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蛇足編
エリナの修業
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――王国四騎士にしてティナの護衛役を任されているエリナは現在はレナの護衛騎士団に加入するためにヨツバ王国に戻って報告を行う。仮にも彼女はヨツバ王国を代表する騎士の一人であり、無断で他の騎士団に入ることは許されない。
ヨツバ王国に戻るまでに時間はかかってしまったがエリナは正式に国王から許可を得た。国王としてはレナの騎士団にエリナを加入することはあまり快く思わないが、仮にもレナはティナの夫なので無碍な扱いはできない。もしもレナの機嫌を損ねればティナに何を吹き込まれるか分からず、悔しいながらに国王は許可を出す。
「エリナ!!お前の役目はティナを守ることだと忘れるな!!あの男が危険に晒されようとティナの身を守れ!!」
「は、はい……分かりました」
「お父様、レナ様もお父様の義理の息子になったのですからそんなに嫌わなくても……」
「ぐぬぬっ……」
ティナの姉であるノルが国王を宥めるとエリナは安心した。ノルは国王や兄と違ってレナの実力を高く評価しており、この国を救った英雄として好意を抱いていた。
「エリナ、貴女も久しぶりに帰ってきたのですからゆっくりしなさい」
「ありがとうございます!!でも実は師匠に呼び出されていてこれから修行を付けてもらうんです!!」
「ハシラ様が?」
エリナは六聖将のハシラの一番弟子であり、直々は六聖将の称号を与えられる予定だった。バルトロス王国に戻る前にエリナはハシラに修行を付けてもらう約束をしていた。
「ギンタロウ叔父さんとツバサさんにも挨拶をしたいので一か月は残ると思います」
「そうですか、それならバルトロス王国に戻る時は私と共に参りましょう」
「え?ノル王女様がバルトロス王国に?」
「バルトロス王国の方々には色々とお世話になりましたので私の方からお礼の品を送り届けたいのです。本当はお父様も一緒に行く予定でしたが、どうも最近は身体の調子が悪いようなので……」
「ノルよ!!余計な心遣いはするな!!儂はこの通りに元気じゃ……はぐぅっ!?」
「国王様!?」
国王は立ち上がってポージングを取ろうとしたが、腰を痛めたのかその場に伏せてしまう。それを見てノルはため息を吐き出し、彼女は呆れた様子でエリナに語る。
「お父様はレナ様に勝負を挑むと言い張って最近は鍛錬を始めたんです。しかし、調子に乗って鍛錬に張り切り過ぎたせいで身体を壊してしまいました」
「ええっ!?ど、どうしてそんなことを!?」
「あの男とティナを賭けて勝負するためじゃ!!なんとしても儂の手でティナを取り返さねば……はぐぅっ!?」
「お父様、いい加減にしてください!!もうぷろていーんはないのですよ!!」
「ぷ、ぷろていーん?」
「まだお父様が若かったころに飲んでいた筋肉増強剤ですわ。大昔に我が国で召喚した勇者様が作った薬なのですが、残念ながら勇者様がお亡くなりになってからはぷろていーんの製造法は失われました」
「ぐぬぬっ……ナオ殿がいればこんなことには」
「ナオ?」
バルトロス王国の女王陛下であるナオと同じ名前の勇者がヨツバ王国にも存在した時期があり、その勇者は男性で帝国が召喚してきた勇者とは違って異なる能力を持っていた。彼の作った薬のお陰で王族の中では一番の肥満体型だったデブリも短い間に身体を鍛えて強靭な肉体を得られた。
全盛期のデブリは昆虫種を素手で殴り殺し、甲殻獣の突進を受け止めるほどの腕力を誇っていた。しかし、年老いた彼は残念ながら若い頃と違って力が衰えてしまい、今では腰を痛めて動くこともままならない。
「お父様も無理しては駄目ですわ。この機会にお兄様に王位を譲って隠居されたどうでしょうか?」
「な、何を言い出す!?儂はまだ元気じゃ!!それに王位継承権はティナだけだぞ!?」
「そうは言ってもティナはもうバルトロス王国のレナ王子に嫁いでしまいましたし、血筋と魔力を考えればお兄様が王位に継ぐのが順当ですわ。それにティナも王位を継ぐなんて嫌がるでしょうし……」
「ぬぬぬっ……」
ヨツバ王国では代々王位は魔力が最も高い者が引き継ぐことが決まっており、ティナが生まれる前はデブリの一番最初の娘のカレハが継承するはずだった。そのカレハもクーデターを起こして王位継承権を剥奪され、ティナはレナに嫁入りしたので現在はヨツバ王国にいない。それを考えればノルのいう通りに第一王子であるアルンが王位を継承するのが理にかなっている。
「お父様、カレハお姉様の一件で国民も不安を抱いておりますわ。早いうちに次の王位継承者を決めなければいけません」
「……確かにお前の言う通りかもしれん。だが、儂としてはアルンよりもお主の方が相応しいと思うが」
「御冗談はお辞め下さい。私にそんな器はありませんわ」
デブリはアルンよりも妹のノルのことを高く評価しており、実際に彼女に王位継承を勧める家臣も多い。しかし、ノル本人は王位に全く興味を抱いていなかった。
ヨツバ王国に戻るまでに時間はかかってしまったがエリナは正式に国王から許可を得た。国王としてはレナの騎士団にエリナを加入することはあまり快く思わないが、仮にもレナはティナの夫なので無碍な扱いはできない。もしもレナの機嫌を損ねればティナに何を吹き込まれるか分からず、悔しいながらに国王は許可を出す。
「エリナ!!お前の役目はティナを守ることだと忘れるな!!あの男が危険に晒されようとティナの身を守れ!!」
「は、はい……分かりました」
「お父様、レナ様もお父様の義理の息子になったのですからそんなに嫌わなくても……」
「ぐぬぬっ……」
ティナの姉であるノルが国王を宥めるとエリナは安心した。ノルは国王や兄と違ってレナの実力を高く評価しており、この国を救った英雄として好意を抱いていた。
「エリナ、貴女も久しぶりに帰ってきたのですからゆっくりしなさい」
「ありがとうございます!!でも実は師匠に呼び出されていてこれから修行を付けてもらうんです!!」
「ハシラ様が?」
エリナは六聖将のハシラの一番弟子であり、直々は六聖将の称号を与えられる予定だった。バルトロス王国に戻る前にエリナはハシラに修行を付けてもらう約束をしていた。
「ギンタロウ叔父さんとツバサさんにも挨拶をしたいので一か月は残ると思います」
「そうですか、それならバルトロス王国に戻る時は私と共に参りましょう」
「え?ノル王女様がバルトロス王国に?」
「バルトロス王国の方々には色々とお世話になりましたので私の方からお礼の品を送り届けたいのです。本当はお父様も一緒に行く予定でしたが、どうも最近は身体の調子が悪いようなので……」
「ノルよ!!余計な心遣いはするな!!儂はこの通りに元気じゃ……はぐぅっ!?」
「国王様!?」
国王は立ち上がってポージングを取ろうとしたが、腰を痛めたのかその場に伏せてしまう。それを見てノルはため息を吐き出し、彼女は呆れた様子でエリナに語る。
「お父様はレナ様に勝負を挑むと言い張って最近は鍛錬を始めたんです。しかし、調子に乗って鍛錬に張り切り過ぎたせいで身体を壊してしまいました」
「ええっ!?ど、どうしてそんなことを!?」
「あの男とティナを賭けて勝負するためじゃ!!なんとしても儂の手でティナを取り返さねば……はぐぅっ!?」
「お父様、いい加減にしてください!!もうぷろていーんはないのですよ!!」
「ぷ、ぷろていーん?」
「まだお父様が若かったころに飲んでいた筋肉増強剤ですわ。大昔に我が国で召喚した勇者様が作った薬なのですが、残念ながら勇者様がお亡くなりになってからはぷろていーんの製造法は失われました」
「ぐぬぬっ……ナオ殿がいればこんなことには」
「ナオ?」
バルトロス王国の女王陛下であるナオと同じ名前の勇者がヨツバ王国にも存在した時期があり、その勇者は男性で帝国が召喚してきた勇者とは違って異なる能力を持っていた。彼の作った薬のお陰で王族の中では一番の肥満体型だったデブリも短い間に身体を鍛えて強靭な肉体を得られた。
全盛期のデブリは昆虫種を素手で殴り殺し、甲殻獣の突進を受け止めるほどの腕力を誇っていた。しかし、年老いた彼は残念ながら若い頃と違って力が衰えてしまい、今では腰を痛めて動くこともままならない。
「お父様も無理しては駄目ですわ。この機会にお兄様に王位を譲って隠居されたどうでしょうか?」
「な、何を言い出す!?儂はまだ元気じゃ!!それに王位継承権はティナだけだぞ!?」
「そうは言ってもティナはもうバルトロス王国のレナ王子に嫁いでしまいましたし、血筋と魔力を考えればお兄様が王位に継ぐのが順当ですわ。それにティナも王位を継ぐなんて嫌がるでしょうし……」
「ぬぬぬっ……」
ヨツバ王国では代々王位は魔力が最も高い者が引き継ぐことが決まっており、ティナが生まれる前はデブリの一番最初の娘のカレハが継承するはずだった。そのカレハもクーデターを起こして王位継承権を剥奪され、ティナはレナに嫁入りしたので現在はヨツバ王国にいない。それを考えればノルのいう通りに第一王子であるアルンが王位を継承するのが理にかなっている。
「お父様、カレハお姉様の一件で国民も不安を抱いておりますわ。早いうちに次の王位継承者を決めなければいけません」
「……確かにお前の言う通りかもしれん。だが、儂としてはアルンよりもお主の方が相応しいと思うが」
「御冗談はお辞め下さい。私にそんな器はありませんわ」
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