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忌み子と呼ばれた少年
第2話 教会
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――翌日、アルは馬を借りるとナイを連れて街へ向かう。馬に乗って1時間ほど移動すると、草原に存在する街へと辿り着いた。二人が暮らしている村とは違い、街の周囲は煉瓦製の城壁で取り囲まれており、外部からの侵入対策を講じていた。
「うわぁっ……大きな壁だね。これなら泥棒さんも入ってこれないね」
「そうだな、泥棒は入ってこれないだろうな……」
「……?」
自分の背中にしがみつくナイの言葉にアルは苦笑いを浮かべ、街の周囲を城壁で取り囲んでいるのは外部からの侵入を阻むためである。但し、その侵入を試みようとするのは悪党だけとは限らない。
城壁を潜り抜けるとアルは山で手に入れた素材をを売り捌き、その金を手にして街に暮らす医者が経営している建物へ向かう。この街の医者とはアルも顔見知りであり、すぐに彼が来たことを知ると医者の男が出迎えてくれた。
「よう、アル!!お前さん、まだ生きてたのか!?」
「おう、いきなりご挨拶だな!!てめえの方こそ元気そうじゃねえか、このヤブ医者め!!」
医者を務めているのは異様に背が低い老人であり、身長に関しては子供のナイよりも少し大きい程度だった。初めて見る医者にナイはアルの後ろに隠れてあいさつすると、医者は驚いた表情を浮かべる。
「おっ!?なんだこの坊主……お前さんの孫か?」
「ああ、そんなようなもんだ。ほれ、ちゃんと挨拶しろ」
「は、初めまして……ナイと言います」
「ナイ?へえ、礼儀正しい子供だな。本当にお前さんと血が繋がってんのか?」
「余計な詮索はするな!!それより、この子の身体を診てくれるか?」
「ん?まあ、いいが……おっと、自己紹介がまだだったな。俺の名前はイーシャンだ。見ての通り、小髭族《ドワーフ》さ」
――小髭族とは人間とは異なる人種であり、彼等は基本的に小柄な体格だが、腕力の強さと手先が器用である事が特徴の種族だった。この世界で名工と呼ばれる鍛冶師の殆どは小髭族であり、今は医者をやっているがイーシャンも若い頃は鍛冶師を志した事もあった。
初めて見る小髭族にナイは戸惑うが、イーシャンは二人を建物の中へ迎え入れると、早速ナイの身体を診察した。ナイはイーシャンに身体を調べられ、その途中で怪我をした腕も診てもらう。
「ん?この腕は……薬草で治したのか?」
「おう、そうだ。ちょっと腕を折っちまってな」
「雑な治し方をしやがって……薬草だからって万能じゃないんだぞ。使い道を誤れば大変な事になる」
「うるせえな……それよりもどうだ?何か分かったか?」
「……隣の部屋で話そう。坊主、悪いがここで横になっててくれ」
「え?あ、はい……」
ナイの診察を終えたのかイーシャンは難しい表情を浮かべ、隣の部屋にアルを誘う。そんな彼の態度にアルはナイの身体に何か問題があるのかと思ったが、イーシャンは部屋を移動して早々に口を開く。
「落ち着いて聞けよ……あの子の肉体は健康だ、別に何かの病気にかかっているわけでもなければ、身体に欠陥があるわけじゃない」
「なら、どうして……」
「まあ、最後まで聞け……あの子の身体、異様なまでに柔らかいんだよ。それこそ赤ん坊のようだ」
「赤ん坊、だと?」
「それに力も弱い、こんな事は普通は考えにくいんだが……もしかしたらあの子のレベルが問題かもしれない」
「レベル、だと……?」
イーシャンの言葉にアルは動揺すると、そんな彼に対してイーシャンは首を振り、彼は近くにあった机の上に置いてあった羊皮紙とペンを手にすると、その場で何事か書き込む。
「ほら、これを持っていけ」
「これは……推薦状か?」
「ああ、正直に言えば俺の予測が正しければ医者の俺にはあの子の身体はどうしようもできない。そういう事なら専門家に任せるのが一番だろ」
「専門家……」
「陽光教会だよ、そこであの子のステータスを調べて貰え」
アルはイーシャンの言葉を聞いて黙り込み、やがて彼が差し出した推薦状を手にすると、彼は隣の部屋のナイを連れて早々に立ち去った――
――ナイとアルが暮らしている国は「陽光教」と呼ばれる宗教が主流であり、街などには必ず陽光教の教会が存在する。人々は教会の事を陽光教会と呼んでおり、この国では成人年齢を迎えると必ず陽光教会に訪れる法律が定められている。
陽光教会に辿り着いたアルは緊張した面持ちで建物へと入ると、ナイは初めて見る教会に興味深そうに内部を覗き込む。教会には「太陽の天使」と崇められる背中に白い翼を生やした女性の姿を模したステンドグラスが天井に広がっていた。
「うわぁっ……綺麗な場所だね」
「ああ、見てくれは立派だな……」
天井のステンドグラスを見てナイは感動した表情を浮かべるが、一方でアルの方はばつが悪そうな表情を浮かべる。そんな彼の態度にナイは不思議に思うが、二人の前に修道女の格好をした女性が現れた。
「おやおや、随分と可愛らしいお子さんですね」
「あんたは……」
「申し遅れました、私はこの陽光教会の司教のヨウと申します」
ヨウと名乗る女性は年齢は20代後半程度だと思われ、金色の髪の毛に瞳、人形のように整った顔立ち、何よりも普通の人間よりも細長い耳をしていた。すぐにアルは彼女の正体が人間ではなく、森人族《エルフ》と呼ばれる種族だと見抜く。
「うわぁっ……大きな壁だね。これなら泥棒さんも入ってこれないね」
「そうだな、泥棒は入ってこれないだろうな……」
「……?」
自分の背中にしがみつくナイの言葉にアルは苦笑いを浮かべ、街の周囲を城壁で取り囲んでいるのは外部からの侵入を阻むためである。但し、その侵入を試みようとするのは悪党だけとは限らない。
城壁を潜り抜けるとアルは山で手に入れた素材をを売り捌き、その金を手にして街に暮らす医者が経営している建物へ向かう。この街の医者とはアルも顔見知りであり、すぐに彼が来たことを知ると医者の男が出迎えてくれた。
「よう、アル!!お前さん、まだ生きてたのか!?」
「おう、いきなりご挨拶だな!!てめえの方こそ元気そうじゃねえか、このヤブ医者め!!」
医者を務めているのは異様に背が低い老人であり、身長に関しては子供のナイよりも少し大きい程度だった。初めて見る医者にナイはアルの後ろに隠れてあいさつすると、医者は驚いた表情を浮かべる。
「おっ!?なんだこの坊主……お前さんの孫か?」
「ああ、そんなようなもんだ。ほれ、ちゃんと挨拶しろ」
「は、初めまして……ナイと言います」
「ナイ?へえ、礼儀正しい子供だな。本当にお前さんと血が繋がってんのか?」
「余計な詮索はするな!!それより、この子の身体を診てくれるか?」
「ん?まあ、いいが……おっと、自己紹介がまだだったな。俺の名前はイーシャンだ。見ての通り、小髭族《ドワーフ》さ」
――小髭族とは人間とは異なる人種であり、彼等は基本的に小柄な体格だが、腕力の強さと手先が器用である事が特徴の種族だった。この世界で名工と呼ばれる鍛冶師の殆どは小髭族であり、今は医者をやっているがイーシャンも若い頃は鍛冶師を志した事もあった。
初めて見る小髭族にナイは戸惑うが、イーシャンは二人を建物の中へ迎え入れると、早速ナイの身体を診察した。ナイはイーシャンに身体を調べられ、その途中で怪我をした腕も診てもらう。
「ん?この腕は……薬草で治したのか?」
「おう、そうだ。ちょっと腕を折っちまってな」
「雑な治し方をしやがって……薬草だからって万能じゃないんだぞ。使い道を誤れば大変な事になる」
「うるせえな……それよりもどうだ?何か分かったか?」
「……隣の部屋で話そう。坊主、悪いがここで横になっててくれ」
「え?あ、はい……」
ナイの診察を終えたのかイーシャンは難しい表情を浮かべ、隣の部屋にアルを誘う。そんな彼の態度にアルはナイの身体に何か問題があるのかと思ったが、イーシャンは部屋を移動して早々に口を開く。
「落ち着いて聞けよ……あの子の肉体は健康だ、別に何かの病気にかかっているわけでもなければ、身体に欠陥があるわけじゃない」
「なら、どうして……」
「まあ、最後まで聞け……あの子の身体、異様なまでに柔らかいんだよ。それこそ赤ん坊のようだ」
「赤ん坊、だと?」
「それに力も弱い、こんな事は普通は考えにくいんだが……もしかしたらあの子のレベルが問題かもしれない」
「レベル、だと……?」
イーシャンの言葉にアルは動揺すると、そんな彼に対してイーシャンは首を振り、彼は近くにあった机の上に置いてあった羊皮紙とペンを手にすると、その場で何事か書き込む。
「ほら、これを持っていけ」
「これは……推薦状か?」
「ああ、正直に言えば俺の予測が正しければ医者の俺にはあの子の身体はどうしようもできない。そういう事なら専門家に任せるのが一番だろ」
「専門家……」
「陽光教会だよ、そこであの子のステータスを調べて貰え」
アルはイーシャンの言葉を聞いて黙り込み、やがて彼が差し出した推薦状を手にすると、彼は隣の部屋のナイを連れて早々に立ち去った――
――ナイとアルが暮らしている国は「陽光教」と呼ばれる宗教が主流であり、街などには必ず陽光教の教会が存在する。人々は教会の事を陽光教会と呼んでおり、この国では成人年齢を迎えると必ず陽光教会に訪れる法律が定められている。
陽光教会に辿り着いたアルは緊張した面持ちで建物へと入ると、ナイは初めて見る教会に興味深そうに内部を覗き込む。教会には「太陽の天使」と崇められる背中に白い翼を生やした女性の姿を模したステンドグラスが天井に広がっていた。
「うわぁっ……綺麗な場所だね」
「ああ、見てくれは立派だな……」
天井のステンドグラスを見てナイは感動した表情を浮かべるが、一方でアルの方はばつが悪そうな表情を浮かべる。そんな彼の態度にナイは不思議に思うが、二人の前に修道女の格好をした女性が現れた。
「おやおや、随分と可愛らしいお子さんですね」
「あんたは……」
「申し遅れました、私はこの陽光教会の司教のヨウと申します」
ヨウと名乗る女性は年齢は20代後半程度だと思われ、金色の髪の毛に瞳、人形のように整った顔立ち、何よりも普通の人間よりも細長い耳をしていた。すぐにアルは彼女の正体が人間ではなく、森人族《エルフ》と呼ばれる種族だと見抜く。
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