147 / 1,110
逃れられぬ運命
第147話 冒険者の到着
しおりを挟む
「それにしてもなんと凄まじい……竜巻が見えたと思ったが、まさか魔導士殿の広域魔法だったとは……」
「この場に存在した魔物は老師の魔法により、吹き飛びました。今頃は街の外まで吹き飛ばされたと考えて問題ないかと」
「そうであったか……だが、気になる事がある。倒した魔物の中でゴブリンの最上位種であるゴブリンキングは存在したか?」
「最上位種……?」
最上位種とは進化を果たす魔物の最終進化形態であり、上位種の上位互換である。ゴブリンの場合は進化を果たせば「ホブゴブリン」に進化するが、実はまだ進化の先があった。
通常種のゴブリンがホブゴブリンに進化する事も珍しいだが、更にホブゴブリンが最上位種である「ゴブリンキング」に進化する事は滅多にない。実際に過去の歴史でも最後にゴブリンキングの存在を確認されたのは100年以上前だと言われていた。
「ゴブリンキングだと……まさか、ゴブリンキングが確認されたのか!?」
「あの伝説の魔物が……!?」
「いや、我々もゴブリンキングの存在はまだ確認していない。しかし、近年では各領地にてゴブリンの被害が異常なまでに多発している。このゴブリン達の活発的な行動の原因はゴブリンキングの仕業ではないかと考えられているのだ」
「ゴブリンキング……」
ナイは騎士の話を聞いて自分が倒した「ゴブリンメイジ」の事を思い出す。まさかあのゴブリンメイジがゴブリンキングだとは思えず、そもそもゴブリンメイジは亜種であって、ゴブリンの上位種ですらない。
「あの……ゴブリンキングというのは見た事がないので分かりませんけど、この街を襲った魔物を統べていたのはゴブリンメイジです」
「何だって……そうか、ゴブリンメイジか」
「騎士団長、ここも外れの様です。すぐに捜索を再開しましょう」
銀狼騎士団の団長に対して配下の兵士が声をかけるが、それを聞いたナイは街がこんな状況だというのに騎士団が離れるのかと信じられない想いを抱く。王国に所属する騎士団ならば領地の民を守るのも仕事の内だろうと思ったが、それはエルマが代弁してくれた。
「お待ちください、この街にはまだ魔物が潜伏している可能性もあります!!第一に南門の城壁は破壊され、魔物が街に入り込める状態ですよ!!」
「それは分かっている。だが、我々の任務はゴブリンキングの捜索……もしもゴブリンキングが本当に現れたというのであればこの国に危機が訪れる」
「なら、この街の人間はどうでもいいというのか!?」
「そうは言っていない……我々の代わりに他の街から冒険者の要請を行っている。彼等がここへ訪れれば街の平和は保たれるだろう」
「冒険者?そんな簡単に冒険者が集まるはずがないでしょう!!」
街が魔物に襲われてから1日程度しか経過しておらず、他の街に連絡を送ったとしても冒険者が辿り着くまでにどれほどの時間が掛かるのか分からない。だが、唐突にビャクが何かを感じたように彼は近くの建物の屋根の上に視線を向けた。
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「ビャク!?どうしたの!?」
「いったいなんだ……あれは!?」
建物の屋根に全員が視線を向けると、そこには黒装束の人物が立っており、怪しげな格好をしている二人組を見て全員が身構えるが、男女はやがて地上へ向けて飛び降りる。
かなりの高さから落下したにも関わらず、二人とも地上に着地する際は音も立てずに降り立つ。その光景を見て全員が驚き、ナイはすぐに二人が自分と同じように「無音歩行」の技能を覚えている事を見抜く。
(この二人もきっと隠密や無音歩行を習得しているんだ。でも、あんな真似は僕にはできない……)
ビャクが気づかなかったらナイは二人の存在に気付く事もなく、また高度から落下しても全く音を立てずに着地するなどナイには不可能だった。どちらの人物もナイよりも「隠密」と「無音歩行」の技術を極めており、相当な実力者だと伺える。
「何者だ、貴様等!!」
「……何者だとは失礼な、我々は冒険者だ。ニーノからやってきた」
「この街が魔物に襲われた聞き、ここへ駆けつけてきたでござる」
「ござる……?」
二人組に対して騎士達は警戒するが、男性の方は両手を上げて敵ではない事を示し、自分達が冒険者である事を明かす。一方で女性の方は何故か不思議な語尾を付けており、その二人の態度にナイ達は呆気に取られたが、ここでエルマは何かに気付いたように驚きの声を上げた。
「その恰好、それに妙な言葉遣い、まさか貴方達は……白銀級冒険者のシノビ兄妹!?」
「金級冒険者だと!?」
「シノビ兄妹……その名前は聞いた事があるぞ」
「し、白銀級?シノビ?」
エルマの言葉に他の者達は驚きの声を上げる中、ナイだけは付いていけず、この二人が高名な冒険者である事は分かったが、具体的にはどれほど凄いのか分からない。
「この場に存在した魔物は老師の魔法により、吹き飛びました。今頃は街の外まで吹き飛ばされたと考えて問題ないかと」
「そうであったか……だが、気になる事がある。倒した魔物の中でゴブリンの最上位種であるゴブリンキングは存在したか?」
「最上位種……?」
最上位種とは進化を果たす魔物の最終進化形態であり、上位種の上位互換である。ゴブリンの場合は進化を果たせば「ホブゴブリン」に進化するが、実はまだ進化の先があった。
通常種のゴブリンがホブゴブリンに進化する事も珍しいだが、更にホブゴブリンが最上位種である「ゴブリンキング」に進化する事は滅多にない。実際に過去の歴史でも最後にゴブリンキングの存在を確認されたのは100年以上前だと言われていた。
「ゴブリンキングだと……まさか、ゴブリンキングが確認されたのか!?」
「あの伝説の魔物が……!?」
「いや、我々もゴブリンキングの存在はまだ確認していない。しかし、近年では各領地にてゴブリンの被害が異常なまでに多発している。このゴブリン達の活発的な行動の原因はゴブリンキングの仕業ではないかと考えられているのだ」
「ゴブリンキング……」
ナイは騎士の話を聞いて自分が倒した「ゴブリンメイジ」の事を思い出す。まさかあのゴブリンメイジがゴブリンキングだとは思えず、そもそもゴブリンメイジは亜種であって、ゴブリンの上位種ですらない。
「あの……ゴブリンキングというのは見た事がないので分かりませんけど、この街を襲った魔物を統べていたのはゴブリンメイジです」
「何だって……そうか、ゴブリンメイジか」
「騎士団長、ここも外れの様です。すぐに捜索を再開しましょう」
銀狼騎士団の団長に対して配下の兵士が声をかけるが、それを聞いたナイは街がこんな状況だというのに騎士団が離れるのかと信じられない想いを抱く。王国に所属する騎士団ならば領地の民を守るのも仕事の内だろうと思ったが、それはエルマが代弁してくれた。
「お待ちください、この街にはまだ魔物が潜伏している可能性もあります!!第一に南門の城壁は破壊され、魔物が街に入り込める状態ですよ!!」
「それは分かっている。だが、我々の任務はゴブリンキングの捜索……もしもゴブリンキングが本当に現れたというのであればこの国に危機が訪れる」
「なら、この街の人間はどうでもいいというのか!?」
「そうは言っていない……我々の代わりに他の街から冒険者の要請を行っている。彼等がここへ訪れれば街の平和は保たれるだろう」
「冒険者?そんな簡単に冒険者が集まるはずがないでしょう!!」
街が魔物に襲われてから1日程度しか経過しておらず、他の街に連絡を送ったとしても冒険者が辿り着くまでにどれほどの時間が掛かるのか分からない。だが、唐突にビャクが何かを感じたように彼は近くの建物の屋根の上に視線を向けた。
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「ビャク!?どうしたの!?」
「いったいなんだ……あれは!?」
建物の屋根に全員が視線を向けると、そこには黒装束の人物が立っており、怪しげな格好をしている二人組を見て全員が身構えるが、男女はやがて地上へ向けて飛び降りる。
かなりの高さから落下したにも関わらず、二人とも地上に着地する際は音も立てずに降り立つ。その光景を見て全員が驚き、ナイはすぐに二人が自分と同じように「無音歩行」の技能を覚えている事を見抜く。
(この二人もきっと隠密や無音歩行を習得しているんだ。でも、あんな真似は僕にはできない……)
ビャクが気づかなかったらナイは二人の存在に気付く事もなく、また高度から落下しても全く音を立てずに着地するなどナイには不可能だった。どちらの人物もナイよりも「隠密」と「無音歩行」の技術を極めており、相当な実力者だと伺える。
「何者だ、貴様等!!」
「……何者だとは失礼な、我々は冒険者だ。ニーノからやってきた」
「この街が魔物に襲われた聞き、ここへ駆けつけてきたでござる」
「ござる……?」
二人組に対して騎士達は警戒するが、男性の方は両手を上げて敵ではない事を示し、自分達が冒険者である事を明かす。一方で女性の方は何故か不思議な語尾を付けており、その二人の態度にナイ達は呆気に取られたが、ここでエルマは何かに気付いたように驚きの声を上げた。
「その恰好、それに妙な言葉遣い、まさか貴方達は……白銀級冒険者のシノビ兄妹!?」
「金級冒険者だと!?」
「シノビ兄妹……その名前は聞いた事があるぞ」
「し、白銀級?シノビ?」
エルマの言葉に他の者達は驚きの声を上げる中、ナイだけは付いていけず、この二人が高名な冒険者である事は分かったが、具体的にはどれほど凄いのか分からない。
21
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる