不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

これからの事

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――シズネの想いを受け入れたレナはすぐにコトミンとティナに報告を行うと、二人は驚愕の表情を浮かべた。


「え~!?今更!?」
「……もうキスぐらいはしてたと思ってた」
「あ、貴女達ね……」


仮にも自分達と結婚しているレナがシズネも受け入れたいと言い出したにも関わらず、ティナとコトミンは全く怒っていなかった。むしろ既にシズネはレナと深い関係になっていると思っていたが、報告を聞いて呆れてしまう。レナとしては後ろめたさはあったのだが、怒っていない二人に安堵する。


「コトミン、ティナ……怒ってないの?」
「う~ん……ちょっともやもやするけど、仕方ないかな」
「嫉妬はしてる。でも、シズネも好きだから許す。でも正妻の座は譲らない」
「……分かっているわよ」


シズネは正妻の座に就くつもりはなく、そもそも彼女の場合は色々と複雑な家庭だった。シズネは元は大将軍ギランの娘だが、現在は家を追放されている。一方でティナはヨツバ王国の王女であり、コトミンも人魚族の間では重要な立場の人間である。

一般人である自分がレナの正妻に就くなどおこがましいとシズネは考えていたが、そんな彼女の考えを見通したようにコトミンはある提案を行う。


「気が変わった、これからは一日交代でレナの正妻になる」
「えっ……」
「あっ、それならいいよ!!正妻になった日がレナたんに一番甘えてもいい日にしよう!!」
「ええっ!?」


こうしてレナの正妻問題は解決し、晴れてシズネは三人目の嫁として迎え入れられた――





――その後、他の仲間達にシズネがレナと結婚する事はすぐに報告された。だが、大半の仲間達の反応はむしろまだ結婚していなかった事に驚く。ナオとマリアは結婚に関しては一時反対したが、アイラの説得もあって最終的には納得してくれた。

シズネの立場が複雑なのもあって結婚式は壮大に行われる事はなかったが、それでも身内同士が集まってにぎやかに過ごせた。ちなみにダイン達も結婚式に参加し、彼等はわざわざマリアが転移魔法で迎えに来てくれた。


「はあっ……あと少しで監獄都市に辿り着いたのに」
「ごめんね、急に呼び出して……」
「別に怒ってはいないよ。だけどさ、僕達があんなに苦労して監獄都市に向かっていたのに……転移魔法で迎えに来られると何だか」
「あの魔法、本当に便利すぎますね。監獄都市に戻る時も使ってもらいましょうよ」
「二人とも気持ちは分かるが今日は結婚式だぞ。今はレナ達を祝おう」


ダインは転移魔法で迎えに来られた事で複雑な表情を浮かべ、彼としては目的地に辿り着く寸前でマリアに連れ戻された。もうここまで来たら今度は監獄都市に向かう際はマリアの転移魔法で送ってもらう方が楽である。また辛い旅をして監獄都市に向かうのは懲り懲りだった。


『ふははははっ!!美味い、美味いぞ!!』
「うわっ!?あそこにいるのはゴウライか!?誰が呼んだんだよ!?」
「それがシズネが呼んだらしいよ」
「嘘!?」


結婚式のパーティー会場にはゴウライも参加しており、シズネはこれまで彼女の事を憎んでいた。しかし、彼女なりにゴウライにけじめをつけた事で恨みは晴らしたらしく、シズネはゴウライを親の仇としてではなく、自分の好敵手として結婚式に招いた。


「おい、ゴウライ!!こんな時まで鎧を着て来るんじゃねえよ!!」
「おお、そうだったな。いつもの調子で来てしまった」
「ば、馬鹿野郎!?ここで脱ぐんじゃねえ、というか何で全裸なんだ!?」
「全裸だって!?」
「ダインさん反応しないで!!」


ゴウライは何故か鎧の下は何も着込んでおらず、彼女が鎧を脱ごうとした事で余計に騒ぎが起きようとしていた――





――しばらくした後、レナはシズネと共にテラスに出向いた。シズネは月を見上げており、やはり吸血鬼だから月が気になるのかとレナは不思議に思う。


「月を見てるの?それとも吸血鬼だから月に反応してる?」
「いえ、私が見ているのは星よ」
「星?」
「……子供の頃から星空が好きだったの」


シズネは自分が見ていたのは月ではなく、その周りにある小さな星々だった。彼女は大きな月と比べて小さな星々の輝きが好きらしく、その理由を語り始めた。


「私にとってはあの月は父や母のような存在だと思っていた。父は誰よりも強くてたくましく、そして母親は誰よりも優しい人だったわ……今の私でも敵わないぐらい、立派な人たちよ」
「そうかな……シズネだって強いし優しいよ」
「ありがとう……でも、私はまだ月にはなれていない。今の私なんて月の周りに浮いている小さな星の一つに過ぎない」
「……それでも綺麗な輝きを放っているよ」


月と比べれば他の星は確かに小さいかもしれないが、美しい輝きを放つ点に関しては月も星も変わりはない。レナはシズネを抱き寄せて夜空を眺めた。
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