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蛇足編
師弟対決
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「ア、アイラ様が負けた!?」
「レナ、まさかここまで強くなっていたなんて……」
「ふふっ……完敗ね」
アイラが一瞬にして負けた事にナオとマリアは衝撃を受け、彼女達はアイラの強さを知っているだけに驚きを隠せない。レナも強い事は十分理解しているが、それでも完膚なきまでにアイラが敗れた事に動揺を隠せない。
レナは膝を着いたアイラを見て何も言わずに退魔刀を背中に差すと、黙って頭を下げた。それに対してアイラは何も言い返さず、伝えたい事は剣を通して全て伝えきった。ほんの一瞬だったが、彼と剣を交わした事でアイラはレナの事を理解できた気がする。
(もう私は必要ないのね……立派に育ったわ)
自分が居なくてもレナは強く生きていける事を確信したアイラは何も言わず、彼を見送る事にした。マリアもナオも道を開けると、レナ達は通り過ぎていく。
「レナ、寂しくなったらいつでも戻ってきなさい」
「……達者でな」
「うん、ありがとう」
マリアとナオの言葉にレナは笑みを浮かべ、コトミン達を連れて立ち去った。アイラは地面に座り込んで空を見上げると、自分と共にレナを育て上げた女性の事を思い出す。彼女はアイラの知っている人物とは偽物だったが、それでもレナに向けた愛情は本物だった。
「アリア、貴方のお陰でレナは立派に育ったわ」
レナと共に屋敷で共に居た時間はもしかしたらアイラよりもアリアの方が長いかもしれず、もしも彼女が生きていればアイラよりも喜んだだろうと思う――
――屋敷を後にするとレナは黒虎のギルドに向かう。旅に出る前にレナはしばらくの間は戻れない事を伝えようと思ったのだが、黒虎のギルドの前では何故か武装した状態のバルが待ち構えていた。
「よう、遅かったね」
「バル?その格好……コスプレ?」
「何でそうなるんだい!!あんたと決着を付けるために来たんだよ!!」
「決着?」
レナはバルの言葉に不思議に思い、別にバルと彼は因縁があるわけではない。しかし、バルにとってはレナは撃剣の戦技を教えた弟子であり、何時の日か強くなった彼と戦いたいという気持ちがあった。今までは色々と忙しくて相手にはできなかったが、今日を逃せば何時また会えるか分からない。
「忘れたのかい?ここへ初めて来た日、あんたは私に負けた事を……悔しいと思った事はないのかい?」
「……そういえばそんな事もあった」
「ええっ!?レナたんが負けたの!?」
「あの頃のこいつはひよっこの剣士だったからね」
バルにレナが負けていた事を知ってティナは驚くが、当時のレナは魔物とだけ戦い続けて対人戦の経験が全くなかった。だが、あれから数年の時を経て強くなったレナと戦うため、バルは準備を整えていた。
昨日の一件からバルはレナが立ち去る事を何となく予感し、その事をアイラにも報告した。だから今日はアイラ達も駆けつけ、バルも万全の準備を整えてギルドの前で彼を待っていた。ここへ来たという事はアイラに勝って辿り着いた事の証明であり、バルは背筋が震える。
(現役時代、あたしは一度もアイラさんには勝てなかった。そのアイラさんを倒したという事はこいつは間違いなく最強の剣士になった……はっ、上等だ!!こいつを倒せばあたしはアイラさんを越えた事になる!!)
ミスリルの大剣を構えるバルに対してレナは背中の退魔刀に手を伸ばし、改めて冒険者ギルドへ訪れた時以来のバルとの勝負を行う。実際の所は彼女とは何度か戦ってはいるが、初めての敗北の記憶は今でも忘れられず、レナは過去を払拭するためにも彼女と戦う事を決意する。
(最初に戦った時はバルは手加減した。でも、今の俺はあの時とは違う……本気で行くぞ!!)
バルに対してレナは退魔刀を構えると、先ほどのアイラの時とは違って凄まじい気迫を放つ。威圧感を発するレナを見てバルは若かりし頃のアイラの姿と重なり、彼女は身体が震えた。
「いいね、その気迫……母親にそっくりだよ!!」
「……行くぞ!!」
「かかってきな!!」
レナとバルは同時に踏み込むとお互いに全力を込めて大剣を叩き込む。激しい金属音が鳴り響き、強烈な衝撃波が黒虎のギルドの前で発生した――
――数分後、バルは自分が地面に倒れて意識を失っていた事に気が付く。彼女は身体を起き上げると、そこには既にレナ達の姿はなく、代わりに自分の事を心配そうに見つめる黒虎の冒険者達の姿があった。
「あ、起きたぞ!!」
「大丈夫ですかギルドマスター!?」
「あんたら……そうか、負けたのかあたしは」
自分が倒れていた事を知ったバルは敗北を理解し、彼女はため息を吐き出す。結果は分かっていたとはいえ、まさかここまで完璧に負けるとは夢にも思わなかった。最初の頃はまともに剣も振る事ができなかった少年が、まさかこんなにも強くなっていた事に嬉しくもあり、寂しくも感じる。
もう自分などではレナの相手にもならない事にバルは失笑し、その代わりに彼のお陰で決心がついた。もう自分は剣から離れる事を決め、黒虎の冒険者達に告げる。
「引退だ……もうあたしは剣士を辞めるよ」
『えぇえええっ!?』
バルの発言に黒虎の冒険者達は度肝を抜くが、この日から本当にバルは剣士である事を辞めてギルドマスターの稼業に専念する事にした。
「レナ、まさかここまで強くなっていたなんて……」
「ふふっ……完敗ね」
アイラが一瞬にして負けた事にナオとマリアは衝撃を受け、彼女達はアイラの強さを知っているだけに驚きを隠せない。レナも強い事は十分理解しているが、それでも完膚なきまでにアイラが敗れた事に動揺を隠せない。
レナは膝を着いたアイラを見て何も言わずに退魔刀を背中に差すと、黙って頭を下げた。それに対してアイラは何も言い返さず、伝えたい事は剣を通して全て伝えきった。ほんの一瞬だったが、彼と剣を交わした事でアイラはレナの事を理解できた気がする。
(もう私は必要ないのね……立派に育ったわ)
自分が居なくてもレナは強く生きていける事を確信したアイラは何も言わず、彼を見送る事にした。マリアもナオも道を開けると、レナ達は通り過ぎていく。
「レナ、寂しくなったらいつでも戻ってきなさい」
「……達者でな」
「うん、ありがとう」
マリアとナオの言葉にレナは笑みを浮かべ、コトミン達を連れて立ち去った。アイラは地面に座り込んで空を見上げると、自分と共にレナを育て上げた女性の事を思い出す。彼女はアイラの知っている人物とは偽物だったが、それでもレナに向けた愛情は本物だった。
「アリア、貴方のお陰でレナは立派に育ったわ」
レナと共に屋敷で共に居た時間はもしかしたらアイラよりもアリアの方が長いかもしれず、もしも彼女が生きていればアイラよりも喜んだだろうと思う――
――屋敷を後にするとレナは黒虎のギルドに向かう。旅に出る前にレナはしばらくの間は戻れない事を伝えようと思ったのだが、黒虎のギルドの前では何故か武装した状態のバルが待ち構えていた。
「よう、遅かったね」
「バル?その格好……コスプレ?」
「何でそうなるんだい!!あんたと決着を付けるために来たんだよ!!」
「決着?」
レナはバルの言葉に不思議に思い、別にバルと彼は因縁があるわけではない。しかし、バルにとってはレナは撃剣の戦技を教えた弟子であり、何時の日か強くなった彼と戦いたいという気持ちがあった。今までは色々と忙しくて相手にはできなかったが、今日を逃せば何時また会えるか分からない。
「忘れたのかい?ここへ初めて来た日、あんたは私に負けた事を……悔しいと思った事はないのかい?」
「……そういえばそんな事もあった」
「ええっ!?レナたんが負けたの!?」
「あの頃のこいつはひよっこの剣士だったからね」
バルにレナが負けていた事を知ってティナは驚くが、当時のレナは魔物とだけ戦い続けて対人戦の経験が全くなかった。だが、あれから数年の時を経て強くなったレナと戦うため、バルは準備を整えていた。
昨日の一件からバルはレナが立ち去る事を何となく予感し、その事をアイラにも報告した。だから今日はアイラ達も駆けつけ、バルも万全の準備を整えてギルドの前で彼を待っていた。ここへ来たという事はアイラに勝って辿り着いた事の証明であり、バルは背筋が震える。
(現役時代、あたしは一度もアイラさんには勝てなかった。そのアイラさんを倒したという事はこいつは間違いなく最強の剣士になった……はっ、上等だ!!こいつを倒せばあたしはアイラさんを越えた事になる!!)
ミスリルの大剣を構えるバルに対してレナは背中の退魔刀に手を伸ばし、改めて冒険者ギルドへ訪れた時以来のバルとの勝負を行う。実際の所は彼女とは何度か戦ってはいるが、初めての敗北の記憶は今でも忘れられず、レナは過去を払拭するためにも彼女と戦う事を決意する。
(最初に戦った時はバルは手加減した。でも、今の俺はあの時とは違う……本気で行くぞ!!)
バルに対してレナは退魔刀を構えると、先ほどのアイラの時とは違って凄まじい気迫を放つ。威圧感を発するレナを見てバルは若かりし頃のアイラの姿と重なり、彼女は身体が震えた。
「いいね、その気迫……母親にそっくりだよ!!」
「……行くぞ!!」
「かかってきな!!」
レナとバルは同時に踏み込むとお互いに全力を込めて大剣を叩き込む。激しい金属音が鳴り響き、強烈な衝撃波が黒虎のギルドの前で発生した――
――数分後、バルは自分が地面に倒れて意識を失っていた事に気が付く。彼女は身体を起き上げると、そこには既にレナ達の姿はなく、代わりに自分の事を心配そうに見つめる黒虎の冒険者達の姿があった。
「あ、起きたぞ!!」
「大丈夫ですかギルドマスター!?」
「あんたら……そうか、負けたのかあたしは」
自分が倒れていた事を知ったバルは敗北を理解し、彼女はため息を吐き出す。結果は分かっていたとはいえ、まさかここまで完璧に負けるとは夢にも思わなかった。最初の頃はまともに剣も振る事ができなかった少年が、まさかこんなにも強くなっていた事に嬉しくもあり、寂しくも感じる。
もう自分などではレナの相手にもならない事にバルは失笑し、その代わりに彼のお陰で決心がついた。もう自分は剣から離れる事を決め、黒虎の冒険者達に告げる。
「引退だ……もうあたしは剣士を辞めるよ」
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