不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
2,039 / 2,091
蛇足編

因縁に決着を

しおりを挟む
「させるかっ!!」


ダインは影人形を変形させると、男の身体を包み込む繭へと変化させた。それによって男の肉体は破裂したが影人形の覆われていた事で外に飛び散ることはなく、影人形が解除すると男の肉塊と黒血が床に落ちる。それを見たミイネは口元を覆い、バルとゴンゾウさえも顔色を青くする。


「はあっ、はあっ……二度も同じ手に引っかかるかよ」
『……やるじゃないかい。どうやら成長したようだね』
「こいつ、まだ喋れるのかい!?」


肉塊と化した男の口の部分だけが辛うじて残っており、ミヤはダインの行動を褒めた。だが、ダインは杖を振りかざすと男の肉塊に突き刺して二度と喋れないようにした。


「もうお前は黙ってろ……くそっ!!」
「ダイン……」
「ダインさん……」
「……助かったよ。それにしてもシャドウ家の生き残りがあんた以外にまだ居たなんてね」


興奮するダインの肩に手を置きながらバルは肉塊を見下ろす。床に広がった黒血を見て彼女はどう対処するべきか悩むと、ダインは落ち着いたのか黒血の処理を行う。


「ミイネ、ランタン持ってただろ。貸してくれよ」
「ランタン?」
「黒血は闇属性の魔力が混じった血液だ。だから光を浴び続ければいずれ自然に消える……でも、絶対に触れたら駄目だぞ。黒血は生物の身体に触れた途端に染み広がって死に至るからな」
「まるで毒だね……それにしてもあんた、よく黒血なんて知ってたね」
「……当り前さ。こいつを扱えるのはシャドウ家の人間だけなんだから」


呪術師の中でも黒血を操ることができるのはシャドウ家の人間だけであり、闇魔導士のダインは扱えないが存在だけは聞かされていた。黒血の性質を理解しているだけにダインは死んだ男達に同情した。

彼等はミヤの部下だったが、任務に失敗したことで用済みと判断された。恐らくは男達の体内に死霊石が埋め込まれ、ミヤは死霊石を通してダインの存在を認知した。呪術師のなかでもミヤはオウネンに並ぶ実力者であり、しかもオウネンと違って吸血鬼と化したことでさらに力を高めていた。


「あの糞婆は放っておけない!!何としても捕まえないと……」
「だが、どうやって探す?」
「居場所に心当たりはないんですか?」
「……な、ないけど」


ミヤを見つけ出して因縁に決着を付けようと意気込むダインだったが、肝心のミヤの居場所は分からなかった。シャドウ家は崩壊し、現在のシャドウ家が管理していた屋敷や領地は王国に没収されている。そもそもミヤはシャドウ家から追放された身なのでシャドウ家に関わる場所に住んでいる可能性は低い。


『ギルドマスター!!さっきから何を騒いでるんですか!?』
「たくっ、面倒な奴が来たね……あたしが相手をしてくるからあんたらはここにいな」
「分かりました」
「ダイン、大丈夫か?」
「ああ、平気だよ……」


バルは扉の外から騒ぎを聞きつけた受付嬢が来たと知ってため息を吐きながら相手をする。その間にダインは椅子に座って考え込み、疲れた表情で天井を見上げる。


「まさかあの婆さんが生きてたなんてな……くそっ、ようやく解放されたと思ったのに」
「解放?」
「あいつが言ってただろ、どうやらミヤも僕の身体を狙ってみるみたいだ。いったい何なんだよ!!オウネンもブラクもミヤも僕のことを何だと思ってるんだ!!」
「ダイン、落ち着け!!」
「気持ちは分かりますよ……」


ダインは自分のことを狙うシャドウ家の人間にはうんざりしており、ようやく自由になれたというのにまた狙われる立場となったことで追い詰められた。だが、昔と違ってダインは確実に成長しており、彼は闇の聖痕に触れながら呟く。


「上等だよ。こうなったら僕の手で決着を付けてやる……糞婆めっ!!」


過去に自分を散々に痛めつけたミヤに今更家族としての愛情など微塵もなく、ダインは自分の手で確実にミヤを仕留めることを決意した――






――同時刻、巨人国の新帝国の隠れ家ではミヤは一人で椅子に座り込んでいた。彼女は顔色が悪く、激しく咳き込む。彼女は懐に手を伸ばすと人間の血液が入った瓶を取り出す。


「はあっ、はあっ……そろそろこの肉体も限界かね」


吸血鬼と化したミヤだが彼女は普通の吸血鬼と違って定期的に血を得ないと衰弱してしまう。普通の生活を送るだけならば血でなくとも食物だけで十分に栄養を得られる。しかし、ミヤの場合は吸血鬼の力で生きながらえているので定期的に人間の血液を摂取しなければならない。

魔物や動物の血液でも代用はできるが、人族の血液が一番効率良く吸血鬼の力を活性化させる。しかし、ミヤのように年老いた人間が吸血鬼と化した場合は通常以上に血液を摂取しなければならない。ミヤが年老いて尚も全盛期の力を震えるのは吸血鬼の能力で生命力を高めているからである。


(どれだけ普通の人間の血を吸おうと満足できない。そうなると私が若返るために必要なのは同じ家系の人間の血だね)


ミヤは吸血鬼の本能で自分が最も欲する人間の血液を悟っていた。彼女はダインの血液を一滴残さず吸い取った場合、肉体は完全に復活して若かりし頃の自分に戻ると確信していた――
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。