不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

怨念の雲

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「ハンゾウ!?どうしてここに……」
「御二人をずっと探していたでござる!!それよりも大変な事が……!!」
「な、なんだよ……もう地上は大丈夫だろう?」


ハンゾウの慌てふためく姿にレナとダインは疑問を抱き、今回の騒動はもう終結しているはずだった。冒険都市に襲撃を仕掛けたアルドラ、オウガ、ブラクは倒され、ブラクの本体を倒した事で彼の影に操られていた死体人形も解放されているはずだった。

唯一の気掛かりは今回の騒動で闘技場内の魔物が逃げ出した事だが、そちらの対処もレナが行っている。幸いにも逃げ出したのはオークなどの魔物だけだったので騒ぎはもう収まっているはずだが、ハンゾウは空を指差す。


「あれを見て欲しいでござる!!」
「あれって何だよ……うわぁっ!?」
「そんな……どうして!?」


ハンゾウが指差した方向には冒険都市に迫る黒雲が存在し、それを見たレナとダインは驚愕の声を上げる。先ほどは黒雲が消えたと思っていたが、いつの間にか黒雲が冒険都市の目前にまで迫っていた。


「あの黒雲、一度は消えかけたのでござるが、急にまた戻ってきたのでござる!!」
「ど、どうしてだよ!?くそ爺は僕達が倒したんだぞ!?」
「でも、あそこから魔力を感じる……間違いない、これはブラクの魔力だ!!」


下水道でブラクの本体を倒したにも関わらず、何故か黒雲はブラクの禍々しい魔力を放ちながら迫っていた。本体が死んだというのにブラクの魔力が混じった黒雲が迫っている事にレナは疑問を抱き、即座にアイリスと交信して状況を把握する。


『アイリス!!どうして黒雲は消えないの!?ブラクを倒せば影も黒雲も消えると言ったよね!?』
『すいません、こちらの計算違いでした……どうやらブラクの影が集まって黒雲に取り込まれた様です』
『取り込まれた!?』
『ブラクの本体は間違いなく消滅しました。しかし、これまでに生み出されたブラクの影、つまりは魂の破片が黒雲に集まって融合したんです。あの黒雲には膨大な闇属性の魔力が含まれていますからね。それを利用して魂の破片と化したブラクが黒雲内の魔力を取り込み、無理やりに復活しようとしています』
『そんな……』


ブラクを倒しても彼が切り離した「影」は消滅する前に黒雲に逃げ込み、膨大な闇属性の魔力を吸い上げた事で疑似的に復活を果たした。今のブラクは最早「悪霊」という言葉ではな生ぬるく、正に「怨念」と化して黒雲と融合した。

黒雲と一体化した事でブラクの魂の破片は現世に留まり、この黒雲を完全に浄化させなければブラクを倒す事はできない。しかし、そもそもブラクを探していたのは黒雲を冒険都市に近づけさせないためだったのだが、これでは本末転倒である。


『どうすればいいの!?』
『もう黒雲を止める手段はありません。ですけど、ブラクの魂も限界は近いんです。時間が経過すればいずれ自我を保てなくなって自然と消滅します。問題は魂が完全に消えるまでの間、あの黒雲が雨を降らせるという事ですが……』
『自然消滅まではどれくらいかかる!?』
『……1時間ですね』


1時間も黒雲が黒雨を降り続ければ完全にブラクの魂は消滅するらしいが、それまでの間は冒険都市に黒雨が降り注ぎ、そうなれば大勢の人間が被害を受ける。今更都市の外に住民を逃がす時間もなく、今の所は北聖将軍が黒雲を近づけさせないように時間を稼いでいるが、あと数分もすれば抑えきれずに黒雲は冒険都市の上空へ到達する。


『あの黒雲を吹き飛ばすのはレミアのエクスカリバーでも不可能だったのに……』
『レナさん!!ここにはレミア以外にも聖剣の所有者がいます!!そいつら全員集めて下さい、力を合わせれば……』
『何とかできる!?』
『いえ、時間は稼げます』
『なんじゃそりゃっ!!』
『でも他に方法はありません。いいですか、とにかく!!1秒でも長く!!』


アイリスの言葉を聞いてレナは他に方法はないと知り、急いで冒険都市内に存在する黒雲に対抗できる力を持つ者達を呼び集める事にした。交信を遮断するとレナはハンゾウとダインに指示を出す。


「ハンゾウ、ゴウライがいたら黒雲が迫っている城壁に向かうように指示して!!それとレミアやハルナも見かけたら声を掛けといて!!」
「えっ!?りょ、了解したでござる!!」
「レナ、どうするつもりだよ!?」
「とにかく、皆を城壁に集めて!!時間がない、急いで!!」


レナの言葉にダインとハンゾウは彼に何か考えが浮かんだのだと信じ、ここはレナを信じて行動に移る――





――城壁では東聖将軍が黒雲を近づけさせないように射手は矢を撃ち続けるが、限界を迎えた者達が次々と倒れていく。最後まで踏ん張っているのはエリナと彼女の師匠の北聖将のハシラ、剣聖のシュンだけだった。


「畜生、いい加減にしやがれ!!こっちはもう限界なんだよ!!」
「はあっ、はあっ……も、もう腕が……」
「エリナ、撃ち続けろ!!お前まで倒れたら終わりだぞ!!」


3人が力を合わせて黒雲を近づけさせないように風圧を放つが、もうそろそ限界だった。エリナはもう体力が限界を迎え、ハシラも顔色が悪く、シュンも疲労で今にも倒れそうな状況であった。
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