不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

思いがけぬ奇襲

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「よし、それなら行くぞ!!後れを取るなよ!!ゴンゾウ、ミイネ、バル!!」
「おおっ!!」
「はいはい」
「……ん?あたしも行くのかい!?」
「当たり前だろ!!ほら、行くぞ!!」


さりげなく自分も巻き込まれたことにバルは動揺するが、ダインは彼女の背中を押して外へ連れ出す。バルは面倒そうな表情を浮かべるが、冒険者ギルドのギルドマスターとして冒険都市に凶悪犯罪者を放置するわけにもいかず、仕方なくミヤの捕縛に協力することにした。


「たくっ、しょうがないね……久々に骨がある相手だしね。協力してやるよ!!」
「ダイン、戦う前に呪術師の能力を教えてくれるか?」
「ああ、いいよ。でも僕も呪術師の能力は全部知っているわけじゃないんだ」
「そうなんですか?」


シャドウ家の人間とはいえ、ダインは呪術師の能力を全て把握しているわけではない。理由はダインは闇魔導士として生まれたので影魔法以外は扱えず、呪術師になるための指導は受けていない。ダインが知っているのは子供の時に暮らしていた時に拷問同然の虐待を受けていた時に受けた術しか知らない。


「ミヤが呪術で人間に悪霊を取り付かせることができる。あいつは僕を痛めつける時は自分の手を使わずに悪霊を憑依させた人間を利用していたんだ」
「なんて酷いことを……」
「胸糞悪い話だね」
「……血の繋がった家族とは思えん」


ダインの話を聞いて全員がショックを受けた表情を浮かべるが、今のダインにとっては昔痛めつけられていたことなどどうでも良かった。レナと出会う前の彼ならば思い出すだけで怯えていたかもしれないが、成長した彼はむしろ過去の記憶を思い出してやる気に満ちる。


「あいつが僕の前にまた現れたのは正直怖いけど……同時に嬉しくもあるよ。ようやく子供の頃の仕返しができるんだからな」
「ダインさん、強がってません?足が小鹿のように震えてますけど……」
「こ、これは武者震いだよ!!」
「威勢のいいことを言う割には身体は正直だね」
「だが、その意気だ」


表面上は冷静に振舞っているがダインの足元は震えており、過去のトラウマは簡単に克服できるものではない。しかし、ミヤを打ち倒した時にダインはシャドウ家の因縁から完全に断ち切れる気がした。

シャドウ家は長らくバルトロス王国を支えてきた一族だが、実際のところはシャドウ家の当主オウネンはバルトロス王家に忠誠など誓ってはいない。彼の目的は永遠に生きるために自分の子孫を育て上げるためにバルトロス王国を利用して貴族の位を手にしただけに過ぎない。

オウネンの目的は自分の手で育て上げた子孫の肉体であり、彼の目的は自分の老いた肉体を捨てて新しい肉体を得るために自分の子孫を鍛えてきただけに過ぎない。ダインはシャドウ家の最後の生き残りであり、オウネンは彼の肉体こそが自分の新しい肉体に相応しいと考えた。だが、ダインはオウネンを打ち破り、シャドウ家の象徴である闇の聖痕も受け継いだ。


「そういえばダイン、さっきの闇属性の魔石はどうした?」
「もう全部使い終わったよ」
「使い終わった!?あれだけの数の魔石を何に使ったんだい!?」
「うるさいな、後で説明するよ。でも今はミヤの元に行くのが先だ!!」
「分かりました。リボン、ミヤは何処に?」
「チュチュッ(あっち)」


リボンはミイネの肩の上でミヤが隠れている場所を指示し、四人はミヤが隠れ家にしている廃屋に近付く。もうすぐにミヤが憑依した人間と出会うことにダインは緊張した。


(怯えるな!!もう僕は弱虫じゃない……ミヤなんて敵じゃない!!)


オウネンを倒してブラクも打ち破ったダインは今ならばミヤが相手でも勝てる自信はあった。闇の聖痕を継承したダインは間違いなく世界でも一番を誇る闇魔導士に成長しており、リボンの案内の元で遂にダインはミヤの隠れ家に踏み込む。


「あの建物の中です!!」
「よし、派手にぶちかますよ!!」
「おうっ!!」


廃屋を視界に捉えたゴンゾウとバルは同時に駆け出すと廃屋の壁に目掛けて拳を繰り出す。二人の攻撃で廃屋の壁は吹き飛び、大穴が誕生すると全員が踏み込む。


「ミヤ!!出て来い!!」
「……おやおや、まさかそっちから出向いてくるなんてね」


壁を壊した際に建物内には埃が舞い上がり、その中からミヤの声が聞こえてきた。舞い上がった埃のせいで彼女の姿は捉えられないが、バルが背中に背負っていた大剣を抜くと勢いよく振り回す。


「とっとと姿を見せな!!回転!!」
「うわっ!?」


バルが戦技を発動して大剣を勢いよく振り回すと、埃が吹き飛んで瓦礫の上に居座る男の姿が露わになった。それを見てダインは訝し気な表情を浮かべるが、すぐにミヤが取り付いた人間だと気付く。


「何をそんなに驚いてるんだい?まさか本物の私がここにいると思っているのか?」
「くっ……」
「馬鹿な奴だね、あんた如きに本体の私が出向くまでもない。この身体で十分なんだよ」


予想はしていたとはいえ、相手がミヤ本人ではなく彼女が憑依した人間と知ってダインは悔し気な表情を浮かべる。そんな彼にミヤは杖を構えた。
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