貧弱の英雄

カタナヅキ

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逃れられぬ運命

第111話 街への侵入経路

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「ふざけるな!!そんな説明で納得できるか!!どうせお前等が見張りをサボっていただけだろうがっ!?」
「ち、違います!!我々は……」
「おい、止めろ!!八つ当たりしても仕方ないだろ!!落ち着けよ、この人達は俺達を守ってくれてるんだぞ!!」
「離せっ!!くそっ……娘を返しやがれぇっ!!」


兵士の言葉を聞いて逆上した男性は襲い掛かろうとするが、それを他の住民が引き留める。その様子を見て男性に説明していた兵士は頭を抑え、ため息を吐き出す。


「聞きたいのは俺達の方だ……くそっ」
「…………」


一部始終を見ていたナイは兵士の言葉が嘘だとは思えず、それでも魔物が急に街中に現れたという言葉は信じがたい。魔物が街の中に入り込むには城壁を突破する以外にあり得ない。

ナイが暮らしていた村とは違って街などの大勢の人間が暮らす場所は、煉瓦製の城壁が四方を取り囲み、常に警備兵が見張りを行う。それに魔物が現れた時間帯は朝方から昼に差し掛かった時間帯である。

深夜などの時間帯ならば見通しが悪いので魔物の侵入に気付かない可能性もある。だが、今回の襲撃は昼を迎えようとしていた時間帯であり、当然だが明るい時間帯で警備兵が警戒を緩めるはずがない。


(本当に城壁を突破されていないのなら魔物達は何処から現れたんだろう……?)


ナイは魔物達の侵入経路が気にかかり、先ほどの兵士の話が事実ならば魔物達が侵入を果たしたのは城壁からではなく、別の方法で入り込んだ事になる。


(街の人たちの話だと魔物はいきなり現れたという話だし、それに城壁から狼煙も上がっていた。あの狼煙が危険を知らせる合図なら、魔物達は街のあちこちに同時に現れた事になるのか……)


東西南北の城壁から狼煙が上がったのはほぼ同じ時間帯であり、魔物達はほぼ同時に街の至る場所に現れた事になる。まさか街中に事前にゴブリン達が隠れていたとは考えにくく、そもそも気性の荒い魔物が街中に潜んで同時に襲い掛かるとは思いにくい。


(もしも本当に城壁を突破する以外に魔物が入る方法があるとすれば……その方法が判明すれば対抗策が出来るかも)


ナイは色々と考えながら歩いていると、不意に街道の方に人混みが出来ている事に気付き、何事だろうと視線を向ける。そこには教会よりも大きな建物が存在した。

建物の前には街中の人間が集まっているのではないかと思う程に人が集まっており、どうやらこの建物が冒険者ギルドらしく、人々はギルドの建物の前で集まって抗議していた。


「おい、いつまで俺達はこうしていればいいんだ!!」
「早く魔物を追い払ってくれよ!!」
「そうだそうだ!!こんな時のための冒険者だろうがっ!!」
「中に入れさせろ!!」


どうやらギルドの前に集まった人間達は冒険者に抗議しているらしく、街中に現れた魔物の討伐を要請しているらしい。そんな彼等を見てナイは眉をしかめ、この街の冒険者と兵士は今も必死に救助活動している。

冒険者も街を守るために全力を尽くしており、現にナイは避難を誘導していた冒険者の集団に助けられた。だからこそ文句を告げる住民達を見てナイは彼等を止めようとした時、ここで建物の扉が開かれた。


「うるせえぞ!!今は会議中だ、静かにしやがれ馬鹿共がっ!!」
『っ――!?』


建物から現れたのは身の丈が3メートルを軽く超える大男であり、鼓膜が破れるのではないかという程の大音量で怒鳴りつける。その彼の声と気迫に人々は圧倒され、集まっていた街の住民は震え上がる。


(何だあの人……まさか、あれが巨人族!?)


ナイは尋常ではない背丈の男性を見て動揺を隠せず、子供の頃にアルから教わった人間以外の種族の存在を思い出す。この世界には人間以外にも様々な種族が存在し、有名なのは「森人族《エルフ》」「小髭族《ドワーフ》」「巨人族《ジャイアント》」と呼ばれる三種族である。

森人族《エルフ》は緑の自然を愛し、山や森の中に暮らす種族である。普通の人間よりも美しい容姿をしており、更に魔法に関する知識は彼等に敵う者はいないと言われていた。

小髭族《ドワーフ》の場合は鍛冶師の名工が多く、歴史上に名前を刻んだ武器や防具の類の殆どは彼等が作り上げた物だと言われている。但し、人間よりも背丈が小さく、大人でも身長は130~140センチ程度だという。

最後に巨人族《ジャイアント》は名前の通りに普通の人間の倍近くの体躯を誇り、腕力の方も優れている。基本的に巨人族は男性は大柄な体格で生まれ、女性の方は男性よりも背が高い事が多い。しかし、現在では数が少なく滅多な事では見かけない種族である。


「さっきからごちゃごちゃとうるさいんだよ!!こっちだって忙しいんだ、用事があるなら会議の終わった後にしろ!!」
『…………』


巨人族の男性の気迫に気圧されて集まった住民達は何も言えず、彼等は黙り込むのを確認すると巨人族の男性は鼻を鳴らし、建物の中へと戻ろうとした。
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