不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
1,929 / 2,091
蛇足編

超巨大アイスゴーレム

しおりを挟む
「め、目覚めなさい……アイスゴーレム!!」
「何を!?」


気絶する寸前に魔術師は大声をあげると、湖の中心から凄まじい水飛沫が上がった。何が起きたのかと砂漠都市の住民は湖に視線を向けると、そこには湖の中から超巨大なアイスゴーレムが出現しようとしていた。



――ウオオオオオッ!!



ゴーレムキングの倍近くの大きさのアイスゴーレムが湖に出現し、それを見たレナ達は呆気に取られた。恐らくは湖に沈められた全ての水属性の魔石の魔力を吸い上げたと思われる超巨大なアイスゴーレムが目を覚ます。


「な、な、何あれ!?」
「で、でけぇっ……いくらあたしでもあれは食べきれないぞ!?」
「本当に食べるつもりですか!?」
「こいつは……まずそうだな」


湖から出現したアイスゴーレムを見てレナ達は冷や汗を流し、流石に相手が巨大過ぎた。少し前に戦ったサンドフィッシュよりも大きく、しかもレナ達が入る方向へ近づいてきた。


『オオオオオッ!!』
「ひいいっ!?こ、こっちに来るぞ!!」
「逃げろぉっ!!」
「な、なんなんだよあの化物は!?」


街の人々は慌てて逃げ出し、迫りくるアイスゴーレムから逃れようとするがレナ達は逃げるわけにはいかない。まずはアイスゴーレムを生み出した魔術師を起こして止めさせようとした。


「おいこら起きろ!!あれを操ってんのはお前だろ!?」
「う、ううっ……」
「いけません、完全に伸びてます」
「それならあたしが起こしてやる!!おらぁっ!!」
「あばばばっ!?」
「ちょっと待って!?死んじゃうよその人!?」


中々目を覚まさない魔術師に焦れたハルナが電流を流すが逆効果で増々意識が遠のく。これでは魔術師に止めさせるのは期待できず、仕方なくレナはアイスゴーレムと戦う事を決意する。

空間魔法を発動させてホネミン特性の魔力回復薬を飲み込み、ある程度は魔力を回復させてから迫りくるアイスゴーレムに対抗するために両手を構えて合成魔術を放つ。


「火炎刃!!」
『ウオッ!?』


まずは敵の注意を引くためにアイスゴーレムの顔面に火炎刃を撃ちこむと、アイスゴーレムは顔面に手を伸ばして炎の刃を防いだ。アイスゴーレムを構成する氷は水属性の魔力であり、普通の炎では溶けないが魔法で生み出した炎は通じるのでアイスゴーレの右手が少しだけ溶けた。


『オオオオッ……!?』
「よし、効いてるぞ!!」
「でも火力不足だ……距離が遠すぎるし、そもそも俺の魔法じゃ威力不足だ」


攻撃は通じているが生憎とレナは遠距離からの攻撃魔法は得意とは言えず、基本的には魔法剣で戦うのが彼の戦闘スタイルだった。だが、相手が巨大すぎて近付くのも危険であり、残された手段は聖剣による攻撃しかない。


「仕方ない……ハルナ、聖剣は出せる?」
「え?」
「聖痕の所有者なら聖剣を出せるだろ。それで攻撃するんだよ」
「なるほど!!確かに聖剣の一撃ならば……」


雷属性の聖痕の所有者であるハルナは聖剣カラドボルグに選ばれた人間であり、聖剣の力ならばアイスゴーレムを打ち倒せる可能性は高い。だが、彼女は聖剣を使用する事に拒否した。


「やだよ。あんな剣なんてなくてもあたし一人であいつを倒してやる!!」
「こんな時に何を……あれは素手で勝てる相手ではありませんよ」
「何だよ情けない事を言いやがって……それならあたし一人でも行くぞ!!」
「駄目だよ!!」
「わっ!?」


走り出そうとしたハルナをティナが後ろから抱き留め、彼女はハルナの身体を持ち上げた。ハルナは見た目は人間だが実際はミノタウロスなので体重は重く、普通の人間が持ち上げられる重量ではない。それをティナは軽々と持ち上げて抑えつける。

ティナは生まれつきに強大な魔力を所有しており、その影響で凄まじい怪力を誇る。ハルナはティナから離れようとするが彼女の力でも振りほどけず、リンダもハルナを取り押さえた。


「ハルナ!!何でもかんでも自分一人で解決しようとするのはやめなさい!!私達は仲間なんですよ!!」
「そうだよ~」
「は、離せよ!!女にべたべた触られても嬉しくねえよ!!」
「たくっ、こんな時に喧嘩してる場合じゃないのに……」
『ウオオオオッ!!』


ハルナが暴れる間にもアイスゴーレムは湖を移動して遂に陸地に上がろうとしていた。アイスゴーレムが湖から出てきた瞬間、地面に足が付いた瞬間に凍り付き始める。それを見たレナは不用意に近づくと凍らされる事に気付いた。


「下手に近付くと氷漬けにされるなこりゃ……ハルナ、あれを見てもまだ近付くつもりか?」
「うっ……」
「ミノタウロスは寒いのが苦手だと聞いた事があります。うちのミノも冬の時期は大人しいですからね」
「あ、そういえばそうだったね」


ミノタウロスは寒い環境を苦手としており、ハルナも例外ではなく寒さには弱かった。尤も近付いただけで身体が凍らされるのであれば寒さに弱いなど関係なく、迂闊に近づく事はできない。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。