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逃れられぬ運命
第126話 マホ老師
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(何だあれ……あれも魔法、なのか!?)
スローモーションのようにゆっくりと地上に降りる少女と女性の姿を見たナイは混乱するが、やがて二人が降り立つと彼女達の身体に纏っていた風が消え去り、杖に取り付けられていた水晶玉の輝きも消える。
地上に降りた二人を見てナイは緊張した面持ちで旋斧を構えると、女性の方が弓を構える。だが、それを少女の方が杖を向けて女性を制止した。
「止めんか、そんな物を向けたら怖がるだろう」
「も、申し訳ございません。老師!!」
「老師……えっ?」
「大丈夫だ、俺達は敵じゃない」
「ちっ……」
後ろから声を掛けられたナイは振り返ると、そこには棍棒を地面に置く巨人の姿が存在し、その隣には不機嫌そうな表情を浮かべながら座り込むガロの姿があった。
どうやら彼等はナイと争うつもりはないらしく、ナイの方も旋斧を下ろすとここで屋敷の中からドルトンがイーシャンに肩を貸して貰いながらも出てくる。それを見た少女は嬉しそうな声を上げる。
「おお、ドルトンではないか!!やはり生きておったか!!久しぶりじゃのう、何年ぶりじゃ?」
「貴女は……やはり、マホ老師!!お久しぶりでございます!!」
「な、何だ?知り合いなのか?」
ドルトンからマホと呼ばれた少女は嬉しそうな声を上げ、杖を背中に背負うと彼の元へ駆け寄る。ドルトンの方は戸惑いの表情を浮かべながらもマホが差し出した腕を掴み、その様子を見たナイはドルトンと彼女がどのような関係なのか気になった。
「ドルトンさん、この人達は……?」
「ナイ、この御方は儂が昔から世話になっている人でな。マホ老師と呼ばれておる」
「え、昔から……?」
「初めまして、儂の名前はマホじゃ。お主はドルトンの孫か?」
ナイはドルトンの言葉を聞いて聞き間違いかと思ったが、どうやら彼によるとナイの目の前の少女はドルトンが昔からの知り合いらしい。だが、どう見ても小さな子供にしか見えないマホが彼の古い友人とは到底思えない。
「む、儂が子供だと疑っておるな。言っておくが儂はこう見えてもお主の10倍以上も生きておるのだぞ。いや、10倍は言いすぎたかの?」
「ナイは森人族《エルフ》を知っているか?森人族は我等とは比べ物にならない寿命を持っている。だから森人族はある程度の年齢に到達すると、肉体の成長が遅くなって年を重ねても殆ど外見が変わらなくなる。まあ、どれくらいの年齢を重ねたら成長が遅くなるのかは個人差はあるがな……」
「儂の場合は10才を迎えてから成長が止まってな。全く、こんな身体では子供とよく間違われて嫌になるわい」
「そういえば爺ちゃんもそんな事を言っていたような……え、じゃあ本当にこの人はドルトンさんと昔から付き合いのある人なんですか?」
「そういう事じゃ。おっと、言っておくが儂の年齢は明かさんぞ。女性の年齢を聞くのはえぬじぃだからのう!!」
「えぬ……?」
マホは自分とドルトンを見比べるナイに対して事前に注意すると、ここで改めて彼女はナイに視線を向け、何者なのかを尋ねた。
「それでお主は何者じゃ?どうやらドルトンの孫というわけではなさそうだが……それにその武器、何処かで見覚えがあると思ったらアルの家に伝わる剣ではないか?」
「えっ!?爺ちゃんを知っているですか?」
「おお、当たりか!!という事はお主はアルの孫か!?全然似とらんのう……だが、その剣を扱えるという事はアルの怪力は受け継いでおるようだな」
「あ、はい……」
アルの事もどうやらマホは知っていたらしく、彼女はナイが旋斧を装備している事から彼の孫だと思い込む。正確に言えばナイとアルは血の繋がらない親子なのだが、その辺の説明をすると長くなりそうなので今は省く事にした。
お互いの正体が判明した事でナイは警戒心を解き、とりあえずはビャクの様子を伺う。ビャクの方は特に大きな怪我は負っておらず、すぐに立ち上がってナイに擦り寄る。
「クゥ~ンッ」
「よしよし、良かった。怪我はしてないみたいだね」
「ウォンッ!!」
「ほう……あの気性の荒い白狼種をここまで手懐けるとは見事じゃ」
「あの、さっきはごめんなさいね。てっきり、貴女がその白狼種に襲われそうになてていると思って……」
「すまない、君の友達だと知っていたらこんな真似はしなかった」
「ちっ……紛らわしいんだよ、くそがっ」
ビャクがナイに懐いている姿を見て森人族の女性と巨人族の男性は謝罪するが、獣人族の少年の方は謝る気はないらしく、その態度にナイは苛立ちを抱く。
だが、ドルトンの方はマホがここへ来てくれた事を素直に喜び、この状況下で最も頼りになる相手が来てくれたことを喜ぶ。ドルトンはマホと彼女が連れてきた3人を屋敷へ迎え入れた――
スローモーションのようにゆっくりと地上に降りる少女と女性の姿を見たナイは混乱するが、やがて二人が降り立つと彼女達の身体に纏っていた風が消え去り、杖に取り付けられていた水晶玉の輝きも消える。
地上に降りた二人を見てナイは緊張した面持ちで旋斧を構えると、女性の方が弓を構える。だが、それを少女の方が杖を向けて女性を制止した。
「止めんか、そんな物を向けたら怖がるだろう」
「も、申し訳ございません。老師!!」
「老師……えっ?」
「大丈夫だ、俺達は敵じゃない」
「ちっ……」
後ろから声を掛けられたナイは振り返ると、そこには棍棒を地面に置く巨人の姿が存在し、その隣には不機嫌そうな表情を浮かべながら座り込むガロの姿があった。
どうやら彼等はナイと争うつもりはないらしく、ナイの方も旋斧を下ろすとここで屋敷の中からドルトンがイーシャンに肩を貸して貰いながらも出てくる。それを見た少女は嬉しそうな声を上げる。
「おお、ドルトンではないか!!やはり生きておったか!!久しぶりじゃのう、何年ぶりじゃ?」
「貴女は……やはり、マホ老師!!お久しぶりでございます!!」
「な、何だ?知り合いなのか?」
ドルトンからマホと呼ばれた少女は嬉しそうな声を上げ、杖を背中に背負うと彼の元へ駆け寄る。ドルトンの方は戸惑いの表情を浮かべながらもマホが差し出した腕を掴み、その様子を見たナイはドルトンと彼女がどのような関係なのか気になった。
「ドルトンさん、この人達は……?」
「ナイ、この御方は儂が昔から世話になっている人でな。マホ老師と呼ばれておる」
「え、昔から……?」
「初めまして、儂の名前はマホじゃ。お主はドルトンの孫か?」
ナイはドルトンの言葉を聞いて聞き間違いかと思ったが、どうやら彼によるとナイの目の前の少女はドルトンが昔からの知り合いらしい。だが、どう見ても小さな子供にしか見えないマホが彼の古い友人とは到底思えない。
「む、儂が子供だと疑っておるな。言っておくが儂はこう見えてもお主の10倍以上も生きておるのだぞ。いや、10倍は言いすぎたかの?」
「ナイは森人族《エルフ》を知っているか?森人族は我等とは比べ物にならない寿命を持っている。だから森人族はある程度の年齢に到達すると、肉体の成長が遅くなって年を重ねても殆ど外見が変わらなくなる。まあ、どれくらいの年齢を重ねたら成長が遅くなるのかは個人差はあるがな……」
「儂の場合は10才を迎えてから成長が止まってな。全く、こんな身体では子供とよく間違われて嫌になるわい」
「そういえば爺ちゃんもそんな事を言っていたような……え、じゃあ本当にこの人はドルトンさんと昔から付き合いのある人なんですか?」
「そういう事じゃ。おっと、言っておくが儂の年齢は明かさんぞ。女性の年齢を聞くのはえぬじぃだからのう!!」
「えぬ……?」
マホは自分とドルトンを見比べるナイに対して事前に注意すると、ここで改めて彼女はナイに視線を向け、何者なのかを尋ねた。
「それでお主は何者じゃ?どうやらドルトンの孫というわけではなさそうだが……それにその武器、何処かで見覚えがあると思ったらアルの家に伝わる剣ではないか?」
「えっ!?爺ちゃんを知っているですか?」
「おお、当たりか!!という事はお主はアルの孫か!?全然似とらんのう……だが、その剣を扱えるという事はアルの怪力は受け継いでおるようだな」
「あ、はい……」
アルの事もどうやらマホは知っていたらしく、彼女はナイが旋斧を装備している事から彼の孫だと思い込む。正確に言えばナイとアルは血の繋がらない親子なのだが、その辺の説明をすると長くなりそうなので今は省く事にした。
お互いの正体が判明した事でナイは警戒心を解き、とりあえずはビャクの様子を伺う。ビャクの方は特に大きな怪我は負っておらず、すぐに立ち上がってナイに擦り寄る。
「クゥ~ンッ」
「よしよし、良かった。怪我はしてないみたいだね」
「ウォンッ!!」
「ほう……あの気性の荒い白狼種をここまで手懐けるとは見事じゃ」
「あの、さっきはごめんなさいね。てっきり、貴女がその白狼種に襲われそうになてていると思って……」
「すまない、君の友達だと知っていたらこんな真似はしなかった」
「ちっ……紛らわしいんだよ、くそがっ」
ビャクがナイに懐いている姿を見て森人族の女性と巨人族の男性は謝罪するが、獣人族の少年の方は謝る気はないらしく、その態度にナイは苛立ちを抱く。
だが、ドルトンの方はマホがここへ来てくれた事を素直に喜び、この状況下で最も頼りになる相手が来てくれたことを喜ぶ。ドルトンはマホと彼女が連れてきた3人を屋敷へ迎え入れた――
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