘にレナ、ロウガ、ミイネ、ミレトの4人は後に続く。その様子を他の者たちは手を振って見送り、最後にウルも5人の後を追いかける。


「ウォンッ!!」
「ウルも一緒に行くのか……目立たないように気を付けるんだぞ」
「ウォンッ(小声)」
「こんなでかい狼が目立たないはずがないだろう……」


レナの言葉にウルは頷くが、ロウガはウルの巨体を見て呆れた表情を浮かべる。しかし、ウルからすれば自分の故郷を荒す牙人将を放置する事など許せず、彼は頑固としてレナ達に付いてきた。




※11時も更新します。
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