不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,751 / 2,091
真・最終章 七魔将編

最上級魔法「斬光」

しおりを挟む
「ようやく私の出番のようね」
「マリア様!?」
「おお、頼んだぞ!!」


ヨツバ王国の船にはマリアも同上しており、彼女は他の者と違って炎龍との戦闘に参加する予定だった。他の聖剣所有者は人魚族の協力の元で場所の移動を行っているが、マリアは聖剣の攻撃を仕掛ける前に炎龍に最上級魔法を仕掛けるつもりだった。

マリアが扱う最上級魔法の中で防御に特化したのは「プロトアイギス」だが、逆に攻撃に特化した最上級魔法は「七光」だった。七つの属性の魔力を砲撃する事で反発作用を引き起こして絶大な威力を誇るが、今回の炎龍の場合は七光だけでは仕留めきれない。


(出力を調整して攻撃範囲を狭める。その代わりに威力は最大限のまま維持する……名付けるとしたらね)


両手に小さな魔法陣を複数展開したマリアは掌を構え、迫りくる炎龍に狙いを定めた。炎龍は現在は火属性の魔力の鎧に覆われているために生半可な魔法攻撃は通じない。相性的には有利な水属性の魔法でさえも効果は薄いだろうが、今から行うマリアの魔法は確実に炎龍の魔鎧を突破する威力を誇る。


「喰らいなさい……姉さん仕込みの剣術よ!!」
「こ、これは!?」
「マリア様!?」


マリアは両手を重ね合わせると掌の中で展開されていた複数の魔法陣が重なり合い、やがて光の剣と化す。この光の剣の正体は魔力同士が反発する際に発生する光の衝撃波を剣の形に抑えたに過ぎず、彼女はアイラから手ほどきを受けた剣術を披露する。

炎龍の正面に目掛けてマリアは光の剣を振り落とすと、それに対して炎龍は直感で危険を悟ったのか海面に潜って避けようとした。しかし、完全には避け切れずにマリアの手元から放たれた光の剣は炎龍の右翼を切り裂き、魔鎧術を貫通して翼本体を切り裂いた。


「オァアアアアッ!?」
「ぐうっ!?」


右翼を切り裂かれた事で炎龍は悲鳴を上げ、この時に炎龍に魔鎧術を発揮させていたラストでさえも予想外の事態に対応できずに魔鎧術を解いてしまう。一方で光の剣を振り下ろしたマリア自身も膝を着き、それを見たツバサが慌てて駆けつける。


「マリア様!!大丈夫ですか!?」
「はあっ、はあっ……少しふらっとしただけよ。これで満足したわ……さあ、止めを刺すわよ」


自分の最上級魔法で炎龍に大きな深手を与えた事に満足したのか、マリアはツバサに肩を貸して貰いながら立ち上がると、彼女からクサナギを受け取った。既に他の聖剣所有者も人魚族の協力の元で炎龍を取り囲む位置に移動しており、それぞれが準備を整えているはずだった。


『こちらシズネよ!!人魚族の水の精霊を通して会話しているわ!!』
『うわ、本当に声が聞こえてきた!?こ、こっちも準備できたぞ!!』
『吾輩も問題はないぞ!!』
『ちっ……さっさと始めろ』
『ううっ……水の中は苦手なんだよ。早くしようぜ』
『準備はできています!!』


水面から唐突に聖剣所有者の声が広がり、引率してくれた人魚族が水の精霊を通して会話を伝えてくれている。それを確認したマリアはクサナギを手にすると、最後の攻撃の合図を行う。


「これで終わらせるわ!!」
『おうっ!!(はいっ!!)』


マリアはクサナギを天に構えると竜巻が発生し、他の場所でも雷や火柱が立ち上がる。炎龍はようやく自分を取り囲むように聖剣所有者が囲んでいる事に気が付き、この時に背中に乗っていたラストもマリア達の狙いに気が付く。

全員の準備が整うとそれぞれが聖剣に魔力を込めて攻撃の準備を開始する。如何にラストが魔力を吸収する力を持とうと、七つの属性の聖剣による攻撃ならばいくら彼であろうと吸収する事はできない。そもそも複数の属性の魔力が組み合わされば反発作用が引き起こされて接触箇所は消滅する。


(これで終わりよ――!?)


攻撃を仕掛ける寸前、マリアは嫌な予感を抱いた。まだ彼女が冒険者を勤めていた頃に何度か味わった感覚であり、勝利を目前にした人間はどんな強者だろうと油断を招く。



――炎龍を操るラストはこの時を待っていた。彼は炎龍に聖剣による攻撃が繰り出されると見抜くと、海中に掌を伸ばす。ラストの能力は魔力を吸収する力を持つが、それは海の中に存在する水の精霊であろうと例外ではない。人魚族が精霊魔法で津波を引き起こせるようにラストも海中の精霊を利用して海を荒す事もできた。



人魚族の場合はあくまでも水の精霊に力を借りた上で魔法を行使するが、ラストの場合は強制的に水の精霊を吸収して自分の力に変換させた上で攻撃を繰り出す。彼は水の精霊を吸収し、その力を利用して炎龍の周囲に巨大な水の壁を作り出す。


「そんな物、通じんわ!!」
『なっ!?』


聖剣が繰り出された攻撃はラストが作り出した水壁によって阻まれ、軌道がずれて見当違いの方向へ吹き飛ぶ。それを見た者達は唖然とするが、この中でマリアだけはいち早く次のラストの行動を予測して船の人間に注意を呼び掛ける。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。