不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

閑話 《その頃の未来では……》

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――レナ達が過去の時代に飛ばされたころ、アイラはマリアの元に訪れていた。二人は優雅にお茶を楽しむ中、唐突にアイラが空を見上げて不思議そうに首を傾げる。


「う~ん……」
「姉さん?どうかしたの?」
「いいえ、ちょっと昔の事を思い出して……」


アイラはヨツバ王国が存在する方向に視線を向け、故郷を離れてから20年以上も経過しているが、唐突に昔の事を思い出す。マリアも何故かアイラと同じく昔の事を急に思い出す。


「そういえば昔、母様の言い付けで遺跡に言った事があったわね」
「あら、貴女も思い出したてたの!?実は私もそれを思い出していたのよ!!」
「懐かしいわね、あの時は確か西聖将の地から訪れる武芸者の相手をしなさいと言われたけど……どうしてもその時に何か起きたのか思い出せないわ」
「そうね、遺跡に辿り着いたのまでは覚えてるんだけど……その後の事は覚えていないわ。あの後、どうなったのかしら?」
「帰りが遅いのを心配した母様が人を送ったら、遺跡の中で気絶している私達を見つけたのよ。多分、西聖将の地から訪れた武芸者と戦って敗れたと思うのだけど……どうしても戦った時の事が思い出せないわね」
「私もよ。記憶を失うぐらいに強く頭を叩かれたのかと思ったけど、でも私も貴女も二人同時に記憶を失うなんてあり得るのかしら?」
「私達を発見したエルフの話によれば大怪我は負っていないと言っていたわね。まあ、母様はそんな話は信じなくて私達が敗れた事を隠そうとしていると判断して酷く叱られたけど……」
「あの時は本当に災難だったわね」


二人は深々と溜息を吐き出し、彼女達は遺跡で起きた出来事を思い出そうとすると頭痛に襲われてしまう。今までずっと忘れいたが、急に思い出した事に不思議に思う。

ちなみに二人は西聖将の管理する土地の武芸者と戦う羽目になった経緯は母親の意志であり、前々から母親のハヅキは西聖将と面識があった。西聖将の元に腕利きの剣士が居ると知り、それを知ったハヅキは娘二人を戦わせて実力を計ろうとした。ハヅキは二人にとっては良い修行相手になると思って戦わせたのだろうが、まさか娘二人とも敗れるなど夢にも思わなかった。


「姉さんはともかく、私は魔術師よ?何で私も戦わされる羽目になったのか未だに疑問だわ」
「母様はマリアにも本当は剣士になって欲しかったのよ。若い頃の母様は魔法も剣も一流だったそうだから……」
「私に剣の才能はないわ。生まれた時に姉さんにそっちの才能は取られたと思うわ」
「くすっ、それなら私は魔法の才能を取られたのかしら?」
「ええ、そうかもしれないわね」


アイラとマリアは笑みを浮かべ、昔の事を色々と思い出す。ヨツバ王国に居た時はハヅキの意志で二人は厳しい修行を受けており、父親が亡くなってからは一層に修行は苛烈さを増した。そのお陰で二人は強くなれたのかもしれないが、ハヅキのあまりの指導の厳しさに耐えかねて二人はヨツバ王国を抜け出す。

ヨツバ王国を抜け出した後もマリアは内密にハヅキと連絡を取り合い、定期的にハヅキに自分の身の回りの出来事を報告する事でヨツバ王国外での活動を許された。そうでもなければハヅキ家の大事な跡取りが二人とも外の世界で自由に行動できるはずがなく、アイラはともかくマリアは色々と苦労をしていた。


「もしも父様が今も生きていたらどうなったのかしら……」
「そうね……その時は案外姉さんがハヅキ家を継いでいたかもしれんわ。母様は私よりも姉様に期待していたようだから」
「あら?私はマリアの方が母様に認められていたと思うけど……」
「どちらにしろ私達はヨツバ王国を離れる事はなかったでしょうね。そうなったら姉さんも結婚しなかったし、可愛いレナも生まれなかったかも……」
「それは困るわ!!レナちゃんが生まれないなんて考えられない!!」
「私も同じよ」


仮に二人がヨツバ王国に残っていた場合、どちらかはハヅキ家の後を継いでいた。もしかしたら二人の実力ならばハヅキ家を継がない方が六聖将に昇格していた可能性も十分に有り得る。

当時のヨツバ王国は世界最強の戦力を有しており、バルトロス王国よりも戦力は大きく上回る。しかし、ヨツバ王国のデブリ国王は自分達の国を管理するだけで十分だと判断し、彼の代では領地を広げるために他国に自ら戦争を仕掛ける事はなかった。何度か他国とのいざこざはあったが、どれも交渉で解決しようと努力してきた。

仮にデブリ国王が野心を抱いてバルトロス王国に侵攻していた場合、如何に王国であろうと戦力面では敵わない。だが、当時の王国にはイレアビトも居たので簡単に侵略はされないと思われる。イレアビトの策謀で逆にヨツバ王国が窮地に陥っていた可能性もある。


「……紅茶が冷めたわね。新しいのを入れるわ」
「ええ、お願いね」


マリアはもしもの話を考えていても仕方がないと思い、新しい紅茶を入れる事にした。だが、二人が急に過去の事を思い出したのは偶然ではなく、二人にとって大切なレナは更にとんでもない窮地に陥ろうとしていた。
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