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蛇足編
サキュバスの行方
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「ミナさんの周りをちょろちょろしてる男の人と名前が似てますね」
「可哀想だからそういう言い方は止めなさい。ガロウ君が傷つくでしょ」
「いや、そんな名前でしたっけ?本人がここに居たらレナさんの言葉の方が傷つくと思いますけど……」
「あんたら、何の話をしてるんだ?」
ひそひそ話を始めたレナ達に他の冒険者は不思議に思うが、ともかく彼等はレナが気絶させたガオを連れて行く。襲われたとはいえ、彼はあくまでもサキュバスの魅了によって正気を失っていただけであり、仲間として連れ帰るらしい。
「たくっ、こいつは本当に女にだらしないからな。危うく殺される所だったぜ」
「まあ、そういうなよ。あのサキュバスを思い出せよ……あんなデカい胸で誘惑されたら男だったら逆らえねえよ」
「違いねえな、ははははっ!!」
「この人達、随分と呑気ですね。さっきまで怯えて逃げ惑っていたのに……」
「冒険者は立ち直りが早い人が多いから」
先ほどまでは殺されると泣き叫んでいた冒険者達だったが、状況が一変すると心の余裕を取り戻したのか殺そうとしてきた仲間を連れ帰る。そんな彼等にホネミンは呆れるが、レナも冒険者なので気持ちは分かる。
冒険者稼業は危険な仕事のため、命に危機に瀕する事も多い。だから普通の人間には冒険者は勤まらず、どんな事があっても立ち直れる精神力の持ち主でなければ長続きはしない。仮に自分を殺そうとした仲間であっても理由があるのならば許す彼等の心の広さにむしろ感心する。
「それにしてもサキュバスですか、レナさんの知り合いじゃないでしょうね」
「サキュバスの知り合いなんていないよ。あ、でも吸血鬼とサキュバスはこの世界じゃ同じ存在なんだっけ?」
「そうですね、呼び方が違うだけです。しいて言えば吸血鬼は血を欲しますが、サキュバスは精気を好みます。吸血鬼の場合は血を吸う事で力を得ますが、サキュバスの場合は精気を吸い上げて生き延びています」
「血はともかく、精気なんてどうやって吸うんだよ」
「触れるだけでいいんですよ。一番手っ取り早いのはせいこっ……」
「それ以上は言わなくていい」
とんでもない事を口走りそうになったホネミンの口元を封じ、冒険者達を同士討ちさせたサキュバスに見つかる前にレナ達も退散する事にした。だが、その前に捕まえた森人族の男にレナは見下ろす。
「こいつもサキュバスに操られて冒険者を襲ったのかな?」
「それはちょっと考えにくいですね。人間と違って森人族は魔法耐性も高いですし、何より堅物が多いから魅了に引っかかるような間抜けな森人族の男なんて滅多にいませんよ」
「えっ……堅物が多いの?俺の知っている人たちは全然そんな風に見えないけど……」
「レナさんの知っている森人族の方々は変わり者ばかりなんですよ」
レナはホネミンの言葉を聞いて意外に思い、森人族の男の中で最初に思いついたのはシュンだった。彼は堅物とは正反対の性格をしているが、言われてみれば六聖将のハシラやクレナイは堅物と言われれば納得できる。
ホネミンの見立てではサキュバスと言えども森人族の男を魅了するのは簡単な事ではなく、恐らくは森人族の男とサキュバスは最初から組んでいたのだと考えられた。それを確かめるため、彼女は他の冒険者から話を聞いて確かめる。
「ねえ、この人はなんていう名前か分かります?」
「ん?ああ、こいつか……名前は何だっけ?」
「そいつ名乗ってなかったんじゃないか?でも、傭兵だとは言ってたよな」
「傭兵?」
「ああ、実は人間に化けていたサキュバスがそいつを連れてきたんだよ。どうして冒険者同士で一緒に探索するのに傭兵なんて連れてきたのか不思議だったが……」
「でも、許可証がないと冒険者以外の人は入れないんでしょう?」
「持ってたよ。そいつ、今の試験官が訪れる前に許可証を手に入れたから」
ミナの父親が試験官になる前に傭兵を名乗る男は許可証を入手したらしく、彼等の話によるとサキュバスと行動を共にしていたらしい。そうなると男とサキュバスが組んでいた可能性が高まり、増々怪しく感じられた。
「なあ、あんたら……こんな所で話してないで外に出ないか?ここにいたら何時襲われるか分からねえしよ」
「転移台の近くに魔物が寄り付かないのは分かってるんだが、あのサキュバスが現れたらな……」
「大丈夫ですよ。サキュバスなんてレナさんが一捻りで倒しますから」
「サキュバスか……そういえばダインと初めて会った時の事を思い出すな」
ダインは初めて遭遇した時、彼はサキュバスに嵌められて身ぐるみを剥がされていた。それを偶然にも見かけたレナは彼を助けてやったが、今思えば彼との最初の出会いはサキュバスが切っ掛けとなる。
「いや、あんたが強いのはよく分かったよ。だけどな、サキュバスの魅了はマジでやばいんだ……あんた、顔は綺麗だけど男なんだろ?男ならサキュバスの魅了の能力に引っかかりやすいからな……もしもうちの仲間みたいにあんたまで操られたらやばいだろ?」
「ぷぷぷっ……女の子みたいに綺麗な顔してますからね。もしかしたらサキュバスもレナさんを女の子と間違えて魅了しないかもしれませんよ」
「はっ倒すぞ」
冒険者の男は言いにくそうに伝えると、ホネミンはレナの顔の事を茶化す。レナは母親のアイラ似のために顔立ちは整っており、過去に女装した時は誰一人として正体を気付かれる事はなかったほどである。
「可哀想だからそういう言い方は止めなさい。ガロウ君が傷つくでしょ」
「いや、そんな名前でしたっけ?本人がここに居たらレナさんの言葉の方が傷つくと思いますけど……」
「あんたら、何の話をしてるんだ?」
ひそひそ話を始めたレナ達に他の冒険者は不思議に思うが、ともかく彼等はレナが気絶させたガオを連れて行く。襲われたとはいえ、彼はあくまでもサキュバスの魅了によって正気を失っていただけであり、仲間として連れ帰るらしい。
「たくっ、こいつは本当に女にだらしないからな。危うく殺される所だったぜ」
「まあ、そういうなよ。あのサキュバスを思い出せよ……あんなデカい胸で誘惑されたら男だったら逆らえねえよ」
「違いねえな、ははははっ!!」
「この人達、随分と呑気ですね。さっきまで怯えて逃げ惑っていたのに……」
「冒険者は立ち直りが早い人が多いから」
先ほどまでは殺されると泣き叫んでいた冒険者達だったが、状況が一変すると心の余裕を取り戻したのか殺そうとしてきた仲間を連れ帰る。そんな彼等にホネミンは呆れるが、レナも冒険者なので気持ちは分かる。
冒険者稼業は危険な仕事のため、命に危機に瀕する事も多い。だから普通の人間には冒険者は勤まらず、どんな事があっても立ち直れる精神力の持ち主でなければ長続きはしない。仮に自分を殺そうとした仲間であっても理由があるのならば許す彼等の心の広さにむしろ感心する。
「それにしてもサキュバスですか、レナさんの知り合いじゃないでしょうね」
「サキュバスの知り合いなんていないよ。あ、でも吸血鬼とサキュバスはこの世界じゃ同じ存在なんだっけ?」
「そうですね、呼び方が違うだけです。しいて言えば吸血鬼は血を欲しますが、サキュバスは精気を好みます。吸血鬼の場合は血を吸う事で力を得ますが、サキュバスの場合は精気を吸い上げて生き延びています」
「血はともかく、精気なんてどうやって吸うんだよ」
「触れるだけでいいんですよ。一番手っ取り早いのはせいこっ……」
「それ以上は言わなくていい」
とんでもない事を口走りそうになったホネミンの口元を封じ、冒険者達を同士討ちさせたサキュバスに見つかる前にレナ達も退散する事にした。だが、その前に捕まえた森人族の男にレナは見下ろす。
「こいつもサキュバスに操られて冒険者を襲ったのかな?」
「それはちょっと考えにくいですね。人間と違って森人族は魔法耐性も高いですし、何より堅物が多いから魅了に引っかかるような間抜けな森人族の男なんて滅多にいませんよ」
「えっ……堅物が多いの?俺の知っている人たちは全然そんな風に見えないけど……」
「レナさんの知っている森人族の方々は変わり者ばかりなんですよ」
レナはホネミンの言葉を聞いて意外に思い、森人族の男の中で最初に思いついたのはシュンだった。彼は堅物とは正反対の性格をしているが、言われてみれば六聖将のハシラやクレナイは堅物と言われれば納得できる。
ホネミンの見立てではサキュバスと言えども森人族の男を魅了するのは簡単な事ではなく、恐らくは森人族の男とサキュバスは最初から組んでいたのだと考えられた。それを確かめるため、彼女は他の冒険者から話を聞いて確かめる。
「ねえ、この人はなんていう名前か分かります?」
「ん?ああ、こいつか……名前は何だっけ?」
「そいつ名乗ってなかったんじゃないか?でも、傭兵だとは言ってたよな」
「傭兵?」
「ああ、実は人間に化けていたサキュバスがそいつを連れてきたんだよ。どうして冒険者同士で一緒に探索するのに傭兵なんて連れてきたのか不思議だったが……」
「でも、許可証がないと冒険者以外の人は入れないんでしょう?」
「持ってたよ。そいつ、今の試験官が訪れる前に許可証を手に入れたから」
ミナの父親が試験官になる前に傭兵を名乗る男は許可証を入手したらしく、彼等の話によるとサキュバスと行動を共にしていたらしい。そうなると男とサキュバスが組んでいた可能性が高まり、増々怪しく感じられた。
「なあ、あんたら……こんな所で話してないで外に出ないか?ここにいたら何時襲われるか分からねえしよ」
「転移台の近くに魔物が寄り付かないのは分かってるんだが、あのサキュバスが現れたらな……」
「大丈夫ですよ。サキュバスなんてレナさんが一捻りで倒しますから」
「サキュバスか……そういえばダインと初めて会った時の事を思い出すな」
ダインは初めて遭遇した時、彼はサキュバスに嵌められて身ぐるみを剥がされていた。それを偶然にも見かけたレナは彼を助けてやったが、今思えば彼との最初の出会いはサキュバスが切っ掛けとなる。
「いや、あんたが強いのはよく分かったよ。だけどな、サキュバスの魅了はマジでやばいんだ……あんた、顔は綺麗だけど男なんだろ?男ならサキュバスの魅了の能力に引っかかりやすいからな……もしもうちの仲間みたいにあんたまで操られたらやばいだろ?」
「ぷぷぷっ……女の子みたいに綺麗な顔してますからね。もしかしたらサキュバスもレナさんを女の子と間違えて魅了しないかもしれませんよ」
「はっ倒すぞ」
冒険者の男は言いにくそうに伝えると、ホネミンはレナの顔の事を茶化す。レナは母親のアイラ似のために顔立ちは整っており、過去に女装した時は誰一人として正体を気付かれる事はなかったほどである。
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