不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

巨人国の女剣士

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「すご~い!!うちの国にもこんなに大きい農園はないよ~!!」
「ここで作られている農作物は巨人国だけじゃなくて他国にも流通しているそうよ」
「へえ……ん?あれは何してるの?」


レナは畑作業中の巨人族が粉末状の物を地面にばらまいていることに気が付き、それを見たシズネは説明してくれた。


「あれは土属性の魔石の粉末よ。土属性の魔石を粉々に砕いて地面に混ぜれば大地の養分が回復して植物が育ちやすくなるのよ」
「へえ、肥料みたいな物か」
「肥料よりも効果はあります。我が国でも同じように農作業を行う時は大地に栄養を与えています」
「巨人国では良質な土属性の魔石が採れやすいのよ。だから魔石を販売してもいるわ」


巨人国の財政は農作物以外に土属性の魔石で成り立っており、巨人国から採掘される土属性の魔石は他国も輸入する。土属性の魔石は一般人の間でも利用される魔石であり、細かく砕いて地面に埋めれば良質な植物が育ちやすい。

巨人族の国と聞いていたのでレナは勝手に武闘派な国だと思っていたが、実際のところは農産国に近いらしい。尤も武力に関しても他国が侮れぬほどの軍事力は健在であり、巨人族で構成された軍隊は強いことは間違いない。もしも魔法がなければ彼等が最強の種族であることは確かだった。


「さあ、そろそろ行くわよ。こんなところで立ち止まっていたら怪しまれるわ」
「王子様、お待ちください!!」
「ん?誰?」


出発しようとした時に声を掛けられたレナは振り返ると、そこには城壁の守備を任されている兵士達の姿があった。彼等は慌てた様子で馬車を追いかけ、まだ自分に用があるのかとレナは不思議に思うと隊長らしき人物が前に出てきた。


「王子様は巨人国の王都へ向かわれるつもりですか?」
「行先はまだ決めてないけど、一応はそのつもりかな?」
「それでしたら巨人国の方々に連絡を送るべきかと……いきなり王子様が来られたら巨人族の王族の方々も驚かれるでしょう」
「確かにその通りですね……ティナ様のことも伝える必要があるかもしれません」
「え~」


レナはバルトロス王国の王子(正確には王弟)でティナはヨツバ王国の王女であるため、巨人国の王族だけでも二人の来訪を知らせなければならない。自国に他国の王族が訪れていると知られれば下手をすれば国際問題にもなるかもしれず、兵士は自分達が先に使者として王都へ向かうことを伝えた。


「我々が王都まで出向いて連絡をしてきますのでどうか王子様はこちらでお待ちください」
「でもそれだと時間は掛かるんじゃない?」
「そ、そうですね……最低でも一週間ほどかかると思います」
「え~!?一週間も!?」
「ティナ様、これは仕方がないんです。連絡を先に入れずにここへ来た私達にも責任がありますので……」


ティナがバルトロス王国に訪れる時も事前に一か月前に連絡を王国側に寄越しており、王族が他国に訪れるためには相手側の都合も聞かなければならない。勝手に他国に入ればどんな誤解を招くかもしれず、レナは困りながらも他の者に話を聞く。


「どうしよう?ここで一週間待つ?」
「そんなに悠長にしていられないわよ。この国には旧帝国の残党組織があるのよ。無駄に時間を掛けたら奴等が何を仕出かすか分からないわ」
「ですがレナ様とティナ様が入るのは問題があるのでは……」
「大丈夫よ。レナはS級冒険者であることを忘れたのかしら?S級冒険者は緊急時を除いて他の国に渡ることは許可されているのよ。それは巨人国も例外ではないわ」
「そうなの?」


王族の立場としてはまずいがS級冒険者としてならばレナはどの国にも立ち入りは許可されていた。王族としではなくS級冒険者として出向くのであれば問題ないことにしてレナは先を急ぐ。


「えっと、悪いけど王族の人にはそっちで連絡してくれる?俺は王子としてではなくてS級冒険者としてこの国に巣食う旧帝国の残党の討伐のために訪れたって」
「旧帝国!?まさか奴等は滅んだはずでは……」
「事実よ。詳しい話は省くけども旧帝国の残党が神器を集めているという確かな情報を掴んだわ」
「我々は和国にて旧帝国の残党を捕縛し、この国を拠点にしている組織がある情報を吐かせました。本来であれば巨人国の方々に連絡をするべき大事ですが、時間が掛かり過ぎれば奴等は逃げ出してしまうかもしれません。ですので我々だけで対処させてもらいます」
「待ってください!!そういうことならば我々も……」
「ちょっと待ちな!!」


兵士との会話の際中に女性の大声が鳴り響き、あまりの声量にリンダとティナは耳元を塞ぐ。エルフである二人は聴覚が優れているので大きな音に敏感のため、レナは二人を心配しながらも誰が声を出したのか確かめる。すると巨人族の兵士の一団が近付いていることに気が付き、先頭を歩く女性が大声の主だと判明した。


「あんたらがバルトロス王国からきた王族かい?あたしの名前はキロン、この城壁の警備隊長を任せられている」
「警備隊長?」
「か、彼女はこの地区の警備隊長を任されています。我等が守護する城壁は広大なので区域ごとに分けて警備隊長が配置されているのです」


バルトロス王国と巨人国の国境である城壁には両国の軍隊が配備され、区域ごとに別々の警備隊長が配置されている。そしてレナ達が通過しようとした場所は巨人国側の警備隊長が配置されていた。
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