不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

文字の大きさ
2,042 / 2,091
蛇足編

シャドウ家の財宝

しおりを挟む
「ミヤ様、どうしてこんな……」
「あんた達が不甲斐ないせいで私が出張るしかないようだからね。さあ、あんたの魔道具を渡しな」
「は、はひっ!!」


残された男はミヤに魔道具を引き渡すと恐怖のあまりに平伏する。そんな男を見下ろして自分の部下に憑依したミヤは鼻を鳴らす。


「ちっ……やっぱり、血族じゃない人間への憑依は限界があるね。この程度の力しか引き出せないようなら捕まえるのは苦労しそうだ」
「ミヤ様、私はどうしたら……」
「あんたには新しい任務を与えてやるよ。言っておくけど、これに失敗したらあんたの魂は滅するからね」
「そ、そんな!?」


魂を滅するとは文字通りの意味をしており、死ぬだけならばまだしも魂までも滅せられたら生まれ変わることもできない。だからミヤの部下達は彼女に絶対服従であり、どんな命令でも逆らえなかった。


「あんたには今から王都に向かってもらう」
「お、王都?」
「そうさ、今ならシャドウ家の屋敷に忍び込むことも簡単だからね」


王都にはシャドウ家の屋敷が存在し、現在のシャドウ家はダインとミヤを除いて一人も生き残りはいない。だから国が屋敷の管理を行っているはずだが、シャドウ家の屋敷には当主と跡継ぎにしか知られていない隠された財産が存在する。


「今から私の言う言葉をしっかりと覚えておくんだよ。もしもへまをしたらあんたの魂を頂く……この意味が分かるね?」
「わ、分かりました!!どんな命令でも必ずやり遂げて見せます!!」
「その意気だよ。さあ、早く行きな。指示はこいつを使って出す」


ミヤは男に連絡用の髑髏の水晶を取り出し、これを利用して今まで遠方にいる相手と連絡を取り合っていた。男は震えながらも水晶を受け取ると王都へ向かう――






――同時刻、新帝国の組織の方ではたった一人だけ残された部下がミヤの元に戻ってきた。部下はミヤの前に跪くとレナ達の状況を説明した。


「ミヤ様、大変でございます!!奴等はもう間もなくここへ辿り着きます!!」
「…………」
「ミ、ミヤ様?」


報告を行っても返事がないことに気が付いた部下は疑問を抱くが、彼の言葉に反応してミヤは目を開く。彼女は顔色を悪くしながらも部下からの報告を聞いてため息を吐き出す。


「奴等がうちの隠れ家に向かっている?ここに辿り着くまでに配置した罠はどうしたんだい?」
「それが何故か全て突破されています。まるで我々の配置した罠を全て把握しているかのような動きで……」
「ふん、勘の鋭い奴がいるようだね。しかし、どうして隠れ家がバレたのか……」


新帝国の隠れ家はレナ達には知られていないはずだが、アイリスの情報でレナは新帝国の隠れ家の正確な位置を教えてもらい、仲間と共に向かっていた。途中で仕掛けられた罠もアイリスに教えてもらって回避しており、もう間もなく新帝国の隠れ家へ辿り着ける段階まで突入していた。

現在のミヤは万全の状態ではなく、ダインを捕縛しなければ彼女は全盛期の力を取り戻せない。部下を使って時間を稼ごうにも一人だけでは大した期待はできず、だからといって王都へ向かわせた部下を呼び寄せる時間もない。そこで彼女は隠れ家を捨てることにした。


「仕方ないね、あれを使うよ」
「転移の神器ですか!?しかし、あれは……」
「それしか方法はない。それともあんたが命懸けで奴等を始末してくれるのかい?」
「い、いやそれは……」
「ふん、さっさと付いて来な」


転移の神器を使用して国外へ逃亡する以外にミヤに選択肢はなく、彼女は自分が乗っている車椅子を部下に押させて移動する。ミヤが隠れ家にしている場所は元は神殿として祀られていた場所であり、ここには転移の魔法を発動できる神器が存在した。

神殿の最深部には転移魔法陣が刻まれた台座が存在し、元々は初代勇者が元の世界に戻るために開発した神器だった。この神器は同じ型の台座がいくつも存在し、それを利用して別の場所にある台座に転移する機能が存在する。移動のためには聖属性の魔石を嵌め込まなければならず、距離が遠いほどに相当な数を消費するので多用はできない。
しかも人数の違いで魔力の消費量が異なる。

「ミヤ様……残りの魔石の魔力を使用しても転移できるのは一人分だけです」
「ちっ、こんなことなら予備を多めに用意しておくべきだったね」


台座の前で部下は確認を行い、バルトロス王国の転移は一人しか行えないことが発覚した。ミヤはそれを聞いて忌々し気な表情を浮かべ、またもやことに溜息を吐く。


「仕方がないね……あんたはここに残りな。どうせ逃げられはしないなら奴等に降伏しな」
「降伏!?そ、そんな……」
「安心しな。噂によると例の王子は悪人でも滅多に人を殺さないお人好しらしい。王子に頼み込めば命を取られることはないだろうさ。あんたが時間を稼いでいる間に私がダインを殺して奴の血を奪えば力を取り戻す。その時はあんたを……」
「……ふざけるなよ、くそがっ!!」


ミヤの部下は彼女の話を聞いて激高し、彼は隠し持っていた十字架の形をした短剣を取り出す。それをミヤの胸元に目掛けて突き刺した。
しおりを挟む
感想 5,096

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。