132 / 1,110
逃れられぬ運命
第132話 《貧弱》という才能
しおりを挟む
「――ほうほう、なるほどのう。子供の時に水晶板の破片を使って技能を身に付けてきたと……それにしてもまさか貧弱の技能を持っておったとは、驚いたわい」
「ううっ……お前も苦労したんだな」
「ぐすっ……赤ん坊の時に捨てられるなんて不憫な」
「あれ!?エルマさん、いつからいたんですか?」
昔話も兼ねてナイは過去に自分がしてきた事を話すと、ゴンザレスとエルマ(何時の間にか混ざっていた)はナイが生みの親から捨てられ、更に育て親であるアルも失い、優しくしてくれた村人達も死んでしまった事を聞いて涙を流す。
話を聞き終えたマホは腕を組み、まさかナイがアルの養子でしかも「忌み子」だと呼ばれる存在だとは思いもしなかった。彼女は昨日までは本気でナイがアルの血を継ぐ子供だと信じていた。
「ふむ、まさか日付が変更する度にレベルが1に戻されるとは……しかし、その特性を利用し、多数の技能を覚えて生きてきたという事か。到底信じられん話だが、お主が嘘を吐いているようには見えんな」
「ですが老師、その話が本当なら凄い事ではないですか?10個以上の技能を身に付けているなんて……それだけの技能を持つ人間なんて聞いた事もありませんよ」
「え、そうなんですか……?」
ナイはエルマの言葉を聞いて驚き、その反応を見てマホは少し呆れた様に説明を付け加えた。
「当然であろう。技能を身に付けるためには魔物を倒すか経験石を破壊し、経験値を得てレベルを上げてSPを貯めるしかない。だが、普通の人間の場合はレベルが20も越えれば簡単にはレベルが上がらなくなる」
「あ、そうか……」
「お主はレベルがリセットされる度に魔物を倒し、少ない経験値でレベルを上げる事ができたから人よりも多くのSPを集める事が出来たんじゃ。しかし、一流の冒険者でも身に付けている技能の数はせいぜい5個から6個……そういう意味ではお主は普通ではない」
技能の習得に必要なSPの数値は「10」つまりレベルを10上げる事に新しい技能を覚えられる事を意味する。しかし、一流の冒険者であろうとレベルが50~60まで上げるのが限界であり、基本的には5~6個の技能しか持ち合わせていない。
貧弱の技能を持って生まれたナイは忌み子として認識されたが、この貧弱のお陰でナイは今日まで生き延びる事が出来たと言っても過言ではない。もしもこの技能がなければナイは魔物に殺されていた可能性もある。
「ナイよ、悲観する事はない。お主の貧弱の異能は決して恵まれぬ才能などではない。むしろ、素晴らしい才能じゃ」
「貧弱が……才能?」
「実際にお主自身も気づいておるのだろう?その貧弱のお陰でお主は強くなれた、改めてお主の話を聞いて儂は思ったよ。忌み子など、この世には存在しない」
「忌み子が……存在しない?」
陽光教会の教えを真っ向から否定する発言をしたマホにナイは驚くが、彼女は空を見上げながら語り掛ける。
「生まれた時から呪われている子供などいるはずがない……どんなに不遇に思える技能を持って生まれたとしても、その技能はきっと生まれてきた子供のために必要不可欠な力……だからお主が持つ貧弱の技能も、お主自身が望んで得た才能だと儂は思うよ」
「貧弱が……僕が望んだ力?」
マホの言葉にナイは不思議と否定できず、言われてみればそんな風な気もする。これまでにナイが窮地を脱する事が出来た根幹の理由はこの貧弱の技能のお陰だと思った。
これまでナイは自分が忌み子であると思い込んでいたが、マホの話を聞いて心が楽になり、自分は呪われた存在ではないのかもしれないと思う。辛い事はたくさんあったが、それでもこの貧弱の技能のお陰でナイは大きな力を手に入れた。
「ありがとうございます、何だか……気が楽になりました」
「うむ、そうか。それならばよかったが……ここで一つだけ注意しておくことがある。それはお主の身体の問題じゃ」
「え?」
ナイはマホの言葉を聞いて驚き、何処か怪我でもしているのかと思ったが、マホが言いたいのはナイの肉体というよりも体質の方に問題があるという。
「先ほども言ったが、お主の身体は少々特殊な肉体になっておる。その原因は恐らくは技能を覚え過ぎた事じゃな」
「技能を……覚え過ぎた?」
「技能を覚え過ぎると問題があるのですか?」
「そんな話、聞いた事もないぞ……」
マホの言葉に混乱したのはナイだけではなく、他の二人も意外そうな表情を浮かべた。これまでにナイは覚えてきた技能はどれも彼のために役立ち、長らく放置して使えない技能もいくつかあったが、それらも練習を繰り返せば使える様になった。
技能を覚えて困った事などナイは一度もなかったためにマホの言葉が信じられず、いったい何が問題なのか彼女に教わろうとすると、ここでマホはナイの胸元に指を向ける。
「ううっ……お前も苦労したんだな」
「ぐすっ……赤ん坊の時に捨てられるなんて不憫な」
「あれ!?エルマさん、いつからいたんですか?」
昔話も兼ねてナイは過去に自分がしてきた事を話すと、ゴンザレスとエルマ(何時の間にか混ざっていた)はナイが生みの親から捨てられ、更に育て親であるアルも失い、優しくしてくれた村人達も死んでしまった事を聞いて涙を流す。
話を聞き終えたマホは腕を組み、まさかナイがアルの養子でしかも「忌み子」だと呼ばれる存在だとは思いもしなかった。彼女は昨日までは本気でナイがアルの血を継ぐ子供だと信じていた。
「ふむ、まさか日付が変更する度にレベルが1に戻されるとは……しかし、その特性を利用し、多数の技能を覚えて生きてきたという事か。到底信じられん話だが、お主が嘘を吐いているようには見えんな」
「ですが老師、その話が本当なら凄い事ではないですか?10個以上の技能を身に付けているなんて……それだけの技能を持つ人間なんて聞いた事もありませんよ」
「え、そうなんですか……?」
ナイはエルマの言葉を聞いて驚き、その反応を見てマホは少し呆れた様に説明を付け加えた。
「当然であろう。技能を身に付けるためには魔物を倒すか経験石を破壊し、経験値を得てレベルを上げてSPを貯めるしかない。だが、普通の人間の場合はレベルが20も越えれば簡単にはレベルが上がらなくなる」
「あ、そうか……」
「お主はレベルがリセットされる度に魔物を倒し、少ない経験値でレベルを上げる事ができたから人よりも多くのSPを集める事が出来たんじゃ。しかし、一流の冒険者でも身に付けている技能の数はせいぜい5個から6個……そういう意味ではお主は普通ではない」
技能の習得に必要なSPの数値は「10」つまりレベルを10上げる事に新しい技能を覚えられる事を意味する。しかし、一流の冒険者であろうとレベルが50~60まで上げるのが限界であり、基本的には5~6個の技能しか持ち合わせていない。
貧弱の技能を持って生まれたナイは忌み子として認識されたが、この貧弱のお陰でナイは今日まで生き延びる事が出来たと言っても過言ではない。もしもこの技能がなければナイは魔物に殺されていた可能性もある。
「ナイよ、悲観する事はない。お主の貧弱の異能は決して恵まれぬ才能などではない。むしろ、素晴らしい才能じゃ」
「貧弱が……才能?」
「実際にお主自身も気づいておるのだろう?その貧弱のお陰でお主は強くなれた、改めてお主の話を聞いて儂は思ったよ。忌み子など、この世には存在しない」
「忌み子が……存在しない?」
陽光教会の教えを真っ向から否定する発言をしたマホにナイは驚くが、彼女は空を見上げながら語り掛ける。
「生まれた時から呪われている子供などいるはずがない……どんなに不遇に思える技能を持って生まれたとしても、その技能はきっと生まれてきた子供のために必要不可欠な力……だからお主が持つ貧弱の技能も、お主自身が望んで得た才能だと儂は思うよ」
「貧弱が……僕が望んだ力?」
マホの言葉にナイは不思議と否定できず、言われてみればそんな風な気もする。これまでにナイが窮地を脱する事が出来た根幹の理由はこの貧弱の技能のお陰だと思った。
これまでナイは自分が忌み子であると思い込んでいたが、マホの話を聞いて心が楽になり、自分は呪われた存在ではないのかもしれないと思う。辛い事はたくさんあったが、それでもこの貧弱の技能のお陰でナイは大きな力を手に入れた。
「ありがとうございます、何だか……気が楽になりました」
「うむ、そうか。それならばよかったが……ここで一つだけ注意しておくことがある。それはお主の身体の問題じゃ」
「え?」
ナイはマホの言葉を聞いて驚き、何処か怪我でもしているのかと思ったが、マホが言いたいのはナイの肉体というよりも体質の方に問題があるという。
「先ほども言ったが、お主の身体は少々特殊な肉体になっておる。その原因は恐らくは技能を覚え過ぎた事じゃな」
「技能を……覚え過ぎた?」
「技能を覚え過ぎると問題があるのですか?」
「そんな話、聞いた事もないぞ……」
マホの言葉に混乱したのはナイだけではなく、他の二人も意外そうな表情を浮かべた。これまでにナイは覚えてきた技能はどれも彼のために役立ち、長らく放置して使えない技能もいくつかあったが、それらも練習を繰り返せば使える様になった。
技能を覚えて困った事などナイは一度もなかったためにマホの言葉が信じられず、いったい何が問題なのか彼女に教わろうとすると、ここでマホはナイの胸元に指を向ける。
11
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる