不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,549 / 2,091
真・最終章 七魔将編

肉体の構造変化

しおりを挟む
精霊魔法とは風の精霊の存在を感じ取るだけでは成り立たず、そもそも厳密に言えば精霊だけの力では魔法を生み出す事はできない。精霊とは言わば自然界に存在する魔力と言っても過言ではなく、精霊魔法とは分かりやすく言えば自然の中に存在する魔力と自分の魔力を組み合わせる事で発動できる。

例えばレナの「支援魔法」は他の人間の魔法を強化する事もできるが、支援魔法の本質は魔力を送り込む事である。仮にレナが他の人間の魔法を強化する場合、その人間の身体かあるいは魔法その物に魔力を送り込まなければならない。そして精霊魔法とは自然界に存在する魔力を利用し、それを自分の魔法と組み合わせる事で己の魔法を強化する。

精霊魔法は自分自身の魔力に精霊の力を借りる事で発揮する「合成魔術」と言っても過言ではなく、仮に使用者が全く魔力を持たない場合は精霊魔法を発動する事もできない。尤も精霊を体内に受け入れれば魔力を回復させる事もできるが、精霊を体内に受け入れるのは非常に困難な技術であり、それこそ聖痕の所有者でもなければほぼ不可能な芸当だった。


「レナ、どうやら貴方は聖痕を継承した時に身体の構造が変化したのよ。普通なら人間の貴方が精霊を視認するどころかその力を借りる事はできない」
「でも、今は……」
「話は最後まで聞きなさい。私が言っているのはという事よ。今の貴方の身体は聖痕を受け入れた時に構造が変化したのよ」
「ちょ、それって大丈夫なのか?」


マリアの言葉にダインが心配するが、マリアは考えた末にレナならば問題はないと判断する。レナが普通の人間ならばともかく、ハヅキ家の血を継いでいる事だからこそ起きただと考える。


「恐らくだけど、貴方が聖痕を継承した時に身体の構造が人間から森人族に近付いたのよ。普通の人間では精霊魔法は操る事はできないけど、ハヅキ家の血筋である貴方には森人族の血も流れている。そして聖痕を吸収した時、身体の構造が変化して精霊魔法も扱えるようになった」
「へえ……あ、そういえば聖痕を継承した時に上手く魔法が発動できない時期があったんだけど、それも何か関係しているのかな?」
「恐らく、身体の構造が急に変化したせいで今までの体内の魔力の流れが大きく変化したのね。だけど、時間が経過するにつれて貴方自身が無意識に新しい魔力の流れを順応した事で魔法がまた使えるようになったはずよ」
「そうだったのか……」


レナは聖痕を受け継いだばかりの時に魔法の不調を引き起こしたが、あれは聖痕を軽傷した事で身体の構造が変化し、上手く魔力が練れない状態だった。そのせいで一時期は一部の能力を除いて魔法を使う事ができなかった事が判明するが、今では特に問題なく扱える。

だが、マリアの説明ではレナは聖痕を受け継いだ時に精霊魔法が扱える肉体の構造に変化したはずだが、聖痕を譲渡した後は彼は精霊を感じ取る事も精霊魔法を扱う事もできなかった。


「でも叔母様、聖痕のお陰で俺は精霊魔法を使えるようになったのならどうして今まで精霊を見る事はできなかったの?」
「いいえ、貴方は既に聖痕が無くても精霊魔法を扱える器はできていた。だけど、今まで聖痕を利用して風の精霊を呼び出す方法しかなかったから貴方は精霊魔法の使い方が分からなかった。けれど私の魔力を貴方の中に送り込んだ時、貴方の中に眠っていた精霊を司る機能が芽生えたのよ」
「叔母様の魔力のお陰で?」
「風の精霊魔法を操れるのは森人族だけ……普通の人間ならば精霊魔法を扱う事はできない。だけど貴方は森人族の血筋でしかも森人族である私の魔力を受け取った。そのお陰でようやく眠っていた才能が開花したのよ」
「才能……」


レナは試しに指先を伸ばすと、空中に浮かんでいた風の精霊が集まる。今までは精霊はレナが触れようとすると逃げ出していたはずだが、今は精霊の方からレナの元に寄ってきた。


(本当だ、聖痕を使っていた時と同じように風の精霊を感じ取れる……むしろ、前よりもはっきりと見える気がする)


聖痕を所有していた時よりもレナは風の精霊の存在を感じ取り、今ならば精霊魔法も扱える気がした。聖痕がなくなってもレナは聖痕の所有していた頃と何ら変わりない能力を持ち合わせ、むしろ前よりも魔法の力が磨かれた気がした。


「まさか人間の兄貴が精霊を扱えるなんて……やっぱり兄貴はすごいっす!!」
「凄い、どころではないだろう……」
「おいおい、ちょっと待てよ……精霊を操れるという事は坊主も風属性の魔法や魔法剣を強化できるようになるのか!?」
「…………(←開いた口が塞がらない)」
「何だかよく分からないけど……流石はレナたんだね!!」
「さすレナ」
「久々に聞いたな、その単語……」


精霊魔法さえも扱えるようになったレナに森人族組は驚き、他の者たちは混乱していた。マリアにとってもレナが人間でありながら精霊魔法を扱える事は彼女も予想外の出来事だった。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。