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蛇足編
母の想いは子知らず
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――世界最強の魔術師にして氷雨のギルドマスターとハヅキ家の当主を兼任するマリアは現在は仕事が忙しくて碌に眠る暇もなかった。ハヅキ家の当主としての仕事とギルドマスターとしての仕事を両立させるのは難しく、仕事量はどんどんと増えていく。
「マリア様、緑影からの報告が……マリア様!?」
「……はっ、どうやら眠っていた様ね」
山の様な書類の前でマリアは机に突っ伏し、報告に赴いたシノビを驚かせた。普段の彼女ならば仕事中に居眠りなど有り得ないのだが、流石にマリアも仕事で疲れている様子だった。
「マリア様、あまりご無理をされるのは……」
「大丈夫よ。この書類を片付ければひと段落するわ……ふうっ、それにしてもハヅキ家の当主がこんなに大変だなんて思いもしなかったわ。お母様も苦労されていたのね」
「マリア様……」
アイラと違ってマリアは母親のハヅキとは定期的に連絡を取っており、若かりし頃のアイラとマリアが外に出られたのもハヅキのお陰である。本来であればハヅキ家の跡取りの娘をヨツバ王国に出すなど有り得ず、マリアが裏で母親を説得して一時的にアイラと外に出ることを許可された。
ハヅキは父親の一件で二人の娘を非難してしまったことを後悔しており、娘達から恨まれても仕方がないことは理解していた。だからアイラが父親のように冒険者になるために他国へ渡ったことに関しては止めはしない。しかし、ハヅキ家の当主として跡取りを何も考え無しに外の世界に放り込んだわけではない。
(姉さんは気付いていなかったけど、旅に同行していた仲間がまさかハヅキ家の者だなんて思いもしなかったでしょうね)
アイラとマリアはずっと二人で組んで冒険者活動をしていたわけでもなく、時には他の人間と組んで仕事を行うことも多々あった。その中にはハヅキ家に与する者も含まれており、マリアは彼等を通じて母親と連絡を取り合っていた。
マリアは父親の一件でハヅキとは不仲ではあったが、自分達の立場を知っていたが故に外の世界に出ることなど有り得ないと思っていた。しかし、アイラと共にバルトロス王国に渡る前に彼女は母親と対話をしていた。
『今夜、アイラと共に抜け出そうとしているようですね。行先はバルトロス王国ですか?』
『やっぱり気付いていたのね……でも、私達は行かせてもらうわ。こんなところに居ても私達に未来はない』
『……それを黙って私が見送ると思ってるのですか?』
『嫌なら力ずくで止めればいいじゃない。でも、私達だっていつまでも子供じゃないわ』
自分達を止めるのならば戦う覚悟があることをマリアは示すと、そんな娘を見てハヅキはため息を吐き出す。そして彼女はマリアに家紋入りのペンダントを渡した。それを見てマリアは不思議に思うとハヅキから思わぬ言葉が出てきた。
『そのペンダントを見せれば王国へ渡ることができます』
『えっ!?』
『……ハヅキ家の当主として跡取りである貴女達をこの国に出すのは問題があります。しかし、父親に憧れるあの子の夢を叶えたいという母としての気持ちもあります』
『そんな……何を今更!?』
『私の言葉が信じられないのなら別に構いません。しかし、定期的に貴女の元に緑影を送ります。報告を怠らないことが貴女達が出て行くことの条件としましょう。国王様には二人は武者修行の旅に出したと報告しておきます』
『母様……』
『……もう行きなさい』
ハヅキは二人を引き留めるどころか国を出るために必要なペンダントを渡し、一時の間とはいえ二人を自由に与えた――
――ペンダントを見ながらマリアは亡き母親のことを思い出し、もしも父親が死ななければ自分達は外の世界に出ることもなかったのだと思う。ハヅキの躾けは厳しかったがそれはあくまでも二人を愛しているが故に厳しく接していた。ハヅキ家はヨツバ王国の中でも特別な家系であり、王族に次ぐ権限を与えられている。そんな跡取りである娘達を甘やかして育てるわけにはいかない。だから二人がハヅキ家の跡取りに相応しいように鍛えてきたが、心の底では娘のことを愛していた。
父親の一件で親子の中はこじれてしまったが、ハヅキは娘達に酷い言葉をかけたことを一生後悔していた。その負い目があったからこそ彼女は二人が出て行くことを許可し、父親と同じ冒険者としてアイラとマリアは自由に旅をすることができた。
(母様が生きていたら今頃はどうなったのかしら……)
マリアは自分と姉とレナがハヅキと共に戯れる姿を想像して寂しい笑みを浮かべ、亡くなった後にハヅキの存在の大きさに気が付く。マリアは今度帰ったらハヅキの墓に姉と甥と共に墓参りに行くことを決める――
※もしもハヅキが生存していた場合
ハヅキ「さあ、ハヅキ家の跡取りとしてしっかり鍛えますよ!!」( ゚Д゚)ノ鞭
レナ「ひぃ~」(´;ω;`)
マリア「そんなに厳しくしなくても……」(´ω`)
アイラ「レナちゃんをいじめないで!!」(゚Д゚)
ティナ「レナたん頑張って!!」壁|д゚)ファイトー
レナはハヅキ家として連れ出されて扱かれます(笑)。もしかしたらティナの婚約者になっていたかも……
「マリア様、緑影からの報告が……マリア様!?」
「……はっ、どうやら眠っていた様ね」
山の様な書類の前でマリアは机に突っ伏し、報告に赴いたシノビを驚かせた。普段の彼女ならば仕事中に居眠りなど有り得ないのだが、流石にマリアも仕事で疲れている様子だった。
「マリア様、あまりご無理をされるのは……」
「大丈夫よ。この書類を片付ければひと段落するわ……ふうっ、それにしてもハヅキ家の当主がこんなに大変だなんて思いもしなかったわ。お母様も苦労されていたのね」
「マリア様……」
アイラと違ってマリアは母親のハヅキとは定期的に連絡を取っており、若かりし頃のアイラとマリアが外に出られたのもハヅキのお陰である。本来であればハヅキ家の跡取りの娘をヨツバ王国に出すなど有り得ず、マリアが裏で母親を説得して一時的にアイラと外に出ることを許可された。
ハヅキは父親の一件で二人の娘を非難してしまったことを後悔しており、娘達から恨まれても仕方がないことは理解していた。だからアイラが父親のように冒険者になるために他国へ渡ったことに関しては止めはしない。しかし、ハヅキ家の当主として跡取りを何も考え無しに外の世界に放り込んだわけではない。
(姉さんは気付いていなかったけど、旅に同行していた仲間がまさかハヅキ家の者だなんて思いもしなかったでしょうね)
アイラとマリアはずっと二人で組んで冒険者活動をしていたわけでもなく、時には他の人間と組んで仕事を行うことも多々あった。その中にはハヅキ家に与する者も含まれており、マリアは彼等を通じて母親と連絡を取り合っていた。
マリアは父親の一件でハヅキとは不仲ではあったが、自分達の立場を知っていたが故に外の世界に出ることなど有り得ないと思っていた。しかし、アイラと共にバルトロス王国に渡る前に彼女は母親と対話をしていた。
『今夜、アイラと共に抜け出そうとしているようですね。行先はバルトロス王国ですか?』
『やっぱり気付いていたのね……でも、私達は行かせてもらうわ。こんなところに居ても私達に未来はない』
『……それを黙って私が見送ると思ってるのですか?』
『嫌なら力ずくで止めればいいじゃない。でも、私達だっていつまでも子供じゃないわ』
自分達を止めるのならば戦う覚悟があることをマリアは示すと、そんな娘を見てハヅキはため息を吐き出す。そして彼女はマリアに家紋入りのペンダントを渡した。それを見てマリアは不思議に思うとハヅキから思わぬ言葉が出てきた。
『そのペンダントを見せれば王国へ渡ることができます』
『えっ!?』
『……ハヅキ家の当主として跡取りである貴女達をこの国に出すのは問題があります。しかし、父親に憧れるあの子の夢を叶えたいという母としての気持ちもあります』
『そんな……何を今更!?』
『私の言葉が信じられないのなら別に構いません。しかし、定期的に貴女の元に緑影を送ります。報告を怠らないことが貴女達が出て行くことの条件としましょう。国王様には二人は武者修行の旅に出したと報告しておきます』
『母様……』
『……もう行きなさい』
ハヅキは二人を引き留めるどころか国を出るために必要なペンダントを渡し、一時の間とはいえ二人を自由に与えた――
――ペンダントを見ながらマリアは亡き母親のことを思い出し、もしも父親が死ななければ自分達は外の世界に出ることもなかったのだと思う。ハヅキの躾けは厳しかったがそれはあくまでも二人を愛しているが故に厳しく接していた。ハヅキ家はヨツバ王国の中でも特別な家系であり、王族に次ぐ権限を与えられている。そんな跡取りである娘達を甘やかして育てるわけにはいかない。だから二人がハヅキ家の跡取りに相応しいように鍛えてきたが、心の底では娘のことを愛していた。
父親の一件で親子の中はこじれてしまったが、ハヅキは娘達に酷い言葉をかけたことを一生後悔していた。その負い目があったからこそ彼女は二人が出て行くことを許可し、父親と同じ冒険者としてアイラとマリアは自由に旅をすることができた。
(母様が生きていたら今頃はどうなったのかしら……)
マリアは自分と姉とレナがハヅキと共に戯れる姿を想像して寂しい笑みを浮かべ、亡くなった後にハヅキの存在の大きさに気が付く。マリアは今度帰ったらハヅキの墓に姉と甥と共に墓参りに行くことを決める――
※もしもハヅキが生存していた場合
ハヅキ「さあ、ハヅキ家の跡取りとしてしっかり鍛えますよ!!」( ゚Д゚)ノ鞭
レナ「ひぃ~」(´;ω;`)
マリア「そんなに厳しくしなくても……」(´ω`)
アイラ「レナちゃんをいじめないで!!」(゚Д゚)
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